アラカルト 現場を変えるMobilityのアイデア

「ソリューション」という幻想に惑わされない秘訣

文●福田弘徳

企業や教育機関へのアップル製品の導入をサポートする、株式会社Tooの福田弘徳氏が「モビリティ」の地平を語る。

「働き方改革を実現する〇〇ソリューション」。私はこういったキャッチコピーに常に違和感を覚える。

たとえば、「働き方改革を実現するテレワークソリューション」というものがあるとする。インターネットでテレワークソリューションと検索するだけでも、さまざまなITベンダーから多種多様なIT製品やサービスがリリースされている。しかし、テレワークは、働き方改革で本来実現したいことを叶える手段の1つに過ぎない。モバイルやクラウドを導入すれば、テレワークができて働き方改革が実現できると勘違いしている人が非常に多い。

そもそも、なぜ働き方を変えなければならないのか。その目的が曖昧だと働き方改革は形骸化してしまう。企業は「ソリューション」という曖昧な言葉の幻想に惑わされ、IT導入だけを先行してしまう。

一方でITベンダーを中心とした提案側の「弊社の〇〇ソリューションは~」といったセールストークも、本当に顧客の課題解決を考え抜いたものなのだろうか。ソリューションという名の下にIT製品やサービスの実装が先行してしまい、顧客の働き方改革の真の目的を理解して提案できているものは少ないように思える。働き方改革は、労働人口の減少や介護、育児など社会的背景から、個人の働き方に対してより柔軟に多様性をもって対応していこうとするものだ。テレワークを導入するだけで、働き方が変わるわけではない。

こうしたソリューションの幻想に惑わされないためのヒントを3つ共有したい。

まず1つ目は、ソリューションはありものではなく、作るものであるということを認識することが大事である。自分たちの目的や課題に対し、解決するための手法はどのようなものなのか、そのために必要なリソースは何かを考え抜き、ヒト・モノ・カネを組み合わせて出来上がった解決策がソリューションである。決してIT製品やサービスがソリューションなのではなく、あくまで解決策を構成する一部である。

2つ目は、会社も個人も働くうえでそれぞれ目的が異なることを知ることだ。会社は利益を追求しながら、より高い価値を市場に提供して、持続可能な企業活動を行うことが目的にある。一方で個人の目的はさまざまだ。より多くの収入を目指す人もいれば、家族を養うためであったり、組織内や社会への承認欲求であるかもしれない。

まずは、この会社と個人の目的の違いを認識することが必要だ。組織の中でギャップが生じることはいいことで、理想と現実があるからこそ、目的達成に向けた課題を定義することが可能になる。また、社内と社外のギャップも課題を定義するうえで重要である。他社の動向や取り組みが先行しているように感じて、自分たちが遅れているのではないかと錯覚しがちであるが、遅れているかどうかはともかく、外部に対して常にセンサを持って、自分たちのポジションを認識することから始めよう。

3つ目は、既成概念を疑うことである。今までの仕組みや手法、制度に対して自問自答することで、本当にそのやり方が適切なのかを考え抜くことだ。たとえば、モバイル導入も既存のPCの代替では、何の新しいビジネス価値を生み出すことはない。今までの使い方を見直し、アップデートし続けるマインドセットが必要なのだ。

目の前のビジネス課題を解決するためのソリューションを現実のものにするためには、IT製品やサービスなどのツールの導入を目的化せず、本来の目的は何であるのかを明確化し、共有すること。そして、常に新しい方法を考え出すために、既存概念を疑うことである。

私のモビリティ(Mobility)の啓蒙活動も、ITの実装に留まらず、今までのモバイル活用を疑いながら、モビリティを再定義していくことで、新たなビジネス価値を提供していきたい。

 

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©frankie's

 

 

 

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Hironori Fukuda

企業や教育機関向けのApple製品の活用提案や導入・運用構築を手がける株式会社Tooのモビリティ・エバンジェリスト。【URL】www.too.com/apple



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