【試し読み版】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 2025年4月編|将棋情報局

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【試し読み版】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 2025年4月編

限定記事や限定動画など特典が盛り沢山!将棋情報局ゴールドメンバーご入会はこちらから 皆さんこんにちは。「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる」でおなじみの島田少納言です。

将棋情報局ゴールドメンバー限定記事「編集部島田が綴る 今月の藤井聡太」第32弾でございます。4月、というかすでに5月なんですが、いい天気の日が続いていますね。最近の日本では春と秋がどんどん短くなってきてる気がするので、過ごしやすい小春日和がすごく貴重に感じます。
こんな日は子どもと公園にでも繰り出したいところですが、水泳ガチ勢の娘は合宿でいないので、おとなしく仕事します(笑)。

4月は23日に「藤井聡太全局集」と「将棋年鑑」に掲載する藤井竜王・名人のインタビューをしに名古屋まで行ってきました。言うまでもなく、島田にとって年に一度のビッグイベントでございます。「藤井聡太全局集」は例年通り鈴木宏彦さんに担当していただきました。そして「将棋年鑑」ではなんと詰将棋界のレジェンド、若島正さんにインタビュアーをお願いしました!若島さんだからこそ聞ける詰将棋のふか~いお話もたくさん飛び出しましたので、将棋年鑑を楽しみにしていてください。

そして、島田はインタビュー中やることがなかったので、ひたすら写真を撮り続けていました。勢いあまって1,344枚撮ってしまって、見返したら活動写真みたいになってました(笑)。
とはいえ、インタビューの最後に皆さんから募集した質問と、島田が聞いてみたかったこともいろいろ聞いてきましたので、ここでも少しずつ小出しにしていきたいと思います。

・・・さて、前置きはこれくらいにして4月の藤井先生の対局を振り返っていきましょう!
 
4月の対局まとめ
9、10日 第83期名人戦七番勝負第1局 永瀬拓矢九段戦 勝ち
29、30日 第83期名人戦七番勝負第2局 永瀬拓矢九段戦 勝ち
4月は名人戦がスタート。藤井先生は2連勝と幸先良いスタートを切りました。というわけで、今期の勝率10割です(笑)。まだ2局しか指してないので何とも言えないですが、調子はいいのかなと思います。

では1局ずつ振り返ってまいりましょう!
 

巻の研究、ひとり詰将棋解答選手権


9、10日 永瀬拓矢九段戦
第83期名人戦七番勝負(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)第1局

序章 春は名人戦がいとをかし
春の訪れを告げる名人戦。3連覇を目指す藤井先生に挑戦するのは永瀬拓矢九段です。王将戦につづいて2日制のタイトル戦で藤井先生との対決となりました。

藤井先生とタイトル戦で戦うと調子を落としてしまう棋士が多い中で、永瀬先生だけが不屈の闘志で挑戦を続けているのがすごいです。それどころか、藤井先生とタイトル戦を重ねる中で永瀬先生自身、強くなった実感があるとのこと。
今後さらに藤井―永瀬のタイトル戦は増えていくんじゃないかと思います。

名人戦第1局は恒例の東京都文京区「椿山荘」で開幕です。島田の中では椿山荘イコール坂道がキツイという思い出です(笑)。あと、定期的に噴射される水蒸気でできる雲海がキレイです。椿山荘も将棋ファンなら一度は泊まってみたい聖地の一つですね。

第1章 まっすーが教えてくれた
さて、将棋です。本局は最近の藤井先生には珍しく、前半は完全な研究将棋になりました。
先手番の永瀬九段が角換わりを目指すと藤井先生は真っ向から受けて立ちます。ここ数局は右玉や雁木を用いていたので、角換わり腰掛け銀の定跡形は久しぶりです。

永瀬先生が39手目▲6九玉の「藤井スペシャル」を繰り出したのに対して、藤井先生は桂を跳ねさせて△2二銀と引く形を採用しました。そうです、棋王戦第3局でまっすーこと増田康宏八段が使った戦法を用いたのです。増田先生好きの島田としては、これは胸アツ展開です。
おそらく、増田先生にやられてこれは優秀な指し方だと思ったのでしょう。
もちろん、永瀬先生も角換わりの定跡には詳しいですが、藤井先生はこの増田流△2二銀の形を事前に非常に深く研究していたでしょうから、本局は珍しく藤井先生のほうが時間を使わない展開になりました。

第2章 プロが勉強になる将棋
対局後のコメントによると、なんと78手目までが藤井先生の研究だったようです。恐ろしいですね。藤井玉は壁銀(銀が壁になっていて玉の逃げ道を塞いでいる状態)という悪い形なんですが、7筋からの攻めは迫力があります。

88手目がポイントの場面で、永瀬先生としては藤井先生の飛車の利きを遮断するのが急務だったようです。実戦で永瀬先生は自分の飛車の利きを通しました。これも確かに指したい一手ではあったのですが、構わず7筋に銀をぶち込まれて形勢を損ねてしまいました。

とはいえ藤井先生の玉も壁銀の危ない形をしているので評価値でリードしていても楽観できる場面ではありません。最終盤、玉頭から攻められて相当怖い形になって「どうやって受けるんだろう」と思って見ていたのですが、ここから目の覚めるような手順が待っていました。

第3章 異次元の詰み
101手目、取っ掛かりのない空中に藤井先生の桂馬の王手が放たれました。しかもこの桂馬はタダです。永瀬先生は▲同香。そして藤井先生はさらにタダのところに金を打ちます。いったい何が始まったんでしょうか。しかし驚くなかれ、なんとこの時点で先手玉は詰み筋に入っていたのです。ウソやん、そんなことある??

飛車を打って飛車切り、馬で王手して馬切り、そしてついに眠っていた大砲の飛車が動き出しました。え?これ詰むの?マジ? 仕事を忘れて観戦していた編集部員も理解が追い付いていません。

桂馬を2枚打って角引きまでで永瀬九段の投了、確かに先手玉は詰んでいました。

あまりにも長射程の詰み。純粋な手数で言えば三十数手ですが、変化がめちゃくちゃ多くて、この詰みを読むために枝葉を含めて何手読めばいいのか見当もつきません。それを2日制の将棋の最後に成し遂げる辺り、藤井先生の詰将棋力は人間業とは思えません。

「いや、すご・・・」
我々編集部員はもちろん、棋士も感嘆するような「ひとり詰将棋解答選手権」を見せつけて名人戦第1局は幕を閉じたのでした。

第4章 バリエーション
圧倒的な研究量と異次元の詰み。
改めて藤井先生の強さを思い知らされる圧巻の勝利でした。

右玉や雁木をやっても強いのですが、こういう研究将棋も強い。
ここまで将棋のバリエーションを増やされると相手としては的を絞れなくなるので大変です。

今年度1局目にして、「今年の藤井聡太は半端ない」と思わせるような一局でした。

 

解な中盤、羽田対局を制す

 
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