2018.05.18
フリーライター・牧野武文氏が消費者目線でApple周りの事象を独自の視点で考察。
今、日本でQRコード決済が注目を集めている。楽天、LINE、NTTドコモなどが相次いでQRコード決済のサービス開始を発表。また、国内3メガバンクは、QRコード決済の規格統一と連携を表明している。すでに多くの決済方式が乱立する日本で、QRコード決済は普及するのだろうか。これが今回の疑問だ。
続々登場するQRコード決済
今、QRコード決済を採用したサービスが続々と登場している。ラインペイ(LINE Pay)、楽天ペイ、そしてスタートアップのオリガミペイ(Origami Pay)などがQRコード決済を導入し、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクは、共同でQRコード決済システムを開発すると発表した。さらに今年4月からは、NTTドコモが「d払い」でQRコード決済に対応している。
この背景にあるのは、中国のQRコード決済サービスであるアリペイ(Alipay)、ウィーチャットペイ(WeChat Pay)の普及だろう。経済産業省が公表した「FinTechビジョンについて」によると、2015年の日本のキャッシュレス決済比率は18%だが、中国は55%となっている。実際、中国の都市部を訪れると、現金をほとんど見かけない。現金を使っているのは、海外や地方からの旅行者ぐらいで、道端の焼きイモ屋までスマホ決済に対応している。中国の大都市では、90%以上の店舗がスマホ決済になっているという印象だ。
そんな中、アリペイも今年4月から日本でのサービスを開始するとアナウンスしていた。訪日中国人向けではなく、日本人向けのサービスだ。ところが、中国の報道によると、アリペイは日本の銀行との交渉が不調に終わり、サービス開始時期を延期することになったという。日本の銀行が危惧したのは、アリペイによって決済履歴情報が中国に収集されてしまうことだった。これはセキュリティの面、そしてビジネスの面から見ても大いに問題がある(しかし、ならばなぜVISAやアップルペイは問題がないのかという素朴な疑問は湧く)。こういった危機感から、各行が別々に進めていた決済方式の開発を協同することにしたのだと思われる。