2024.11.22
加藤一二三九段がギネス世界記録に認定〈65年間連載中の詰将棋〉
【取材】田名後健吾
お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
加藤一二三九段が出題している、JAグループの出版文化団体「家の光協会」発行の月刊誌『家の光』における詰将棋の連載が、「同一雑誌におけるボードゲームパズル作者としての最長キャリア」として、10月1日にギネス世界記録に認定されました。
公式認定証の授与式は、11月21日に東京・千駄ヶ谷で開かれました。
大正14年(1924年)創刊の『家の光』は、「食と農」「暮らし」「協同」「家族」の4つのテーマを掲げ、JA組合員をはじめ農家・地域の人々の暮らしに役立つ情報を掲載しており、来年の5月号で創刊100周年を迎えます。
加藤九段が同誌に詰将棋の連載を始めたのは、1959年・19歳の時で、以来65年の長きにわたり、現在も継続中です。
プレゼンターのギネスワールドレコーズジャパン代表の石川佳織さんから公式認定証を手渡された加藤九段は
「本日、ギネスの世界記録達成をすることができ、大変喜んでおります。そもそも、私が詰将棋の名作と初めて出合ったのは小学校4年生ぐらいの時で、その9手詰の問題を見て将棋の魅力というものを知りました。棋士になって19歳の時に(『家の光』の)連載の依頼を受けてお引き受けし、問題を創り続けております」
と挨拶。
続けて
「私の棋士人生における代表的な戦いは、中原誠名人との第40期名人戦十番勝負ですが、最終局の最終盤の局面で、相手玉の詰み筋が見えなくて一時は『これは負けだ、進退窮す』と思いましたが、盤面をもう1回見直した時に、通常にはない▲3二金という詰み筋を見つけて勝ち、名人になりました。1982年の7月31日の夜のことです。私はかねてよりカトリックの信仰を持っており、神様より『あなたはいつの日にか名人になりますよ』とのお告げをいただいてから9年後に名人になりました」
と、名人戦のエピソードを引き合いに出して、詰将棋に親しんできたことが悲願達成につながったことを強調しました。
記者から創作のコツを聞かれると
「一般の将棋ファンに出すものですので、7手詰か9手詰を創るのを目標にしています。7手詰が解ければ立派な初段ですから。また、必ず目の覚めるようないい手を、7手詰なら2手、9手詰なら3手は入れるようにしています」
と話しました。
加藤九段作の7手詰。解答は文末に
また、長く続けられた秘訣については
「詰将棋を創るのが好きだったことと、その能力があったことですね。そして何といっても健康に恵まれたこともあると思います」
と答えました。
最後に「この世界記録は、もう誰にも破られることはないのでは?」と聞かれた加藤九段は「そう思います」と胸を張り、「私はこれからも、この記録を更新していきます」と抱負を述べて会見を終えました。
加藤九段と詰将棋創作のイメージがなかなかむすびつかなかった人も多いと思いますが、マネージメントを務めるご息女の百合さんの話では、いつも楽しそうに創作に励んでいるそうです。
「『将棋のよいところは、いつでもどんな場所でも頭の中で考えられるところだよ』と言っており、仕事で新幹線やタクシーで移動している時や、旅行中の飛行機の中で創ったりもしますよ」
とのこと。多忙のなかで隙間時間をうまく利用しているようです。
来年1月で85歳を迎える加藤九段。最近は歩行が困難となり車イスでの移動が多いようですが、加藤節は健在。質疑応答でもあちこちに話が脱線しながら相変わらずの饒舌ぶりを披露していました。
会見後は次の仕事先へ移動し、大忙しの「ひふみん」でありました。
●山本樹さん(『家の光』編集長)
「詰将棋のコーナーは、家庭のお父さんなど男性を中心に根強い支持のある記事であり、小さいながらも私共の雑誌にとっては欠かせない連載です。
今回、創刊100周年という節目にこのような記録を加藤先生が達成されましたことを大変うれしく思っておりますし、これからも引き続き加藤先生には出題をいただいて、さらに記録を伸ばしていただけることをお願いしたい」
●石川佳織さん(ギネスワールドレコーズジャパン代表)
「私たちギネス世界記録は、1955年にイギリスで誕生しました。『世界をより面白く、楽しくポジティブな場所にする』を目的として、世界中の様々な世界一を探し、認定し、登録しています。
来年が70周年でありまして、加藤さんも今年でプロ棋士70周年と伺っておりますので、今回の記念本に記録を紹介させていただくのも、一緒にお祝いできるような気がしてとても嬉しく思います」
【詰将棋の解答】
▲2一金△同玉▲1一飛△2二玉▲3一角△同金▲1二飛成まで
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公式認定証の授与式は、11月21日に東京・千駄ヶ谷で開かれました。
大正14年(1924年)創刊の『家の光』は、「食と農」「暮らし」「協同」「家族」の4つのテーマを掲げ、JA組合員をはじめ農家・地域の人々の暮らしに役立つ情報を掲載しており、来年の5月号で創刊100周年を迎えます。
加藤九段が同誌に詰将棋の連載を始めたのは、1959年・19歳の時で、以来65年の長きにわたり、現在も継続中です。
プレゼンターのギネスワールドレコーズジャパン代表の石川佳織さんから公式認定証を手渡された加藤九段は
「本日、ギネスの世界記録達成をすることができ、大変喜んでおります。そもそも、私が詰将棋の名作と初めて出合ったのは小学校4年生ぐらいの時で、その9手詰の問題を見て将棋の魅力というものを知りました。棋士になって19歳の時に(『家の光』の)連載の依頼を受けてお引き受けし、問題を創り続けております」
と挨拶。
続けて
「私の棋士人生における代表的な戦いは、中原誠名人との第40期名人戦十番勝負ですが、最終局の最終盤の局面で、相手玉の詰み筋が見えなくて一時は『これは負けだ、進退窮す』と思いましたが、盤面をもう1回見直した時に、通常にはない▲3二金という詰み筋を見つけて勝ち、名人になりました。1982年の7月31日の夜のことです。私はかねてよりカトリックの信仰を持っており、神様より『あなたはいつの日にか名人になりますよ』とのお告げをいただいてから9年後に名人になりました」
と、名人戦のエピソードを引き合いに出して、詰将棋に親しんできたことが悲願達成につながったことを強調しました。
記者から創作のコツを聞かれると
「一般の将棋ファンに出すものですので、7手詰か9手詰を創るのを目標にしています。7手詰が解ければ立派な初段ですから。また、必ず目の覚めるようないい手を、7手詰なら2手、9手詰なら3手は入れるようにしています」
と話しました。
加藤九段作の7手詰。解答は文末に
また、長く続けられた秘訣については
「詰将棋を創るのが好きだったことと、その能力があったことですね。そして何といっても健康に恵まれたこともあると思います」
と答えました。
最後に「この世界記録は、もう誰にも破られることはないのでは?」と聞かれた加藤九段は「そう思います」と胸を張り、「私はこれからも、この記録を更新していきます」と抱負を述べて会見を終えました。
加藤九段と詰将棋創作のイメージがなかなかむすびつかなかった人も多いと思いますが、マネージメントを務めるご息女の百合さんの話では、いつも楽しそうに創作に励んでいるそうです。
「『将棋のよいところは、いつでもどんな場所でも頭の中で考えられるところだよ』と言っており、仕事で新幹線やタクシーで移動している時や、旅行中の飛行機の中で創ったりもしますよ」
とのこと。多忙のなかで隙間時間をうまく利用しているようです。
来年1月で85歳を迎える加藤九段。最近は歩行が困難となり車イスでの移動が多いようですが、加藤節は健在。質疑応答でもあちこちに話が脱線しながら相変わらずの饒舌ぶりを披露していました。
会見後は次の仕事先へ移動し、大忙しの「ひふみん」でありました。
●山本樹さん(『家の光』編集長)
「詰将棋のコーナーは、家庭のお父さんなど男性を中心に根強い支持のある記事であり、小さいながらも私共の雑誌にとっては欠かせない連載です。
今回、創刊100周年という節目にこのような記録を加藤先生が達成されましたことを大変うれしく思っておりますし、これからも引き続き加藤先生には出題をいただいて、さらに記録を伸ばしていただけることをお願いしたい」
●石川佳織さん(ギネスワールドレコーズジャパン代表)
「私たちギネス世界記録は、1955年にイギリスで誕生しました。『世界をより面白く、楽しくポジティブな場所にする』を目的として、世界中の様々な世界一を探し、認定し、登録しています。
来年が70周年でありまして、加藤さんも今年でプロ棋士70周年と伺っておりますので、今回の記念本に記録を紹介させていただくのも、一緒にお祝いできるような気がしてとても嬉しく思います」
【詰将棋の解答】
▲2一金△同玉▲1一飛△2二玉▲3一角△同金▲1二飛成まで
お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
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