2018.10.11
高精細ビッグスクリーンがスマホの歴史を塗り替える
スペックではわからないカメラの進化! デュアルカメラが写真撮影を変える
高度な画像処理で美しく
新モデルが発表されるたびに大きな進化を遂げるiPhoneのカメラ性能ですが、2017年以降進化の様相が変わってきています。今まではカメラレンズの画素数や絞り値の向上、LEDフラッシュの改良など、ハードウェア面でスペックアップが重ねられてきました。しかし、今年は特にソフトウェア処理での性能向上が著しく、スペック表ではわからないカメラ性能の進化が体感できます。
その中核を担うのが、新プロセッサ「A12バイオニック」です。機械学習処理向けの「ニューラルエンジン」は同時処理能力が最大9倍高速化し、画像処理を行うイメージシグナルプロセッサ(ISP)も強化。リアルタイムに複雑な画像処理をより素早く行えるようになりました(詳細は34ページ)。
たとえば、明部から暗部まで精細に再現するHDR(ハイダイナミックレンジ)は「スマートHDR」に進化。撮影すると被写体を分析し、動きのある被写体であれば、4枚のフレームの倍の8枚のフレームを露出を変えて同時に撮影し、ハイライトのディテールを把握します。さらに、シャドウのディテールがわかるフレームも追加。それらを瞬時に分析し、その中から最適なフレームを数枚ピックアップして合成し、美しいHDR写真を生成します。iPhone Xs/Xs Maxなら、逆光でも黒つぶれや白飛びの少ない写真を残せるようになるのです。
一眼レフ級の仕上がり
A12バイオニックによって、被写体の背景をぼかす「ポートレートモード」の質も向上しました。ISPの深度エンジンが、ニューラルエンジンから収集したデータを使って、被写体と背景を正確に区別。一眼レフカメラのようなナチュラルなボケ(スペシャルイベントでも「Bokeh」と表現されて紹介)を作り出します。さらに、「深度コントロール」機能が新たに追加され、撮影後でもボケ具合を自由に調整できるようになりました。スマートHDR、ポートレートモードの深度コントロールは、前面カメラでも使えるため、今後よりリッチなセルフィーがSNSを席巻するようになるでしょう。
ビデオもより高品質に
写真だけでなく、ビデオの性能も向上しました。カメラセンサの改良によって、暗い場所でのパフォーマンスとブレ防止性能がアップしたほか、拡張ダイナミックレンジにより、明部と暗部を綺麗に映し出します(最大30fps)。また、録音機能は従来のモノラルからステレオ録音、ステレオ再生に進化したので、思い出をよりワイドなサウンドで楽しめるようになりました。前面カメラでも拡張ダイナミックレンジが適用されるほか、新たに「映画レベルのビデオ手ぶれ補正」機能(1080pおよび720p)が追加。ビデオでもセルフィーのブレが減り、より精細な撮影が実現するため、映像作品の可能性がさらに広がります。
実際にiPhone XとXs/Xsでカメラを撮り比べてみると、写真、ビデオともに、今まで難しかった暗部と明部が混在するシチュエーションでも、見たままを美しく撮影できるようになっていることがわかります。また、背面カメラと前面カメラの性能差をほとんど感じないほど、前面カメラの性能が向上した印象です。ポートレートモードの進化も著しく、手軽に一眼レフクラスの写真が残せる楽しさもあります。子どもやペットをよく撮影する人、セルフィーが多い人などは、特に恩恵を受けることができるでしょう。
1200万画素のデュアルカメラを搭載
背面はiPhone Xと同様、広角と望遠のデュアル1200万画素カメラと、クアッドLED True Toneフラッシュを搭載。両カメラとも光学式手ぶれ補正に対応し、明るさは広角レンズがF1.8、望遠レンズがF2.4となっています。カメラセンサは暗所により強いものに改良されました。