iPhoneとMacって本当に相性がいいの?|MacFan

レクチャー MacBook裏メニュー

iPhoneとMacって本当に相性がいいの?

文●栗原亮イラスト●千野エー

2018年5月号第1特集「MacBook裏メニュー[モバイル活用スペシャル]」を記念して、過去連載記事を無料公開中!

大都会の片隅で、深夜にだけ営業する喫茶店“真夜中のジーニアス”がある。そこには夜な夜なさまざまな客が訪れ、モバイルに関する相談が繰り広げられる。マスターとアシスタントがおすすめの“裏メニュー”で問題を華麗に解決します。今夜のお客様は、iPhoneとMacの連係機能について知りたいとのこと。

 

アンドロイドは最先端?

(カランカラン♪)

ユミコ●いらっしゃいませ~。

客●やあ、ユミコちゃん久しぶり。元気にしてる?

ユミコ●げっ、チャラ男…いや先輩どうもっす。

客●ん、なんかいった? それよりこれ見てよ、最新のスマホ買っちゃった。

ユミコ●え、iPhoneからアンドロイドに買い換えたんですか?

客●アンドロイドは防水もワイヤレス充電もiPhoneより10年先に進んでるじゃん? やっぱり最先端のものが好きだからさ~。

ユミコ●はあ、そうですか。何のCMに影響されたのかは知りませんが、iPhone Xのほうが先進的だと思いますけどね。

客●え~そうかなあ。結構サクサク動くし快適だよ? ユミコちゃんも買い換えればいいのに。

ユミコ●いえ、特にアンドロイドに魅力は感じません。別に、使うのが悪いとは思いませんが。それに私、Macユーザですし。

客●え? 俺もMac使ってるけど、それって何か関係あるの?

 

テザリングはどっちが簡単?

ユミコ●結構大アリだと思いますけど、先輩はアンドロイドとMacを連係させて使ったりしないんですか?

客●いやいや、超してるよ。何といってもテザリング便利だよね。設定からボタン入れるだけでMacBookからでもすぐにWi-Fiにつながるの。ネットワーク名をわかりやすい名前にするのが使いこなしテクかな。これってノマドワークスタイルだよね。

ユミコ●あのあの、iPhoneなら何もしなくても優先的にリストの一番上にネットワークが出てきますよ。インスタントホットスポットです。それに先輩の場合はノマドワークというよりは単なる遊び人にしか見えませんが。

客●え~そうかなあ。だったら、MacとiPhoneを一緒に使ったほうがいい理由があったら教えてよ。確かこの店では3つまでモバイルの質問に答えてくれるんでしょ?

ユミコ●おっと、そうきたか。とても3つでは答えきれないくらいあるんですけど、仕方ないですね先輩にもわかるように説明しますよ! とりあえず、ご注文はなんでしょうか?

マスター●おやおや、すっかり乗せられてしまってますね。仲のよろしいことで。

 

 

 

MacとiOSデバイスの連係は簡単

ユミコ●そうですね、とりあえず基本的な連係機能として、ファイルの送信方法を3つ紹介します。

客●メールの添付書類で送るのではダメなの? アンドロイドならマイクロSDカードに保存して渡すのもできるよ。

ユミコ●いえ、別にそれでよければ全然構わないんですけど、MacとiOSデバイスならもうちょっとスマートな方法もあるんです。まずはハンドオフ(Handoff)ですが、これはファイル転送ではなくて、やりかけの作業をMacとiPhone、iPadの間で簡単に引き継げる機能です。対応ソフト/アプリは限られますが、Macのサファリで見ていたWEBサイトをすぐiPhoneでも開いたり、iPhoneで作成していたメールの続きをMacで書き上げて送信することもできます。もちろん、ページズやナンバーズの作業もハンドオフで引き継げますよ。

客●WEBページの同期はグーグル・クロームでもできるけど、メールの続きがMacで書けるのは便利そうだなあ。

ユミコ●もっとも、LINEなどのメッセンジャーアプリやクラウドサービスではこの手の同期ができるものが増えたので、今となってはそれほど目新しくはないかもしれませんね。次はエアドロップ(AirDrop)です。

客●プロレス技の名前?

ユミコ●エアーズロックとかバックドロップじゃないですよ。これはブルートゥースを使って近くにいる相手を見つけてファイルを送れる機能です。受信側が公開の状態なら自分のデバイス以外にも送れますよ。可能ならデータ転送はWi−Fiが使われるので、大容量データも高速です。

客●本当だ、MacBookからユミコちゃんのiPhoneが見えた。俺のイケてる写真送るね。

ユミコ●先輩の写真はスルーして、最後にユニバーサルクリップボードも紹介しますね。これは、テキストや画像などをコピーしたクリップボードの内容を自分のMacやiOSデバイスで共有できる機能です。簡単にいえば、MacとiPhone、あるいはMac同士やiPhone同士、デバイスの違いを超えて「コピペ」できる機能です。

客●おおっ、これはすごいね。やっぱりiPhoneにしておいたほうがよかったかなあ…。

 

Handoffを使う

ハンドオフは多くの標準ソフトが対応していて、さまざまな作業をiOSデバイスとMacの間でシームレスに行えます。たとえば、iPhoneの「メール」アプリで書きかけのメールがあるとします。

 

Macに切り替えると、DockやAppスイッチャーの左端にiPhoneから渡されたアイコンが表示されます。これを選ぶとMacの「メール」で書きかけのメールの続きが作成できます。

 

AirDropを使う

AirDropは近くにいるMacやiOSデバイスにファイルを送信する機能です。たとえば「プレビュー」で写真やPDFを開き、[共有]メニューから[AirDrop]を選んで送信したい相手をクリックします。

 

すると、写真であればiPhoneの「写真」アプリのフォトライブラリに保存されます。PDFファイルなどの場合は、対応アプリの選択を求められます。

 

エアドロップはiOSデバイスからMacに送ることもできます。「写真」アプリでは写真を選択して[共有]メニューに表示されたMacをタップするとMacの[ダウンロード]に保存されます。

 

 

 

映画のレンタルもMacとiPhoneで連係できる

ユミコ●どうですか、やっぱりiPhoneのほうがよかった気がしましたか?

客●そうだねえ…確かにエアドロップもユニバーサルクリップボードも便利な機能だと思ったけど、もう少し身近な例で便利と思えることはあるかなあ。

ユミコ●iPhoneで着信した電話をMacで受けるという機能などもありますけど、先輩の場合はもっとシンプルにコンテンツを楽しむような使い方ですよね。そうだ、先輩は映画は好きですか?

客●結構好きだね。映画館で観て気に入った作品はもう一度レンタルで観ちゃうタイプ。でも、新作DVDってすぐ借りられなかったり、そもそもレンタル店に行くのが面倒なんだよな。

ユミコ●気に入った作品はDVDを買ってあげてください。映画のは安いじゃないですか。

客●DVDだとスマホで観られないじゃん。

ユミコ●まあ、そうですけど。それだったらiTunesの映画レンタルもMacとiPhoneで連係できるのでおすすめですよ。iPhoneでレンタルした映画の続きを自宅のMacで観たり、その逆も簡単にできます。

客●あれ? でもそれってレンタル映画はUSBつないでデータをムーブさせないといけないから面倒臭いってネットで読んだことがあるよ。

ユミコ●数年前まではそうでしたけど、今はそんなことありません。ネットは古い情報がいまだに検索結果の上位に表示されたりするから厄介ですねえ…。フールーやネットフリックスなどのストリーミングサービスも便利という意見は否定はしませんけど。

客●でも新作はiTunesがいちばん早いよね。

ユミコ●アマゾンビデオのほうがちょっと安かったりしますけど、公開はiTunesが最速になることが多いですね。

客●レンタル開始前に先行で購入のみってあるじゃん? 何度でも観られるとはいえ2500円はちょっと躊躇っちゃうよな。

ユミコ●5回以上観れば元が取れますし、DVDやブルーレイに付いてる特典映像が観られる作品が多いですよ。

客●へぇー、そんなのもあるんだ。

ユミコ●ほかにも写真や音楽、電子ブックといったコンテンツもアイクラウド経由で同期できることは知っておいてくださいね。

客●何それ、すごい便利じゃん。このアンドロイドではそんなことはできないよね…。

ユミコ●まあまあ、マイクロSDカードにバックアップすればいいじゃないですか(ニヤニヤ)。

 

 

iPhoneやiPadの「iTunes」アプリで[映画]を選択し、レンタルがあるのを確認したらタップします。

 

 

映画はダウンロードまたはストリーミング視聴できます。通信環境を気にせずオフラインで視聴する場合には、安定したWi−Fi環境でダウンロードしましょう。

 

 

レンタルした映画は「ビデオ」アプリの[レンタル]から視聴できます。レンタルした日から30日以上、再生開始から48時間以上経つと自動的に削除されます。

 

 

MacのiTunesを起動して[ムービー]に切り替えると、[レンタル中]の項目にiPhoneで借りた作品が出てきます。同時に2つのデバイスにダウンロードはできません。

 

 

iCloudフォトライブラリを有効にしていれば、「写真」もiPhoneとMacで自動的に同期できます。MacやiPhoneのストレージ容量を節約することもできます。

 

 

iTunes Storeで購入したアルバムや、作成したプレイリストも同期できます。Apple Musicにも加入すれば、どのデバイスからでもすべての音楽を楽しめます。

 

 

iBook Storeで購入した本やマンガなども「iBooks」で共有できます。MacやiPhone、iPadといったAppleデバイスであれば、どこからでも購入した本を楽しめます。

 

 

 

アイクラウド・ドライブで連係がさらに強化された

客●ドロップボックスとか今はクラウドの時代なんだから、アンドロイドでもいいんじゃないかな。

ユミコ●ええ、ドロップボックス便利ですよね。私も使ってます。だけどMacやiOSデバイスには標準で「アイクラウド・ドライブ」がありますから、それでも十分だと思いますよ。

客●それって、Macで使えるのは知ってたけど、iPhoneからも利用できるの?

ユミコ●前から対応ソフトとアプリ間では利用できていましたが、iOS 11以降は「ファイル」アプリのおかげでMacと同じようにファイルにアクセスできるようになりましたね。

客●何その神アップデート。MacユーザならiPhone選ばないともったいなさすぎるね。

ユミコ●はい。どんどんMacとiOSデバイスの連係機能は便利になってますね。

客●ついつい機能の目新しさに惹かれて、選択を誤っちゃったかもなあ。そんなことやってるから俺「チャラ男」なんていわれるんだよね…。

ユミコ●おっと、しっかりと聞こえてましたか(汗)。でも、クラウドサービスをいろいろ利用すれば、アンドロイドでもMacとそれなりに連係できますよ、多分ですけど。

 

 

iCloud Driveを有効にしていると、標準ソフトだけでなくあらゆるファイルを同期することができます。

 

 

Macから見えていたiCloud Driveの中身は、iOS 11以降を搭載したiPhone、iPadの「ファイル」アプリからアクセスできます。

 

 

Macのデスクトップや[書類]フォルダに保存されていたファイルもアイクラウドドライブに保存されるので、iPhoneから中身を確認したり編集できます。

 

地図や経路検索も同期できる

「マップ」を使えば、Macで調べた路線検索の結果などを、iPhoneやiPadに送れます。これにより効率的に地図情報を利用できます。しかし、普段はWEBブラウザでGoogle Mapを使っている場合は、iPhoneでもGoogle Mapを使ったほうがストレスはないでしょう。情報自体は遜色ないレベルになったとはいえ、地図の色分けやランドマークの表示方法など、馴染みのある地図のほうがわかりやすいからです。

 

ユミコの日誌

今日のお客様はAndroidを買って失敗…じゃなかったiOSデバイスとMacの連係を知りたい先輩でした。3つのオーダーは

・MacとiOSデバイスの基本的な連係機能
・映画のレンタルなどコンテンツの連係
・iCloud Driveでのファイル共有

についてでした。クラウドが連係の肝というのはAndroidもiPhoneも変わりませんが、Appleの場合はハードもソフトも連係できるのが強みですね。