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「デジタル遺品」取り扱いマニュアル

文●氷川りそなイラスト●藤原鉄頭

Appleユーザ視点で“もしものとき”に備える

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ある日、急にあなたの大切な人が亡くなってしまったら…。あまり考えたくはありませんが、病気や事故で突然そんな事態に直面するかもしれません。そんなとき、残された遺族を困らせるのが「デジタル遺品」と呼ばれる現代ならではものです。MacやiPhoneにはパスワードがかかっていますし、その中にはさまざまなデータが入っています。そうした故人のデジタル遺品をどう扱えばいいのでしょうか?本特集において、ひとつの道しるべを提案します。

 

 

便利なはずの「デジタル化」が残された家族を苦しめる?

 

旅立ちはいつも突然に

明日急に、皆さんの大切な方が亡くなってしまったら…。普段の生活の中ではあまり考えたくない話ですが、まったくあり得ない話ではありません。病気や事故、さまざまな理由で突然の訃報に遭うことだって十分考えられます。さて、こういった事態に皆さんはどれくらい備えができているでしょうか?

この手の話題になると、「自分が死んだあとは、パソコンのハードディスクのデータが自動で消えてほしい」といった叶わぬ願望や「うちは貧乏だから相続するものなんてたいしてないし、特になにもしてないよ」といった、気の抜けた意見が出てきがちです。かくいう筆者も「死んだら何もできないし、生きている今から気にしてもな…」とあまり深く考えていませんでしたし、どこか他人事だったように思えます。

しかし、私ごとになりますが、その考えを一変せざるを得ない自体が起きました。まだ寒さの残る春先の深夜、妹から「救急隊の人から連絡があって、お父さんが亡くなった…。私が一番近いので今車で実家に向かっている」という一報が入ったのです。肺癌の放射線治療がひと段落して落ち着いていたはずの父でした。突然呼吸が苦しくなり、救急車を呼んだものの間に合わず、そのまま自宅で亡くなってしまったのです。

大変だったのはここからでした。母が数年前に他界してからというもの、ずっと一人暮らしをしていた父。当初は心配もしていましたが、何事もなく過ごしていたことで安心してしまった節があります。加えて、実家まで遠いこともあり、疎遠気味だったのもあだになりました。父の葬儀を準備するにあたり、とにかく「何もかもがわからない」状態で、自分が喪主になってしまったのです。

 いろいろな大変なことがありましたが、中でも厄介だったのが、ほかならぬMacでした。長年Macを使っていた父は、とにかくさまざまなデータをデジタル化して、その中に残していました。また、大変リテラシーが高いことに、Macの起動時やスリープ解除時にはログインパスワードを要求するように設定しているではありませんか。

さらに、葬儀を開くとなるとまとまったお金を用意したり、お通夜や本葬の日程を近しい方々に連絡を取る必要があります。ほかにも本人が契約していたサービス関連の解約、遺品や相続の手続きなど、とにかく「その情報を知っている人がいないと大変」な出来事のオンパレードでした。

たくさんの人の手を借りながら知恵を絞り、どうにか乗り切ることができた、この一件。身に染みてわかったのは「死んでから困るのは故人ではなく、残された家族」だということ。知らない、わからない情報が多ければ多いほど時間がかかってしまうわけです。インターネットの普及やデジタル化が浸透すればするほど、こうした問題は深刻です。

「備えあれば憂いなし」といいますが、備えは早ければ早いほど有効です。重要なポイントは、家族間でどう情報共有しておくか。特に大切なのは「どの情報を知っておけば困らないのか」を整理しておく、この一点に尽きるともいえるでしょう。

本特集では、実際に筆者が体験した事柄をベースに「実際に起きてしまった困り事」を紹介します。これらのケーススタディが皆さんの日頃の準備や、いざというときのマニュアルとしてお役に立てば幸いです。

 

デジタル遺品の一例

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