Apple Storeで“盗み”が多発! 「フラッシュモブ窃盗」の対抗策は?|MacFan

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タウンスクエア構想に基づいたオープンな店舗の影で…

Apple Storeで“盗み”が多発! 「フラッシュモブ窃盗」の対抗策は?

文●山下洋一

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米国のApple Storeが難問に直面している。オープンな造りを狙って、展示している商品を奪って走り去る窃盗事件が続発。1回の犯行で数百万円規模の商品が奪われ、ストアに集う買い物客に危害が及ぶリスクも懸念されている。

 

犯行はわずか10秒程度

米国で、今春からアップルストアを狙った集団窃盗事件が多発している。9月にはカリフォルニア州で、アップルストアをターゲットに窃盗をした容疑で17人が逮捕された。人々が驚いたのは、その窃盗グループによる被害額だ。同じ手口の窃盗を重ねて、これまでに100万ドル(約1億2000万円)以上に相当する商品を奪っていた。

窃盗犯たちは、価格が高い商品、人気商品の場所をあらかじめ確認しておき、フードや帽子で顔を隠した状態で、買い物客を装って営業中のアップルストアを訪れる。ターゲットの商品を短時間でつかみ取れる場所にそれぞれが立ち、合図とともに一気呵成に展示台から商品を奪って逃げ去る。米国で「フラッシュモブ」型の窃盗として問題となっている手口である。

フラッシュモブとは、示し合わせた複数の人たちが、公共の場で前触れなく突然パフォーマンスし解散する行為のことだ。動画サイトをきっかけに約15年前から全世界で流行し、日本でもCMやドラマで使われ話題となった。そのフラッシュモブと強奪(rob)の意味をかけて、この手の集団窃盗は米国では「フラッシュロブ」と呼ばれることもある。

転売価値が高いアップル製品は窃盗のターゲットになりやすく、アップルストアは度々、被害に遭ってきた。2016年には、カリフォルニア州パロアルト市のアップルストアで、早朝4時に窃盗グループがレンタカーを突入させて入口を破壊、店内に侵入して商品を盗む事件が起こった。そうした強盗事件に比べると、商品をつかんで走り去る手口は、一見素人っぽく思える。しかし、これらは4~5人の組織グループによる計画的犯行だ。

営業中の方が窃盗のリスクは高いように思えるが、ストアスタッフがその場で窃盗犯を取り押さえられる可能性は高くない。窃盗犯が展示台から商品をつかみ取っている間、買い物客はその場に立ちつくし、ストアスタッフは店内にいる人たちの保護を優先するため、犯人は簡単に逃亡できるのだ。そのため、日中のショッピングモール内のような事件とは無縁の店舗でも、この手口の犯罪が起きている。

わずか10秒程度の犯行で、一人が持てるのはせいぜい数台である。それでも一回の犯行の被害額は、2万ドル(約240万円)に達する。カリフォルニア州では、5月に3件、6月に2件だった件数が、7月に5件、8月に10件に増えた。容易に高価な商品を奪えるから犯行を繰り返す悪循環だ。その結果、一つの窃盗グループだけで100万ドルを超える被害額が発生している。

 

 

2016年5月に開業したユニオンスクエア店では、日中に高さが13メートル近い巨大な扉が開き、目の前の公園とつながっているようになる。そうした開放感がApple Storeの魅力の1つだが、犯罪に利用されることも。




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