2018.07.17
アップルデバイスに搭載される、さまざまなテクノロジーを超ディープに解説!
読む前に覚えておきたい用語
LED(Light Emitting Diode)
LEDは発光ダイオードあるいは無機ELとも呼ばれ、電圧を印加すると発光する半導体素子。1960年代に発明された当初は発光色が赤のみだったが、1970年代に黄緑やオレンジに発光するLEDが相次いで開発された。1990年代に日本で青色LEDが開発され爆発的に普及した。
青色LED(Blue Light Emitting Diode)
1990年初頭に3人の日本人(後にノーベル物理学賞を受賞)によってGaN(窒化ガリウム)を用いた青色発光LEDが発明され、さらに従来のLEDに比べて極めて高輝度を実現したことから、白を含めたフルカラーLEDの実現と、LED照明という用途を開く基礎となった。
量子ドット(Quantum Dot)
量子ドットは量子力学に従う特殊な光学特性を持つ直径2~10ナノメートルの半導体結晶で、幅広い範囲の波長の光を吸収し、結晶サイズや組成に応じた波長の光を放出する特性を持つ。この色(波長)変換の特性を利用してテレビやディスプレイなどのバックライトに応用されている。
次世代の本命 マイクロLEDディスプレイ
現在LEDディスプレイと呼ばれているものには、大きく分けて2種類ある。1つは液晶ディスプレイのバックライト(光源)に白色LEDまたは三原色LEDを用いる「LEDバックライト液晶ディスプレイ」、もう1つはLEDそのものをピクセル(画素)に用いるディスプレイだ。
前者には現在販売されているほとんどのテレビやディスプレイが該当し、iMacやiPad、iPhone Xを除くすべてのiPhoneもこの方式である。これらはあくまでバックライトの光源として冷陰極管(CCFL)に代わってLEDを用いているだけで、その上に光透過率をコントロールするための液晶素子パネルと、着色のためのカラーフィルターを重ねたものが一般的な「液晶ディスプレイ」である。
一方、ピクセルそのものにLEDを用いる例としては、野球場や競技場などのスポーツ施設、ビルや公共施設などに取り付けられている大型ディスプレイがある。これらは近くで見ると赤・緑・青(RGB)の三原色のLEDがセットで1つのピクセルを構成しており、これらをマトリックスで縦横に並べた構造となっている。このような大型ディスプレイは、そのサイズも高さ数メートルと非常に大きく大規模なシステム構成となっており、その価格も数千万~数億円と非常に高価な製品となっている。
マイクロLEDディスプレイは、この大型LEDディスプレイを微細化技術によって10分の1~100分の1のサイズにしようという試みで、古くからさまざまなメーカーが小型化と低価格化という課題に取り組んできたが、現時点でマイクロLEDディスプレイを製品化した事例はまだない。
実用化されたもっとも小型なものとしては、2012年にソニーが米国のCESで展示した次世代ディスプレイ「Crystal LED Display」があり、今年のCESではサムスンもマイクロLEDディスプレイを参考出展している。