仮想化ソフトとBoot Campの違いを知っておこう|MacFan

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「MacでWindows」の基本

仮想化ソフトとBoot Campの違いを知っておこう

文●栗原亮小平淳一中村朝美イラスト●鈴木みそ

MacでWindowsを動かす方法は、大きく分けて仮想化ソフトとBoot Campの2つがあります。それぞれメリット・デメリットがありますので、違いを理解したうえでどちらを使うのかを選びましょう。

根本から異なる動作の仕組み

「Macユーザだけど、たまにウィンドウズを使いたいときがある」。そんな人は少なくないのではないでしょうか? 仕事やゲームなど理由はさまざまだと思いますが、MacにはウィンドウズPCを買うことなくその願いを叶える方法が用意されています。

その方法とは、大きく分けて仮想化ソフトとブートキャンプの2つ。どちらもMacでウィンドウズを動かせる点は同じですが、仕組みは大きく異なります。

まず仮想化ソフトは、ソフトでコンピュータを再現(エミュレーション)した「仮想マシン」を作成・動作させます。この仮想マシンにウィンドウズをインストールすることで、ユーザは、サファリやメールなど、ほかのmacOSソフトと同じようにウィンドウズおよびそのソフトを利用できます。

一方、ブートキャンプは、内蔵ストレージ内にウィンドウズパーティションを作り第2の起動ボリュームにします。ユーザは、Macとウィンドウズのどちらかを選んでMacを起動し直します。

つまり仮想化ソフトとブートキャンプは、macOSとウィンドウズを同時に使うか、別々に使うかの違いだといえます。

それぞれのメリット

ブートキャンプと仮想化ソフトには、それぞれ異なるメリット・デメリットが存在します。

ブートキャンプは、アップル純正の機能でありウィンドウズOS以外のソフトを購入しなくてよいのが第一の魅力です。また、ウィンドウズが直接Macハードウェアを利用するため、パフォーマンスを最大限に活かせるというのもメリットの1つです。

その一方、利用のたびにMacの再起動が必要になることや、macOS側のソフトと連携しにくいといった点がデメリットとして挙げられます。

逆に仮想化ソフトでは、OSを再起動することなくウィンドウズを利用でき、さらにmacOSのほかのソフトからウィンドウズにコピー&ペーストするといった連携も簡単にできます。現在主流となっている仮想化ソフトは有料ですが、その分、使い勝手を高めるための機能を豊富に搭載しているのがメリットです。

加えて「複数の仮想マシンを併用できる」という点も、仮想ソフトならではの特長です。たとえば、世代の異なるウィンドウズOSを複数インストールしたり、あるいはリナックスなど別のOSをインストールしたりして、さらにそれらを同時に起動させることも可能なのです。

こうしたメリット・デメリットを見極めながら、自分に合ったウィンドウズの利用方法を検討してみましょう。次のページでは、仮想化ソフトの具体的な紹介をします。

 

仮想化ソフト

仮想マシンでWindows

仮想化ソフトは、Mac上で仮想マシンというものを作り、それを仮想的なコンピュータとして動作させます。ユーザはmacOSソフトの1つを使う感覚でウィンドウズを利用できるようになります。その仕組み上、ブートキャンプに比べるとパフォーマンスが下がりますが、今やソフトおよびハードの進歩などにより、その差もわずかなものになってきています。なお、仮想マシンは、ファインダ上では1つのファイルとして扱われますが、そのファイルサイズが可変である点も仮想化ソフトの特長です。つまり、仮想マシン上の中に入れるデータが少なければ、内蔵ストレージをそれほど占有せずウィンドウズ環境を構築できるからです。

 

仮想化ソフトはmacOSソフトの1つとしてWindowsを動かす仮想的なコンピュータを作り出すソフトです。WindowsはほかのmacOSソフトと同じレイヤーで動作するわけです。

 

Boot Camp

Windows領域を物理的に確保

Boot Campでは、内蔵ストレージの一部をウィンドウズ用の領域(パーティション)として確保し、macOS用の領域と切り分けます。macOSとWindowsは個別に仕切られた状態となり、利用するときはそのボリュームを指定して再起動します。この仕組みによってWindowsをダイレクトに動作させることができ、Mac本来のパフォーマンスをWindowsでも引き出せるようになるのです。ユーザは、セットアップ時に「どれくらいのサイズをWindowsに割り当てるか」を設定しますが、あとで変更するには基本的にWindowsの再インストールが必要になります。自分の使い方を考え、サイズを適切に設定することが重要です。

 

macOSの標準ソフトである「Boot Campアシスタント」では、Windowsに割り当てるパーティション作成機能とインストールの補助機能を備えているため、簡単にWindowsをセットアップできます。