最新テキストエディタどれがお好み?|MacFan

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いつの間にか進化している!

最新テキストエディタどれがお好み?

文●大谷和利栗原亮小平淳一中村朝美早川厚志氷川りそな松山茂山田井ユウキ吉田雷(MixtureScape)らいら編集部写真●黒田彰

日常的に触れる機会の多いソフトの1つが、テキストエディタです。Mac標準の「テキストエディット」も素晴らしいエディタですが、そのほかにもさまざまなアプリが数多くリリースされています。ここでは、テキストエディタの中でも特におすすめしたい優良アプリをピックアップしました。

“シンプルイズベスト”で文章を書くことに集中できる

Stone

【開発】日本デザインセンター 【価格】3000円
【URL】https://stone-type.jp/

 

機能は必要なものだけを厳選

いざ文章を書こうとMacでワープロアプリを起動しても、思うように捗らない。書き出しの最初の一行が思いつかなかったり、考えがまとまらなかったり、上手な言い回しが見つからなかったり。これはプロの書き手でもよくある悩みだといわれています(かくいう筆者もよく陥りがちです)。

この問題を解決しようと開発されたのが、「ストーン(stone)」です。文章がなかなか思うようにまとまらないのは、頭の中の想いを定着させるための肝心のパソコン画面が煩雑で、使いづらく、集中力を欠くようなものであるからではないかと考え、「鎮めないといけないのは、スクリーンのほうだった」というコンセプトで設計されました。

ストーンは、日本語を書くことに主軸が置かれています。余計なことは考えずに、とにかく文章を書くことだけに専念する。そのためにワープロ機能に必要なものを厳選し、最低限にまで削ぎ落としました。そうやって仕上げられた画面は、アプリを起動した直後はまるでまっさらな「素」のノートを連想させるように何も表示されません。

よくあるワープロ・アプリにあるような校正機能、さらには文字に強弱をつけたり、画像を置くといったレイアウトも行うことができず、書き出せる形式もプレーンテキスト(.txt)形式のみ。これは必要に応じて道具を使い分けてくださいね、という開発側からのメッセージなのでしょう。

 

書くことに集中できる

その一方で、書き出された文章は画面中央に美しいフォントで表示されます。この工夫が非常に効果的で、キャッチコピーのような短いものでもぐっと魅力的に感じられるようになります。単に文章を作るだけでなく、読むときの気持ち良さを重視するという視点は、今までのテキストエディタにはなかった特徴です。

使い始めた当初はもしかしたらその機能の少なさに不便に感じられるかも知れません。しかし、慣れてくるとただ「文章を書く」という行為にだけ集中できる環境が、非常に価値が高いことに気付かされます。あらゆるジャンルの書き手におすすめしたい、逸品と呼ぶに相応しいアプリです。

 

徹底してシンプルなデザイン

文章作成中に表示されるのは、ただ自分が入力した文字だけ。非常にシンプルですが、実際に使い始めてみると、これが「文を書き始める」というスタートラインに驚くほどマッチしていることに気づきます。

 

書きやすさを考慮した設定

入力は横書きだけでなく、縦書きにも対応。カーソルを動かすと行数や総文字数が表示されます。また検索と置換、一行あたりに表示する文字数幅の調整など、書く環境を快適にする機能が厳選されています。

 

目的に合わせた環境構築

書き手のニーズに応えるべく、書式設定は複数のプリセットを保存し、いつでも呼び出せるようになっています。

 

 

文章を書く環境そのものをもっと快適に整えよう

Scrivener

【開発】Literature & Latte Ltd. 【価格】5400円
【場所】Mac App Store>仕事効率化

 

物書きの楽園へようこそ

ここ数年で文筆業界を中心に話題になり、一度使い始めると「もう手放せない」と絶賛する人が続出し、専門の解説書まで発売になるという人気ぶりを誇るテキストエディタが「スクリヴナー(Scrivener)」です。このアプリが高い評価を得ているのは論文やレポート、小説、シナリオ、さらには筆者のような雑誌や書籍などまとまった分量の文章を作る際に欠かせない「考えながら書く」というワークフローを支援することを第一にデザインされているところにあります。

テキストエディタとしての機能はmacOSの標準アプリ「テキストエディット」をベースにしています。ほかのアプリと異なるのは「バインダー」という複数の原稿を1つにまとめて管理する手法にあります。バインダーの中に作られたテキストは、パートを自由に移動・分割・結合することができるため、積極的に章や節ごとに小さく区切ることで、内容に集中して執筆、あとから構成をアレンジするといった効率的なワークフローを実現できます。

それぞれのテキストには、概要や注釈といった本文には含めないけれども残しておきたいメモ領域も用意されています。概要は「コルクボード」表示に切り替えるとカード状に配置されるので、構成の並び替えを行ったり、小説などであれば登場人物の一覧表を作ったりといったサポートツールとして活用することができます。

さらに、このバインダーの中に入れておけるのはテキストだけでなく、PDFや写真などのイメージ、スプレッドシート、ウェブページといった資料系のデータを入れておくことも可能です。スクリヴナーは最大2画面の分割表示が可能になっているので、単一のアプリ内で情報を取りまとめることも可能です。

 

ドロップボックスと連係

このほかにも、文字(もしくは単語)数のカウントおよびターゲットと統計支援や、テキストエディタのみの表示なる「作成モード」、正規表現も利用可能な強力な検索/置換、ファイルの自動バックアップとテキストごとのスナップショットによる履歴管理、コメントや訂正といった校閲など、文章作成を支援するのに必要な機能が豊富に用意されています。

単に機能が多いわけではなく、「それぞれの機能がなぜ必要なのか」をよく考えられて実装されており、使い込むほどにその快適さが実感できるはずです。最近では待望のiOS版アプリも登場し、ドロップボックス(Dropbox)アカウントを使って同期することも可能に。これによってどんな環境でも執筆が続けられるようになったのは朗報です。その便利さを知ってしまうともうほかには戻れない、“最強のテキストエディタ”の1つと呼べるでしょう。

 

機能の要はバインダー

バインダーの中に作られたテキストはいつでも自由に分割、結合できるので細かく区切って書くのがコツ。フォルダやテキスト同士のネスト機能を組み合わせれば、視覚的にもわかりやすくグループ分けできます。

 

原稿は「書く」だけじゃない

文章をただ書き連ねれば、原稿やレポートが出来上がるわけではないのは周知の事実。全体の構成を考えるときには「コルクボード」表示に切り替えて、テキストの並び番を直感的に変えてみましょう。

 

資料は全部取り込もう

ScrivenerはPDFやイメージといった一般的なファイルだけでなく、URLを指定することでWEBページも資料として表示・活用が可能。分割ウインドウでも外部アプリでも開くことができるのが強みです。

 

支援機能がとにかく強力

筆者が特に愛用しているのが、文字数カウント機能。目標が設定できるので、雑誌のように決められた文字数の範囲内に収める必要がある仕事をこなす場合には欠かせない存在です。ほかにも、バージョン管理が可能な「スナップショット」や正規表現まで使える検索/置換機能など、とにかく機能が豊富で、おそらく今回ピックアップしたほかのテキストエディタの機能をすべて揃えているといっても過言ではないでしょう。

 

 

メモスタイルで文章を書きたいのなら

Simplenote

【開発】Automattic, Inc. 【価格】無料
【場所】Mac App Store>仕事効率化

 

メモスタイルでシンプルに

シンプルなテキストエディタの1つとして高いシェアを誇っているのが、実は標準でインストールされている「メモ」アプリです。macOSでも使えるので、簡単な文章を作成するために愛用しているユーザも多いのではないでしょうか。「メモ」アプリはバージョンを重ねるごとに多機能化しており、単にテキストメモを取るだけに止まらず、今ではファイルの添付や手書き機能、さらにはカメラを使った書類のスキャンまでできるようになりました。しかし、あらゆるものをメモしておけるようになった反面、当初のシンプルさが失われているのも事実です。

シンプルゆえの使い勝手の良さがあったあの頃の「メモ」アプリのようなものが欲しい…そんな人におすすめなのが、この「シンプルノート(Simplenote)」です。基本的なデザインは「メモ」アプリをベースに作られており、はじめてでも使い方に戸惑うことはありません。書き始めた最初の行が自動的にタイトルになる仕様も継承しており、煩わしくなく、テキストを入力していけるシンプルさが徹底されています。

 

アプリなしで共有可能

煩雑さを避けるためでしょうか、フォルダによる仕分けはありませんが、その代わりにメモごとにタグを自由に追加することができるようになっており、これを使ってグループ分けしたり、素早く検索することが可能です。また、「メモ」アプリユーザにはおなじみの“リストの最上部にピン留めしておく”機能も使えるため、フォルダ管理ができない不便さはありません。

同期機能はアイクラウドではなく、独自のアカウントサービスが提供されていますが、これによってiOSだけでなくアンドロイドやウィンドウズといったプラットフォームでも使えるようになっています。共有機能も、アプリを使う人同士でやりとりができるだけでなく、WEBブラウザを使うことでアプリなしで誰でも書いた内容を共有できます。

ほかにもマークダウン記法のサポートや、以前書いたバージョンに遡ることができる「ヒストリー」機能など、「メモ」アプリにはない魅力的な機能を上手に取り入れているのも特徴です。

 

極限までシンプルなノート

デザインはまさに初期の標準「メモ」アプリさながらのシンプルさ。ノートを探すときには、検索フィールドだけでなく、設定したタグを使って絞り込んだり、ピン留め機能を使って探すことができます。

 

「メモ」にはない便利な機能も

以前書いたバージョンの内容に戻すことができる「History」や、WEBページに一般公開できる「Publish to Web」など独自の機能も搭載。活用次第ではぐっと便利に使えるはずです。