2016.09.15
合格講座:第14回「テクノロジ系 OSの働き-メモリ管理」
2016年(平成28年)秋の[基本情報技術者試験]に合格するための重要ポイント「メモリ管理分野への対応と攻略」について解説します。
メモリ管理分野への対応と攻略ポイント
ページング方式の出題可能性が高いです。セグメント方式との対比でその特徴を正確に把握しておきましょう。
本試験出題例
基本情報技術者 平成27年春期問題 午前:問18
※リンク先はIPAサイトの過去問(PDFファイル)になります。
仮想記憶方式のコンピュータシステムにおいて処理の多重度を増やしたところ,ページイン,ページアウトが多発して,システムの応答速度が急激に遅くなった。このような現象を何というか。
ア オーバレイ イ スラッシング
ウ メモリコンパクション エ ロールアウト
メモリ管理の概要
OSのメモリ管理機能には、実記憶管理と仮想記憶管理があります。
●実記憶管理…マルチプログラミング環境において、限られた主記憶領域(メモリ空間)の論理的な区画(メモリプール)に対して、複数のプログラムを的確に割り当てるメモリプール管理を行う。
【代表的な方式】スワッピング方式、オーバレイ方式
●仮想記憶管理…情報が不連続に配置されたメモリ空間を連続的に配置されているように見せかけるとともに、実記憶(搭載されている主記憶装置)の容量よりも大きな記憶領域の確保を実現する。
【代表的な方式】ページング方式、セグメント方式 ## IPアドレスの仕様
仮想記憶方式のしくみ
仮想記憶方式とは、OSのメモリ管理の機能の1つであり、主記憶(実記憶)上の不連続なメモリ空間に格納されたプログラムやデータが連続的に配置されているようにプロセスに対して見せかける機能や、実記憶よりも大きな記憶領域を仮想的に提供(仮想記憶)する機能などを提供します。これらによって、プログラムやデータが物理的にどの位置に記憶されているかは問題ではなくなるとともに、実メモリ空間にあるプログラムやデータの一部を補助記憶装置に待避できるため、実記憶の容量を超えるメモリ空間(仮想アドレス空間)が利用できます。
ページング方式
ページング方式とは、主記憶と補助記憶間でのやり取りを、プログラムやデータを固定長に分割したページ単位で行う仮想記憶方式です。
不要なページを補助記憶へ退避させることをページアウト、その逆をページインといいます。物理メモリと論理メモリの対応づけはページテーブルによって管理されます。また、ページングが多発して処理効率が悪化している状態をスラッシングといいます。これは、ページングの過程で物理メモリが不足してしまい、OSによるページのやり取りに処理能力のほとんどが振り向けられた状態に生じます。
固定長によるセグメント方式
セグメント方式とは、プログラムやデータを論理的に意味のあるまとまり単位(セグメント)で主記憶と磁気ディスク装置との間でやり取りする方式です。
主記憶から退避させることをロールアウト、主記憶に書き戻すことをロールインといいます。セグメントの記憶場所(アドレス)は、両記憶装置間におけるアドレス変換のためのセグメントテーブルによって管理されます。必然的にセグメントは可変長となるため、断片化の原因の1つです。
ガーベジコレクションとメモリコンパクション
ガーベジコレクションとは、OSやアプリケーションソフトが確保したメモリ領域のうち、必要がなくなった部分を解放する機能です。しかしそれによって主記憶の未使用領域が発生してしまうため、連続的な記憶領域が必要な場合にはメモリコンパクション(デフラグ、デフラグメンテーション)によってプログラムが格納されているメモリ領域間の空き領域や、未使用領域を集約して連続的な利用可能なメモリ空間を確保します。
■解答と解説
正解:イ
ア オーバレイとは、限られた主記憶領域(メモリ空間)の論理的な区画(メモリプール)に対して、複数のプログラムを的確に割り当てるメモリプール管理機能の1つです。