書類の印象をガラリと変える配色スキルアップ術❶|MacFan

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配色にはセンスが必要? いいえ、そんなことはありません

書類の印象をガラリと変える配色スキルアップ術❶

文●大里浩二栗原亮小平淳一伊達千代森裕司編集部写真●黒田彰

配色は正解のない世界だけに、ちょっと難しく感じてしまう人も多いのではないでしょうか。しかし、色の仕組みやセオリー、配色の注意点を知ればもう怖くありません。

見る人の感覚や心理に直接働きかけるデザインの第一印象は「色」で決まる!

燃えるような夕焼けの赤、清んだ川の水の青、煤(すす)で汚れたアスファルトのグレーなど、世の中には人の心を揺さぶるさまざまな色があふれています。しかし、書類などを(特に仕事で必要に迫られて)作成する場合、人はどのくらい色について吟味しているものでしょうか。ソフトウェアのパレットにあるわずかな色から、なんとなく選んでしまうことも多いのではないでしょうか?

色は人の感覚や心理に直接影響を与える大事なデザイン要素です。WEBサイトやポスターはもちろん、たとえ書類1枚であっても、その第一印象は色で決まるといっても過言ではありません。また、書類の読みやすさや見やすさにも色は大きな影響を与えます。配色は、制作物の内容のわかりやすさ、伝わりやすさにも関わっているのです。

一般的にセンスが必要なように思われがちな配色ですが、実はセオリーがあります。ここでは、特に即効性の高い配色のセオリーをまとめて解説しましょう。

今までよりもほんの少し色へのこだわりを強く持ち、わずかな色の変化によって見え方がどう変わるのかを考え、色がどのように人の心理に影響を与えるかを知ることで、制作物の仕上がりは見間違えるほど変わってくるはずです。

 

内容が伝わりやすい配色例

デジタルデバイス用に作成された会社案内のデザイン。キーカラー(ブルー)を決めて色数を絞りました。より内容が伝わりやすくなったことがわかります。

 

華やかで手が込んだように見せようと、色数をむやみに増やしてしまった状態。文字も読みにくく、ごちゃごちゃして見えます。

 

まずはおさえておきたい正しい配色の用語と基本

デジタルで表せるのは約1600万色、人の目が見分けられる色の数は180万色以上といわれています。名前がついている色だけでも、少なくとも数千色はあるでしょう。途方もない、といってよい数です。

一方、色を形容する言葉はとても曖昧なものばかりです。「柔らかい」「楽しげな」「美しい」「強烈な」といった言葉から連想される色は、人によってまったく違うものになるでしょう。「南の島に沈む夕日の赤」と少し詳しく形容しても、私が思う色とあなたが思う色はきっと同じではありません。

色の特性を理解してコントロールするためには、まずいくつかの色の用語を正しく知っておくことが重要です。ここでは最低限知っておいたほうがよい言葉と、その意味についてを解説します。

 

色相(しきそう)

「色相」とは、色味の違いのこと。たとえば、赤と黄、青といった違いが色相です。色彩学では、色相を輪にして表し、「色相環(しきそうかん)」と呼びます。色相環で遠い関係にある色は色相の差が大きく、近い色は差が小さいということです。

 

同一色相色(どういつしきそうしょく)

1つの色でも、明度と彩度を変化させることでこれだけのバリエーションが作れます。統一感のある配色のためには、この明度彩度のコントロールがとても重要になってきます。

 

彩度(さいど)

「彩度」は色の鮮やかさを示す言葉です。もっとも彩度が高いのは「純色(じゅんしょく)」と呼ばれる濁りのない色で、もっとも彩度が低いのは「無彩色(むさいしょく)」と呼ばれる色味を感じないグレーです。

 

明度(めいど)

色の明暗のことを「明度」と呼びます。どんな色にも明度はありますが、1番わかりやすいのは、その色をグレーに置き換えた状態で明るさを判別すること。たとえば、澄んだ黄色はグレーにしても明るく明度が高いことがわかります。