初フライトの前に覚えておきたいドローンの基本用語&操作|MacFan

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ドローンを買ったら、あとは飛ばすだけ!

初フライトの前に覚えておきたいドローンの基本用語&操作

文●小平淳一吉田雷(MixtureScape) 写真●黒田彰モデル●崎谷実穂撮影協力●戸倉しろやまテラスDJI JAPAN

ドローンの操作には、頻繁に専門用語が使われ、中には初めて聞く言葉も多いでしょう。ここでは、初めて操作する前に知っておきたい、基本的な用語や操作方法を解説します。

※本記事の情報は原稿執筆時のものです。最新の情報ではないものもありますので、ご了解ください

STEP(1)ドローンの基本用語を覚えよう

実際に飛ばす前に、ドローン自体のことをある程度知っておくと、操縦マニュアルを読むときや講習会などに行っても迷うことが少なくなります。これまでラジコン等を操作したことがなく、はじめてドローンを操作する人は、まずは基本用語を頭に入れておくよいでしょう。

ドローンの外観を見ると、まっさきに目につくのが、本体の周りにある「ブレード」と呼ばれる4つのプロペラ。ドローンはこのブレードが回転することで自由自在に飛行しているのです。操縦に使う操縦機(送信機)には「レバー」が左右に1つずつあり、どちらも上下左右だけでなく、斜めにも動かせるものがほとんどです。ドローンの操縦に慣れるためにも、まずはこのような基本操作や用語を理解しておきましょう。

なお、ここではドローン市場で圧倒的なシェアを誇るDJIの人気モデル「ファントム4プロ(Phamtom 4 Pro)」を用いて解説します。

 

ドローン本体の名称

多くのドローンでは、中央に本体があり、本体に直接またはアームなどに「ブレード」が搭載されています。このブレードは「プロペラ」「ロータ」とも呼ばれ、ヘリコプターなどでは羽の角度(ピッチ)を変更できますが、多くのドローンでは「固定ピッチ」で操縦を容易にしています。また、機体が地面に接地する部分を「スキッド」と呼び、大型のスキッドが付いたモデルや、スキッドが小さなモデル、アンテナと兼用のモデルなどがあります。

搭載される「カメラ」は撮影用のものと、飛行中に障害物などを検知するためのセンサとして使われるカメラがあります。飛行中のドローンはふわふわ浮いているように見えますが、実はかなり振動していて、そのまま撮影すると映像がかなりブレてしまいます。そのため、一般的なカメラでも使われる「ジンバル」を使って、機体の動きや振動を直接受けないような工夫がされたモデルも多く登場しています。

ドローン各部の名称

 

操縦機(プロポコントローラ)の名称

ドローンの操縦機(送信機)は「コントローラ」または「プロポコントローラ」と呼びます。基本的には「スティック」が左右に1本づつあり、これらを両手で操作します。操縦機には「アンテナ」が装備されており、多くのモデルでは2.4GHz帯が使われます。操縦機とドローン本体をWi-Fiで接続するモデルや、中にはiPhoneなどのスマートフォンのディスプレイを実際にタッチして操作するモデルもあります。

操縦機の中には「モニタ」が装備されているものや、iPhoneを設置できるホルダを搭載しているものなどがあります。カメラ付きのドローンでは、操縦機に「写真/動画撮影ボタン」が用意されていたり、カメラの角度やズームを調整するダイヤルがあることもあります。なお、ドローンの操縦機は2種類あることが多く、それぞれ「MODE1」「MODE2」と呼ばれています。

操縦機各部の名称

 

ドローンの基本的な操作用語

まず、上昇/下降操作は「スロットル」と呼び、前進/後進操作を「ピッチ」と呼びます。前進のときは機体の前側(機首)を下げるため、「エレベータ(昇降蛇)」と呼ぶこともあります。また、左右の動きは「ロール」と呼び、ピッチと同じように機体を左右どちらかに傾斜させてスライド移動させます。こちらも飛行機でいう補助翼から「エルロン」と呼ばれることもあります。さらに、左右旋回は「ラダー」と呼ばれ、機体を回転させる動きになります。

ドローン操縦者は、これらの動きを操縦機の2本のスティックで行いますが、操縦機の種類は「MODE1~4」の4種類あります。現在多く普及している海外製ドローンでは「MODE2」が主流で、「MODE2」では左スティックで「スロットル/ラダー」、右スティックで「ピッチ/ロール」操作を行い、「MODE1」では左右が逆になります。なお、「MODE3」「MODE4」はほぼ流通していないため、覚えなくてもよいでしょう。

ドローンの基本操作用語 (MODE 2)

スロットル

「スロットル」は機体を上昇/下降させる動作で、上昇の場合は4枚のブレードの回転数を上げることで機体を持ち上げ、下降の場合は回転数を下げます。

 

ロール(エルロン)

機体を右にスライドさせる場合は、左2つのブレードの回転数を上げ、右傾姿勢をとります。左の場合も左傾姿勢をとり、左に進みます。

 

ピッチ

前進/後進操作を「ピッチ」といいます。前進の場合は、機体後部のブレード2枚の回転数を上げ、機体の前方(機首)を下げて前進します。

 

ラダー

左右旋回の動きはラダーといいます。右旋回(右回転)を行うときは、左前、右後2つのブレードの回転数を上げ、機体を回転させます。

 

 

 

STEP(2)ドローンの基本操作を覚えよう

 

1・まずは初期セットアップ!機体をしっかり点検しよう

 

飛行の前に、機体のバッテリ(予備含む)と操縦機のバッテリが十分に充電されていることを確認しておきましょう。また、折りたたむタイプのドローンでは、ブレードが折り畳まれた状態で収納されているので、まずはブレードを引き起こします。このとき、ブレードにヒビが入っていたら、即交換します。交換の場合、前後左右のブレードの種類を間違えないように交換しないと、飛行できないばかりか事故につながる恐れもあるので注意しましょう。

 

2・操縦機にiPhoneをセットアプリも先にインストール

 

操縦機もコンパクトに折り畳まれています。下部のグリップを引き出し、収納されている操作スティックを2つセットします。その後、2本のアンテナを起こします。操縦機の左グリップにはLightningコネクタがあるので、iPhoneを接続し、左右のグリップに挟み込めば完了です。なお、ここではDJIの「Mavic Air」を使うので、操縦のためにあらかじめiPhoneアプリ「DJI GO 4」をインストールしておきました。

 

3・ドローン本体の電源を入れてキャリブレーションをしよう

 

機体を安定して飛行させるために、まずはジャイロ機能をキャリブレーションします。通常、初期起動時にはアプリ画面にキャリブレーションを促すアラートが表示されます。キャリブレーションは、機体を目の高さくらいに水平に持って、機体を中心にして身体を回します。OKが出たら、今度は機体を縦に持って回りましょう。アプリ画面に「ファームウェアのアップデート」が表示されていたら、飛行前に完了させておきましょう。

 

4・機体を置いて操縦準備完了!

操縦機のセッティング、機体のキャリブレーションなどの事前準備が完了したら、自分から数メートル離れた位置にドローンを置きましょう。これでようやく飛行の準備が完了です。操縦機は、アンテナが機体に向かって正面になるように構えましょう。操縦機を構えたら、飛行開始です!

 

5・機体を上昇させてホバリングに挑戦!

まず、左右のスティックを「逆ハの字」にすると、機体のブレードが回転し始めます。今回は操縦機を「MODE2」に設定しているので、左スティックをゆっくりと上に上げるとスロットル操作となり、機体が上昇します。まずは2メートルほどの高さに機体を止める「ホバリング」を行いましょう。

 

6・ホバリングに慣れたら機体を前後左右に動かそう

ホバリングに成功したら、機体を左右に軽く振ってみます。右スティックを右に少しだけ倒すと、機体が右に傾斜して右ロールします。スティックを戻すとセンサなどによってその場に止まりますが、機体は急には止まれないことをよく覚えておきましょう。次に、左にロールさせます。続いて、機体を前後に移動させるため、右スティックを上に少しだけ倒し前進させます。今度は、スティックを戻して機体を後退させましょう。注意したいのは、すべての操作をゆっくり少しづつ行うこと。いきなりスティックを全部倒すのは厳禁です。

 

7・上昇させて8の字動作機体の操縦に慣れよう

ホバリングに慣れたら、次は機体高度の感覚を掴むため、iPhoneの画面を確認しながら5メートルの高さまで上昇させます。最初はあまり高度を上げすぎないように気をつけましょう。次に、機体の操縦に慣れるため、8の字を描くように機体を操縦してみます。右スティックでゆっくりと前進させ、左スティックを左に少し倒すと、左に旋回しつつ前進できます。ある程度まで進んだら左スティックを戻して今度は右に倒します。何回も8の字に飛行させ、両スティックの操作に慣れましょう。

 

8・機体をゆっくり下げて着陸&ブレードを停止

着陸は、左スティックを少し下げて真ん中に戻すことを繰り返し、少しずつ機体を下げていきます。地面に接地したら左スティック下げ続けましょう。すると、ブレードが停止します。なお、各種センサが搭載されているとはいえ、地面に近ければ近いほど機体が安定しなくなります。機体が前後左右に動く可能性を考慮して着陸させましょう。

 

外で楽しむなら「ドローン保険」に入ろう!

ドローンを外で楽しむ場合、飛行高度も上がるため、墜落時の破損は大きなものになります。また、墜落したドローンを探したくても取りに行きにくい場所だったり、そもそもドローンがどこに落ちたのか探さなくてはならないことも考えられます。さらに、誰かにぶつけて怪我をさせてしまったり、建造物などを破損させてしまうことも考慮すべきです。こうした場合、ドローンにも保険があるので、加入を検討しておくと安心です。

まず、機体の破損や紛失に関する保険「機体保険」があり、たとえばDJI製品に特化したプランをエアロエントリー株式会社が運営しています。これは機体修理や再購入時の費用、機体の捜索にかかる費用などを保証してくれるものです。また、日本ラジコン電波安全協会では、他人を死傷させてしまったり、建造物などを破損してしまった場合に有効な「ラジコン保険」などを用意しています。なお、自動車の任意保険同様に、保険には「業務使用」のときに認められないものもあるので、加入時には注意が必要です。ドローン保険に加入しておけば、不慮の事故でも安心できます。もちろん、保険に入ったからと安心せず、飛行時には最新の注意を払ってきちんと練習してから飛ばすことがもっとも重要です。

エアロエントリー株式会社では、DJIのドローンに特化した「DJI機体保険」や、「DJI賠償責任保険」などを用意しています。たとえば、「うっかり他人の部屋を撮影して訴えられた」といった場合に保証してくれる制度もあります。

 

日本ラジコン電波安全協会が用意している「ホビー用ラジコン保険」は、日本国内で操縦中、不注意によって他人を死傷させたり、建造物などの財物を壊した場合に、被害者に支払わなければならない損害賠償金や争訟のための費用を助けてくれます。【URL】https://rck.or.jp/operator/op_hb_insurance.html

 

 

操縦した人
崎谷実穂

ビジネス、IT、教育関係の記事・書籍のライティングを中心に活動するライター。ドローンの操縦は今回が初めて。