2017.12.18
今いる空間上に別世界の映像を全周囲で表示するのがVR(仮想現実)映像です。専用のヘッドセットは高価で、作るのもプロ向けというイメージが強いですが、iPhoneで撮影した映像素材だけでVR風の映像が作れるんです。
動画関連で最近もっともホットなトピックである「VR動画」。実は専用カメラを持っていなくても、市販ソフトを応用していろいろと楽しい映像を作ることができます。意外に思われるかもしれませんが、VR動画といってもデータそのものは普通のビデオと変わらず、再生時にプレーヤ側で360度映像に展開しているにすぎません。今回メインで使用するプレミア・プロは、どんな映像でもこの360度展開状態でプレビューできるので、自分で調整を加えながらVR動画の空間をゼロから作るような作業にも向いています。
簡単な割にインパクトがあり面白いのが、VR空間上にいくつものモニタが浮遊しているような感覚で、視聴者の周囲を複数の映像で囲む手法です。この場合は映像素材の撮影はiPhoneのカメラでも問題なく、場所やモノといったテーマをなるべく多彩な視点から収録したほうが面白い仕上がりとなります。専用カメラのVR動画が「撮りっぱなし」になりやすいのに対し、この手法は自分の意図に沿った内容を構築できるので、アート的な表現としての追求や、観光PRなど明確な目的を持ったコンテンツにも向いています。一度作るとVR動画の原理をかなり理解できるので、ぜひさまざまなバリエーションにもチャレンジしてください!
必要なアイテム・ソフト
●Adobe Premiere Pro
●Adobe Photoshop
それ以外の動画編集ソフトでも応用可能です。
●iPhone動画素材3カット
●VR対応のWEBブラウザ
STEP1・VR風映像のベースを作る
まずは、Premiere ProでVR空間のベースとなる無地の映像を作り、そこに背景となる画像を貼りつけます。一般的なビデオ映像では「横:縦」の比率が16:9となりますが、VR動画用の「正距円筒図法」で展開されるビデオ映像では2:1(縦が若干短い)が多く用いられます。そのため、あらかじめこの比率でベースを作っておけば、VR専用カメラ向けに作られたプリセットなどを流用できるので、作業が簡単に行えます。
Premiere Proでプリセットを選択
新規シーケンスの作成画面を表示し、プリセットの[VR]カテゴリから1920x960のプリセットを選びます。3840x1920などより高解像度で作ると、再生にパワーは必要ですが画質が向上します。
手動でサイズ設定する場合
プリセットを選ばずに動画を作成する場合は、スライドサイズを幅が1920ピクセル、高さが960ピクセルのように2:1の比率になるよう設定します。Premiere Proでなくても、このような設定が可能な映像編集ソフトであれば同じ要領でベースとなる映像を作成します。