2018.06.20
長らく停滞しているように見えたWi-Fi規格ですが、昨年ごろからメッシュネットワークというキーワードが登場してきました。そして奇しくもAirMacファミリーの製造中止のニュースとGoogleのメッシュWi-Fiルータの投入が重なりました。では、そもそもメッシュWi-Fiとはなんなのか? 詳しく見ていきましょう。
Wi-Fiをリードしたアップル
すでに生活の一部となり、欠かせないインフラであるWi-Fiをいちはやく導入したのは、周辺機器メーカーではなくアップルだったのは有名な話です。1999年に登場した輝くシルバーのUFOのようなデザインはインパクト満点。世間に無線LANという言葉を知らしめました。デザインだけでなく、無線LANカードが6万円という時代に、AirMacカードは1万円台という価格にも驚かされました。
2003年には11gの採用で54Mbpsに達し、2007年で11nが登場すると100Mbpsを突破。これと前後して、MacにはAirMacが標準搭載されるようになります。
11acを採用した立方体デザインのAirMacの登場は2013年のことでした。ビームフォーミングやiPhoneによる初期設定など今では当たり前の機能がすでに搭載されていました。
このように市場を牽引してきたアップルのAirMacですが、11adや11ac Wave2などの新規格が登場する中、新製品が出ないまま5年が過ぎ、そしてついに、在庫限りで販売が終了することがアナウンスされたのです。
一方、メッシュWi-Fiというキーワードが2017年中ごろから登場してきて、4月末からはグーグルの対応製品の国内販売が開始されました。家庭内で増え続けるWi-Fi機器に対応するべくいよいよメッシュネットワーク時代が始まろうとしています。
複数で「網の目」を構築
従来のWi-Fi環境では、1台のWi-Fiアクセスポイント(親機)に対して複数のMacやiPhoneなどのWi-Fi対応デバイス(子機)を接続する「インフラストラクチャ」と呼ばれる接続方式でネットワークが構成されていました。この接続方式では、アクセスポイントとデバイスの距離が遠くなったり、同じアクセスポイントに接続しているデバイスの数が増えたりすると、通信速度が大幅に低下し動画配信が途切れるなどの弊害が出るケースもあります。
そこで登場したのが「メッシュネットワーク」という新しい接続方式によるWi-Fiルータ製品群で、インターネットに接続された「ルータ」機と1つ以上の「サテライト」機とでメッシュ(網の目)状のネットワークを構築するところからこの名があります。もともとは公衆Wi-Fiなどの業務用システム向けに開発された技術ですが、最近になってこの技術を導入した家庭向けのWi-Fi製品がいくつかリリースされて脚光を浴びています。
メッシュWi-Fiでは、複数のWi-Fi端末が1つの大きなWi-Fiネットワークを構築するのが大きな特徴で、ユーザが特に設定を行う必要なくデバイスが自動的に最適なWi-Fiデバイスに接続され、このデバイスが移動してもこれに追従して最適なWi-Fi接続を維持し続けることができます。
また、サテライト機を必要に応じて複数台追加することも可能で、簡単な初期設定のみでWi-Fi環境のサービスエリアを拡大できるメリットがあります。さらに、周辺の無線状態などの変化に応じてWi-Fi端末同士が自動的にメッシュネットワークを再構成するため、場所を選ばず常に安定した通信環境が得られるメリットがあります。