macOS High Sierra引っ越しマニュアル|MacFan

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最新OSへのアップグレードはこれを見ればらくちん!

macOS High Sierra引っ越しマニュアル

文●海老原昭写真●黒田彰apple.com

あなたのMacをより“高い頂”へと導きます

Macのオペレーティグシステム「macOS」は、長きにわたり愛すべきユーザ体験を構築してきました。今回リリースされた新OSは「High Sierra」という名前を冠し、ユーザインターフェイスや機能などの基本路線は前OSの仕様を引き継いで、より洗練されています。優れたMac体験を実現させるためには、OSのアップグレードが肝心です。自分のMacをきちんとアップグレードするために、正しい知識を身につけましょう。

 

 

史上最高の使いやすさを提供する
未来のMacの礎となるmacOS High Sierra

 

小さな変化ではない

9月26日にリリースされた最新のMac用OS「ハイ・シエラ(High Sierra)」。OSの呼称が「macOS」へと変わってから最初のバージョンアップとなりますが、基盤技術は引き続き「OS X」の技術を引き継いでおり、バージョンは「10・13」となります。

ハイ・シエラは1つ前のバージョンである「シエラ」と名前が似ており、一見するとただのマイナーバージョンアップのように映るかもしれません。しかし、過去のOS Xが「10・5レパード」から「10・6スノーレパード」になり、それまでのPowerPCからインテルアーキテクチャに変更され、「10・7ライオン」から「10・8マウンテンライオン」へと変わり、32ビットカーネルから64ビットカーネルへと置き換わったように、アップルはOSの名称の変化が小さいときにこそ、内部に大きな変化を与えているのです。

コンピュータは毎年のように技術革新を経てどんどん高速化してきましたが、周辺機器などの規格が高速化を続けているのに対し、それを統括・制御するシステム側は、古い設計思想のままでした。たとえばデータを保存するストレージは古く遅いハードディスクを前提としており、最新のフラッシュメモリの性能を限界まで引き出すことはできません。また、3Dグラフィックスを制御する「GPU」も、今やグラフィックだけでなく、複雑な演算を高速に処理するためにも利用されます。動画もフルHDや4Kといった、パソコンで動画を扱うようになった頃と比べて数十倍以上という、非常に高い解像度での利用が前提となります。古い時代の設計では、すでに現在の技術ですらボトルネックになりつつあるのです。

そこでアップルは、macOSの土台から設計を見直し、現在の技術だけでなく、将来登場するテクノロジーをも視野に入れて、システム全体が新しいハードウェアの性能を引き出せるように最適化しました。すでに実施されている64ビット化なども含め、将来にわたってMacが最新の環境であり続けるための基礎となるのがハイ・シエラなのです。

環境を超えた使いやすさ

ハイ・シエラでは、システム内部の改良が多く施されましたが、ユーザが触れる部分についても、従来よりもさらに使いやすくなるよう、さまざまな改良点が加えられています。たとえば「写真」ソフトや「サファリ」、「メール」、「メモ」といった日常よく使うソフトが改良され、機能が向上したり、速度が改善されています。ひとつひとつは細かな変更点ですが、使用頻度の高いソフトだからこそ、ちょっとした改善が大きな効果をもたらします。

また、1つ前のシエラで搭載された音声アシスタント「Siri」も改良され、発音がより自然になり、音声の認識率も上がりました。Siriに命令できる項目もシエラと比べて増えており、本格的に音声アシスタントを使って日常の作業をこなすことができるようになりました。これまでSiriはiOSやアップルTVへの採用が優先されてきましたが、ハイ・シエラのSiriが登場したことにより、アップル製品なら違いを気にせずどれでもSiriを活用できるようになったわけです。

アイクラウド(iCloud)との連係もさらに進んでいます。シエラではデスクトップと「書類」フォルダがアイクラウドを通じて同期できるようになりましたが、ハイ・シエラでは自分のアカウント内だけでなく、アイクラウドユーザ以外にもファイルを手軽に共有できるようになり、オンラインストレージとしての利用価値が高まりました。また、iOSとMacの間でクリップボードを共有できる「ユニバーサルクリップボード」機能が、Mac同士でも有効になります。複数のMacやiOSデバイスを併用して作業していても、どのデバイスでどんな内容をコピーしたかなどを気にせずに使えるわけです。クラウドを通じて機器の違いを吸収してくれるので、ユーザは作業に専念すればいいというのは、大きな魅力です。

ハイ・シエラはシステムの土台を改良しただけでなく、細かな改良の積み重ねにより、これまでのmacOSの中でもっとも使いやすいOSになったといえるでしょう。

最後に、ハイ・シエラは32ビットのソフトが動作する最終バージョンとなることがアップルから発表されています。サードパーティ製ソフトでまだ64ビット対応していないものについては、次期OSでは動作しない可能性もあります。今のうちに乗り換えるソフトを探しておくなど、早めに対策を考えておくといいでしょう。

 




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