2018.05.14
外観こそ従来iPadを踏襲しているが、新型iPadは新時代のタブレットといえる。そして、多くの人にとって「買い」の1台。 iPad Proやmini、旧モデルと比較した新型iPadの魅力を語ろう。
新たなスタンダード
3月27日(現地時間)に米国シカゴの高校で開催されたスペシャルイベントにおいて、第6世代目となるiPadがお披露目された。新製品の発表を、教育市場という明確なターゲットに向けたイベントで行うのは異例のことだ。また、教育機関向けのディスカウントなど大量導入を見越した戦略的な低価格設定も従来のアップルにはあまり見られなかった動きと言える。
エントリー向けの低価格モデルとはいえ、新型iPadは性能自体が“廉価版”ではない。確かにスペックだけに注目すれば、本体サイズや外観はもちろん、ディスプレイサイズや解像度、メインカメラの画素数など、基本設計は前モデルを踏襲している部分が多い。
しかし、処理性能を司るプロセッサが「A9」から「A10フュージョン(Fusion)」にアップグレードされるなど、要所要所でARコンテンツといった高度なグラフィックス処理に支障を来さないようパワーアップが施されている。いくら価格が安くても巷に溢れる「格安PC」のようにユーザ体験を損なっては元も子もない。iPadこそがすべてのユーザにとって必要十分な性能を備えたスタンダードモデルだとアップルは考えているのだろう。
また、今回のアップデートの一番の注目点がアップルペンシルへの対応だ。これまでクリエイター向けのハイエンドモデル・iPadプロでしか利用できなかったアップルペンシルが、エントリー向けのiPadでも利用できる。それでいて価格は据え置きであるため、教育関係者に限らず多くのユーザにとってメリットが大きい魅力的なモデルとなっている。
外観上の変更は軽微
では、新しいiPadの詳細を確認していこう。ユニボディのアルミ外装や、正面や背面、側面から見た際のデザインや寸法については前モデルと共通だ。Wi-Fiモデルで469グラム、Wi-Fi+セルラーモデルで478グラムという重さについても変わらない。とはいえ、iPadプロ10.5インチの469グラム(Wi-Fi)、477グラム(Wi-Fi+セルラー)と比べるとわずかに軽く、本体サイズも横幅で4.6ミリ小さいため持ち運びの負担を感じにくい。カラーバリエーションは3色のままだが、ゴールドについてはややローズゴールド寄りの色味に変更されている。
背面のiSightカメラの画素数は8メガピクセル(1080p HDビデオ)と基本性能は前モデルから据え置きだ。とはいえ、iPadプロとは異なりレンズの飛び出しがないため、特にWi-Fiモデルのスッキリとしたデザインを好ましく感じる人も多いだろう。そのほかWi-Fi+セルラーモデルについては、背面上部のアンテナ受信部に樹脂パーツが用いられているほか、右側面下部にナノSIM挿入用スロットが装備されるという違いがある。
NEW iPadの概要
(1)1.2メガピクセルFaceTime HDカメラ/(2)ホームボタン/Touch IDセンサ/(3)音量を上げる/下げる/(4)電源オン/オフ、スリープ/スリープ解除/(5)3.5mm ヘッドフォンジャック/(6)マイクロフォン/(7)内蔵ステレオスピーカ/(8)Lightningコネクタ/(9)8メガピクセルiSightカメラ
*iPad Pro本体左側面にあるSmart Keyboardを接続するための接点「Smart Connector」はない。
●スピーカ
4スピーカ搭載のiPad Proには、本体上部と底面に合わせて4カ所の開口部がある。一方、新しいiPadでは2スピーカのため底面のみ。
●Apple Pencil
iPad Pro同様に、Apple Pencilをサポート。価格は1万800円で、教育機関向けには9800円で販売される。
●付属品
iPad本体のほかに、Lightning-USBケーブル、USB電源アダプタが付属する。
●カメラ
iPad Pro(上)と異なりレンズ部分の飛び出しがなくフラットに。True Toneフラッシュは搭載されていない。
●価格(学生・教職員は2000円の割引!)
●32GB(Wi-Fi):3万7800円
●128GB(Wi-Fi):4万8800円
●32GB(Wi-Fi+LTE):5万2800円
●128GB(Wi-Fi+LTE):6万3800円
●カラー
スペースグレイ、ゴールド、シルバーの全3色。ゴールドの色味が新しくなっている。前面パネルと背面のLTE受信部(Wi-Fi+LTEモデル)はスペースグレイのみがブラック、それ以外はホワイト。
プロとの性能差が近づく
次に、iPadのラインアップがどのようになったのかを整理してみよう。まず、2017年6月にモデルチェンジした現行のiPadプロは12.9インチモデルに加え、10.5インチモデルが存在する。ディスプレイサイズがiPadよりもひと回り小さい7.9インチのiPadミニ4は2015年の発売から更新されておらず、現在となっては少々世代遅れ感が否めない。新しいiPadはその中間に位置し、性能と価格のバランスがもっとも優れたシリーズとなる。
さらにiPadの各シリーズは、通信方式がWi-FiかWi-Fi+セルラーモデルかという違いに加え、ストレージ容量の違いによって本体価格が変わる。ただし、128GBの容量を持つiPadミニのWi-Fiモデルが4万5800円であるのに対して、同じ128GBのiPad Wi-Fiモデルは4万8800円といったように、その差はわずか3000円。コストパフォーマンスという観点からは新しいiPadの優秀さが見て取れる。また、以前よりもiPadプロとの性能差は小さくなっている。