2017.07.11
久々のモデルチェンジに相応しい充実のアップデート
[Storage&Memory]より速く、より大きくというニーズをバランスよく実現
コストの考え方で選び方も変わる
ストレージの世界ほど性能と価格差に悩まされる分野はないだろう。現在、アップル製品のほとんとがフラッシュストレージを採用しているが、これがシステム全体を高速化するための大きな下支えになっている。ハードディスクはその構造の特性上、ディスクの読み書き性能の向上に限界がある。一方でフラッシュストレージはまだまだ成長の伸びしろがあり、今回のモデルでは前世代比で最大50%も高速化しているというのだから驚きだ。加えて可動部分のないフラッシュメモリは衝撃や消耗耐性といった製品寿命に関わる点で見てもハードディスクに比べて強く、次世代のストレージを牽引する存在に相応しい。
しかし、容量あたりの単価は依然まだ高くハードディスクと比べて1TBあたりの価格差は約7万7000円にもなる。今回のモデルチェンジから、iMacでも2TBのSSDが選択できるようになったが、この変更だけで15万4000円をためらわずに出費できる層はごくわずかだ。写真やムービーといったデータを多く溜め込む可能性が高まった昨今のことを考えるとやはりまだ価格面でハードディスクを選択せざるを得ない状況にユーザも少なくないだろう。
そこでアップルが推し進めているのが、フラッシュストレージとハードディスクを組み合わせたソリューションである「フュージョンドライブ」だ。OSや頻繁に使うアプリケーションデータなどを高速なフラッシュ側に配置しながら大容量のハードディスクと上手に同居できるこの仕組みは、27インチモデルでは標準化されるほどiMacファミリーの中ではスタンダードになった。
近年では4TBクラスのフラッシュストレージも登場し、容量的な制約は減りつつある。しかし、常識的な価格面で考えれば今後数年もハードディスクの容量あたりの単価の優位性は続くと考えて間違いないだろう。その点から見てもフュージョンドライブは息の長い技術として今後も成熟していく可能性はある。
また、容量面で悩ましいのはストレージだけでなくメモリも同様だ。27インチモデルは今回のアップデートで最大64GBまでメモリを搭載できるようになった。さらに、それ以上に喜ばしいのが今回は21インチモデルも最大32GBまで増設が可能になったことだろう。
ただしこれには注意が必要で、最大にするにはオンボードメモリをまず16GB(通常モデルは8GB)のCTOモデルにすることと、さらに残りの16GBに関してもあとでアップグレードする場合には正規サービスプロバイダ(ASP)に持ち込んで分解して組み込んでもらう必要がある。ユーザ個人での増設ができないという点で、購入前のプランの立て方が重要になる。
Fusion Driveが主流に
iMacのストレージ構成は6モデル中4つがFusion Driveになったことからもしばらくはフラッシュストレージの価格が下がらないことを予感させている。CTOオプションとしてはFusion Driveは最大3TBまで、フラッシュドライブ単体での構成は256GBから2TBまでの選択が可能になっている。