2024.12.05
マッチョな終盤術!丸山九段が昨年の雪辱果たし初優勝 第2回達人戦立川立飛杯本戦
第2回達人戦立川立飛杯(主催:日本将棋連盟、特別協賛:立飛ホールディングス)は、本戦トーナメントの全7局が12月3日(火)・4日(水)に東京都立川市の「立川ステージガーデン」で行われました。丸山忠久九段と行方尚史九段の間で行われた決勝戦は97手で丸山九段が勝利。雁木を右四間飛車で破る快勝譜で昨年準優勝のリベンジを果たしました。
■初参加優勝かリベンジか
本棋戦は4月1日付で満50歳以上の現役棋士全員が参加する棋戦。第1回となった昨年は、優勝した羽生善治九段が自らに賞状を贈る「セルフ表彰式」で話題となりました。今年の決勝戦はその羽生九段を1回戦で破った初参加の行方九段と、昨年は準優勝に終わった丸山九段との顔合わせに。準決勝ではそれぞれ佐藤康光九段、森内俊之九段に勝っての登場です。
振り駒で後手となった行方九段が雁木を志向したのを見て、先手の丸山九段は右四間飛車の作戦を明示します。1筋に馬を作り合った局面は形勢互角。「ちらっと考えたことのある進行」(局後のインタビュー)という行方九段は慎重に持ち時間を使って進めますが、対照的に丸山九段は持ち時間を残しつつ決断よく指していきます。結局、丸山九段が30分の持ち時間を使い切ることはありませんでした。
■筋肉と笑顔の好対照
行方九段が4筋に歩を垂らした局面で丸山九段は最後の長考に沈みます。この数手後、角と飛車を連続で切り飛ばして手番を握ったのが「終盤は駒の損得より速度」の格言を地で行く好手。直後の8筋からの攻めが急所の反撃となって攻めに専念できる形を手に入れました。秒読みに追われる行方九段は自玉への2手スキをほどく手段がなかなか見つかりません。
終局時刻は18時23分(17時15分対局開始)、最後は自玉の詰みを認めた行方九段が投了。二枚の大駒をズバっと切り飛ばして勝つ勝負術を目の当たりにした観戦者は「丸山先生の終盤すごい」「終盤がマッチョすぎる」と盛り上がりを見せました。丸山九段は局後「達人を目指してこれからも研鑽したい」とにこやかに喜びを語りました。
丸山九段は藤井聡太竜王・名人を破った前期銀河戦に続いて14度目の棋戦優勝となった(写真は第33期竜王戦挑戦者決定三番勝負第1局のもの 提供:日本将棋連盟)
水留啓(将棋情報局)