2018.07.01
企業や教育機関へのアップル製品の導入をサポートする、株式会社Tooの福田弘徳氏が「モビリティ」の地平を語る。
WWDC2018の開発者向けセッションで、米国での開始が正式にアナウンスされたアップルのエンタープライズ向け管理ツール「アップル・ビジネス・マネージャー(Apple Business Manager)」が、企業のアップルデバイス導入の際に長年課題に上がっていたアップルID(Apple ID)管理の「解」となるはずだ。
アップル・ビジネス・マネージャーはiOSデバイス、Mac、アップルTVなどのアップルデバイスを1カ所で管理できるシンプルなWEBベースのポータルだ。モバイルデバイス管理(MDM)ソリューションと組み合わせることで、デバイスの設定やアプリの配布を一括で行うことが可能になる。また、IT管理者がデバイスに触れることなく設定やアプリをインストールすることを可能にするDEP(デバイス登録:Device Enrollment Program)、アップストアアプリを一括購入するためのVPP(アプリ一括購入:Volume Purchase Program)といった既存の法人向けソリューションに加え、「マネージド・アップルID(Managed Apple ID)」の機能が追加されている。マネージド・アップルIDの機能を使うと、アップル・ビジネス・マネージャーにサインインしてその機能を管理するユーザのためのマネージド・アップルIDを作成したり、アイクラウド(iCloud)などのアップルのサービスを利用することが可能になる。これにより、アップルIDの管理にIT管理者がもう悩まされることはなくなったと言えるだろう。
ただし、iOSデバイスだけでなく、Macの企業導入が進むにつれて、アップルプラットフォームの体験をより高めたいというニーズが増えている。この場合、複数のデバイスで同じアップルIDでサインインして、デバイス間の連携を行う必要がある。これにより、移動中にiPhoneでやりかけていたメールの編集を、会社に戻ったらそのままMacで作業を継続できるハンドオフ(Handoff)や、iPhoneへの電話の着信をMacで受けたり、手軽にインターネット共有が開始できるインスタントホットスポット(Instant Hotspot)など、さまざまなアップル純正の機能が使えるようになる。ここまでできるようになると、アップルデバイスの機能を最大限に発揮できる環境が整う。