2018.02.01
MacBookとともに世界中を飛び回る四角大輔氏の、自由に生きるためのヒントが詰まったフォトエッセイ。
ホームプレイスとは、ぼくが提唱している概念で、「もっとも心が安定し、体調が整う場所」を意味する。
故郷が、そのままホームプレイスになってしまえば、人はそんなに旅に出ないものだ。でも、ぼくのように生まれ育った土地が落ちつける場所にならない場合、ホームプレイスを求めて何度も長い旅に出ることになる。
とはいえ、年に数カ月間ほど世界中で移動生活を送るモバイルボヘミアンのぼくにとっても、やはりホームプレイスは必要だ。それは、F1レーサーが、レース中に摩耗したタイヤや、オイルを交換したり、エンジンの調整を行うために駆け込む「ピットイン」のような存在と言えば伝わるだろうか。
ぼくにとってのホームプレイスは言うまでもなく、自宅があるニュージーランドの湖畔の森。ここを見つけるまでに15年以上を要し、その間15回も通った。
ちなみに、「ここが自分のホームプレイスだ」ということを教えてくれるのは、頭ではなく、心と体。
旅先で、「あ、ここ好きだな」「初めて来たのになぜか落ち着く」と、奇妙な既視感とともに、直感的に納得してしまった経験を、誰もがしたことがあるはず。そういうとき、その理由を理論的には説明はできないが、感覚的に不思議なくらい確信できているものだ。
ぼくが初めて、ニュージーランドの大地を機内の窓から見たときの胸騒ぎ。飛行機から降りて、地面に両足をつけた瞬間の安心感。そして、ぼくが暮らすこの湖と初対面したときのあのゾクゾク感。未だにうまく言語化できないが、ぼくにとっては「絶対」だった。
Daisuke Yosumi
大手レコード会社プロデューサーとして7度のミリオンヒットを創出後、インディペデントな人生を求め、2010 年より開始した、ニュージーランドの原生林に囲まれた湖で、水と食料を自給する〝森の生活〟をベースに、年の半分は世界中で働きながら〝移動生活〟を送る。エコ雑誌や登山雑誌など多数の連載、自身の著書、オウンドWebメディア『四角大輔のべて』(4dsk.co)をとおして、独自のクリエイティブ論とオーガニック思想を発信。大自然への冒険と、起業家&クリエイター育成をライフワークとしながら、ベストセラー作家、会員制コミュニティ「Lifestyle Design Camp」主宰者、上智大学非常勤講師など複数の顔を持つ。