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Apple 2017 September Special Event Report

スティーブと世界の人々へ伝えたアップルのDNAと次の10年の革新

文●松村太郎

今年のアップルのスペシャルイベントは、アップルにとっても特別な意味を持つものでした。ジョブズが遺した最高傑作ー新社屋・アップルパークで語られたのは、新製品とそれが見据える未来でした。

“There's lots of ways to be as a person, and some people express their deep appreciation in different ways. But one of the ways that I believe people express their appreciation to the rest of humanity is to make something wonderful and put it out there. And you never meet the people, you never shake their hands, you never hear their story or tell yours. But somehow in the act of making something with a great deal of care and love, something's transmitted there. And it's a way of expressing to the rest of our species, our deep appreciation. So we need to be true to who we are. And remember what's really important to us. That's what's going to keep Apple, Apple: is if we keep us, us."
ーSteve Jobs

 

世の中にはさまざま生き方があり、人々はそれぞれの方法で感謝を伝えます。しかし私は、こう思うのです。人が他の人類へ感謝を伝えるには、素晴らしいものを作り上げ、世の中に送り出すことだと。人と会わなくても、手を握らなくても、何かを聞かなくても、そして語らなくても、多大な愛を持ってものづくりをしている中では、何かが自然と伝わるのです。それこそが、他の人々へ感謝を伝えるということです。だから、私たちは自分に正直でなければいけません。そして何が大事なのかを常に心に刻んでいなければなりません。なぜならそれこそが、AppleをAppleたらしめ、私たちを私たちたらしめるからです。
ースティーブ・ジョブズ

 

 

歴史の新たな1ページ

米国時間2017年9月12日に開催されたアップルスペシャルイベントは、新キャンパスとなる「アップルパーク(Apple Park)」内にあるスティーブ・ジョブズ・シアター(Steve Jobs Theater)で行われました。それは、生前スティーブ・ジョブズがアップルの創造とコラボレーションの拠点として思い描いた新キャンパスで、ジョブズが初代iPhoneを2007年に発表して10年が経った今年、新しいiPhoneを発表するイベントにふさわしい場所として選ばれたのです。

ビジターセンターと呼ばれる入り口から敷地内へとゲートをくぐると、緩やかに丘を登る歩道を5分ほど歩きます。アップルパークはジョブズが愛し、また創造の源泉となった美しいカリフォルニアの原風景を再現するランドスケープデザインとなっており、針葉樹、広葉樹、低木を織り交ぜた緑豊かな植生が広がっています。朝日に草木が照らされ、美しい光を返す。敷地内を1分歩いただけでも、アップルパーク内部の魅力が手に取るようにわかります。

まもなくすると、右手には直径450メートル、これから1万人以上が働くことになる「スペースシップ」と呼ばれる巨大な新社屋が姿を現します。丘の上から途方もない大きさの建造物を眺めると、アップルが手の平に収まる小さなiPhoneでいかに巨大な企業に成長したか、10年間の歩みを目の当たりにしているようでした。

そして丘を登り切ると、スティーブ・ジョブズ・シアターが姿を見せます。ガラスの壁が正円を描き、その上に円のルーフが載せられた柱のない地上階の構造は、日本の技術が活かされた造形美。壁に沿って弧を描く階段を降りると、地下には巨大な空間が現れ、1000人収容のホールが現れます。その端正で美しい建造物と、凜とした雰囲気は今までに出会ったことがない、特別な場所であることを静かに伝えていました。

そんな場所で発表されたのが、アップルウォッチ・シリーズ3(Apple Watch Series 3)、アップルTV 4K(Apple TV 4K)、iPhone 8/iPhone 8プラス、そしてiPhone Xでした。過去最悪と言われた事前リークによって、多くの人々はアップルが何を披露するのか察知していました。しかし、それらがアップルパークで発表されたことに大きな意義があります。

イベントでは、次の10年を見据えたスマートフォンのコンセプトを示すiPhone Xに注目が集まりましたが、iPhone Xの礎となっている新デザインのiPhone 8や、新しいカメラ機能を搭載したiPhone 8プラスの進化にも目を見張るものがありますし、LTE通信機能を備えたアップルウォッチ・シリーズ3にはiPhoneの役割を今後ゆるやかに引き継いで行く可能性すら感じることができます。

iPhone発売以来の10年、アップルはコンピュータ企業から、我々のライフスタイルを変える存在へと大きく変化してきました。この節目の年に、アップルはどのような将来像を描き、私たちに伝えようとしたのでしょうか。

 

Steve Jobs Theaterで初開催

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Welcome to the Steve Jobs Theaterと書かれたスライドの前に、Apple CEOのTim Cookが登壇。Steve Jobsの話題から基調講演をスタートしました。

 

Thank you Steve

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Steve Jobsの何枚かの写真を写し出し、Tim Cookは、彼こそが彼のシアターをオープンするのにふさわしかった、と偲びました。




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