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「下村記者の棋楽にいこう」 第61手 叡王戦第2局

2015.12.15 | 

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皆さんこんにちは。週刊将棋の下村です。叡王戦決勝三番勝負第2局の取材のため京都に行ってきました。土日泊のために京都のビジネスホテルを探したのですが、週末の京都は観光客でたくさん?空室が見つからずに、隣の滋賀県大津市から通って取材です。とはいえ2駅なので対局場までは1時間程度で行ける距離でした。

ところで大津市は滋賀県の県庁所在地。京都府の県庁所在地は京都市です。隣接県で県庁所在地同士がこれだけ近い県は他にはないのでは?と思ったりもしましたがどうなのでしょうか。

さて将棋のほうは終盤で二転三転。最後は郷田九段(王将)がはっきり良くなった局面がありましたが、またしても劇的な逆転で山崎八段が勝利。見事に初代叡王に輝きました。

筆者はずっと控室に詰めていましたが、これほど何度も形勢が入れ替わる将棋は久しぶりに見ました。というのも、控室のモニターにはコンピュータソフトの形勢評価値が表示されるので、どうしても数値が良いほうを有利と判断材料にしてしまいます。中盤の2~300点程度の差ならソフトの判断が違うこともあるようですが、終盤の信用度はさすがに抜群です。プラス1000、つまり4ケタの差が出るとさすがに相当の差らしいです。

この将棋の終盤はその4ケタ台の数字が乱高下して、控室もそのたびに一喜一憂、一昔前の検討風景からは想像もつかない時代になったと感じる今日頃ごろです。ただコンピュータがこれだけ強くても、棋士同士の将棋が決して廃れるものではありません。逆転劇も将棋の醍醐味であり、身をよじって考える山崎八段、逆転負けでガックリくる郷田九段は、勝負師の美しい姿だと思いました。

週刊将棋は3月で休刊します。筆者の週刊将棋記者としての活動もあと3ヶ月ですが、両対局者の姿はしっかり目に焼き付けておこうと思いました。

ところで、終局は22時45分。簡単な感想戦、インタビューが終わり23時半に撤収。あまりの熱戦に大津までの終電が際どくなりました。取材を終えて京都駅まで走りました。