もう1つの“Xの後継機種”がついに発売|MacFan

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6色のボディに詰まった革新性 iPhone XRは廉価版にあらず!

もう1つの“Xの後継機種”がついに発売

文●松村太郎松山茂吉田雷(MixtureScape)らいら編集部写真●黒田彰松村太郎apple.com

ディスプレイやレンズの数… スペック上の違いはあるもののXSに近い体験が味わえる1台に

SNSやソーシャルメディアで“iPhone XS/XS Maxの廉価版”と評されることもあるiPhone XR。本当に性能が大きく劣るのか、デザインやディスプレイ、カメラ、パフォーマンスなどを詳しく見ていきましょう。

 

2018.10.26 Release

iPhone XR

 

スペックに差はあるが…

アップルが9月のスペシャルイベントで、iPhone XS/XS Maxと同時発表した「iPhone XR(テン・アール)」。日本では10月19日に予約が開始され、10月26日より発売されています。価格はSIMロックフリーモデルの場合、64GBモデルで8万4800円(税別)から。10万円を超えるXSシリーズと比べて、より幅広いユーザに受け入れられる価格設定となっています。カラーバリエーションも6色と幅広く、買い替えの選択肢にXRが入ると、一気に選ぶ楽しさが増えるモデルでもあります。では、XSシリーズとの価格差はどこに現れているのでしょうか?

まず、XRでは、XSシリーズが搭載する有機ELの「スーパーレティナHD(Super Retina HD)」ディスプレイではなく、液晶パネルの「リキッドレティナHD(Liquid Retina HD)」ディスプレイを採用。また、カメラレンズを見ても、XSシリーズは広角と望遠のデュアルレンズですが、XRの背面には広角カメラのみのシングル構成になっています。耐水性能はXSシリーズのIP68等級よりワンランク低く、最大水深が1メートルのIP67等級が採用されています。

このように、ハードウェアの一部にスペック上の違いがあり、それが価格差に反映されていることがわかります。

 

驚きの実力を持つ製品

しかし、ハードウェアの性能差がそのまま体験の差に現れないのが、iPhone XRの革新であり、魅力であるところ。たとえば、デュアルレンズでなければできないと思われていたポートレートモードは、シングルレンズのXRでも利用できます。液晶パネルを使ったディスプレイだからといって、画質が悪いということもなく、XSシリーズに引けを取らない映像の美しさを体験できます。初期のiPhoneならいざ知らず、最新のiPhoneが持つ高い解像度の違いを人間の目で判別するのは今や至難の業でしょう。

XSシリーズと共通する点も少なくありません。オールスクリーンのデザインと、フェイスID(Face ID)認証機能を採用。最新の「A12バイオニック(Bionic)」チップとニューラルエンジンを搭載しており、リッチな3DゲームやARコンテンツをストレスなく楽しめます。

前面のトゥルーデプス(True Depth)カメラを使ったポートレートモード撮影やボケの深度コントロール、高度なビデオ手ぶれ補正機能がXSシリーズ同様に使えます。また、画面を押し込む「3Dタッチ(3D Touch)」は非搭載ですが、代わりに長押しして使う「ハプティックタッチ(Haptic Touch)」が用意されています。

それどころか、XRならではのアピールポイントもあります。画面サイズを重要視する人にとっては、XSよりも大きい6.1インチディスプレイのXRは、より魅力的に映るでしょう。バッテリにいたってはXS Maxよりも駆動時間が長く、iPhone史上最長。2013年に発売された「iPhone 5c」以来のカラフルな外観は、ファッションアイテムとしても秀逸です。

知れば知るほど、iPhone XRは単純な「廉価版」ではなく、XSシリーズに肉薄する実力を持ち合わせており、人によってはそれ以上の優位性があることがおわかりいただけたのではないでしょうか。アップルデバイスでこのような表現はあまりしたくないのですが、XRは非常に「コストパフォーマンスの高い製品」に仕上がっています。XS/XS Maxの廉価版というよりも、正当なiPhone Xの後継機種として登場したのが、iPhone XRなのです。