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ジョブズに負けない深い言葉の数々

ティム・クックから学ぶ明日を生きるための名言集

文●大谷和利氷川りそな松村太郎山下洋一写真●黒田彰

「名言」というと、スティーブ・ジョブズの専売特許のように思えるかもしれないが、決してそんなことはない。ティム・クックも、彼の人間性が反映された、深い言葉の数々を残している。思わず日常の気づきになるような発見を与えてくれることだろう。

「アップルは、大胆に捨て去る決断を下せる規範を持ち続けている」
Apple has always had the discipline to make the bold decision to walk away.

アップルはレガシーを捨て、変化を促すことで進化を加速し、より優れた体験を実現する。昨年iPhone 7シリーズでオーディオジャックを廃し、MacBookプロでサンダーボルト3にポート類を統一したのが記憶に新しい。PCとタブレットの論争についても、クックは「PCのレガシーに執着しなかったらタブレットでやりたいことはできる」と述べている。アップルが2イン1PCを否定するのは、今日の2イン1PCが古いPCを残したデザインであるからだ。同じキーボードが使えるタブレットでも、その点でiPadプロは異なる。レガシーを捨て去るのはアップルの判断規範である。

 

「人生ははかなく、明日の保証は何もない。
だからこそ全力を尽くせ」
Life is fragile. We're not guaranteed a tomorrow so give it everything you've got.

2012年にオールシングスデジタルのカンファレンスで紹介したスティーブ・ジョブズから学んだことの1つ。ジョブズからクックへのメッセージというと「自分が正しいと思ったことをやれ」が有名だが、その下の句と呼べるような言葉。たとえスーパーマンであっても万能ではなく、やりたいこと、正しいと思ったことを成し遂げられるとは限らない。人生どうなるかはわからない。アップルだって、常に正しいことをできているとは限らない。だが、人生の喜びは冒険の中にある。失敗のないところには成功もないのだから、今やれることにすべてを注ぎ込め、というメッセージ。

 

「努力せずに成功を収めようとする人たちは、
最後には自身を欺くことになる」
Those who try to achieve success without hard work ultimately deceive themselves.

2010年にオーバーン大学の卒業式でのスピーチでクックは、努力を怠らず、準備することの大切さを説いた。当時はまだリーマンショック後の経済危機の影響で大学を卒業しても職を得られない学生が多かった。クックが大学を卒業した1982年も経済状況はよくなかったが、困難なときでもいつかはチャンスが巡ってくる。だから、準備をしておくようアドバイスした。十分な用意を整えていたら、扉が開いたときにすぐに行動を起こせる。準備を積み重ねてきた結果の成功は必然である。しかし、正しく努力せずにチャンスだけをつかもうとすると、自分を傷つけ、最悪の場合は他者をも欺くことになる。




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