2017.01.24
フリーライター・牧野武文氏がApple周りの事象を独自の視点で考察。消費者目線で切り込みます。
macOSの「ミッションコントール(Mission Control)」機能を使うと、デスクトップを複数作れる。
最初は操作に戸惑いやすいので、使っていないという人が多いかもしれない。
しかし、うまく使いこなせば複数の仕事を並行して進めたり、仕事とプライベートをうまく切り分けられる。
では、このミッションコントロールは何に使うのが便利なのか。
これが今回の疑問だ。
在宅勤務と相性のいいmacOS
この数年で、企業の中での働き方が大きく変わっている。キーワードは「ワークライフバランス」だ。社員を酷使して長時間労働を強いるよりも、社員が健康で幸せを感じて働いてもらったほうが業務効率が上がり、結果的に業績にいい効果をもたらすことを理解する企業が増えてきたからだ。
このワークライフバランスを実現する方法は、大別して2つあるようだ。1つは定型業務の多い企業・部署で採用されている方法で、勤務時間は仕事に集中して終業時間になったらすぐに帰るというもの。残業をせずに早く帰ってもらい、ライフを満喫してもらう。一方で、非定型業務、つまり手を動かせば仕事が進むわけではない業務が多い企業・部署では、在宅勤務を取り入れているところが多い。
在宅勤務はデスクに座っている時間自体は長くなりがちだが、仕事の合間に家事をこなしたり、アマゾンで買い物をしたり、フェイスブックで友人と交流したり、ゲームを楽しんだりできる。ワークとライフがミルフィーユ状に重なり合っているので、仕事の実時間は長くなるわけではない。このようなミルフィーユ型のワークスタイルは、IT企業や企画、開発、研究などの職種で採用されている例が多い。
macOSには、このような働き方に適した機能が備わっている。それがミッションコントロールだ。このデスクトップスペースをいくつも作れる機能を使えば、異なる作業を並行して進められる。たとえば、ワーク用のデスクトップとライフ用のデスクトップを別にしておき、切り替えながら使うことができる。しかも、システム終了時に[再ログイン時にウインドウを再度開く]をチェックしておけば、複数のデスクトップ状態も維持される。
仕事とプライベートを別のデスクトップに
具体例として、友人や家族と連絡を取るメッセージングツールを使いながら、キーノートで企画書を作っているとしよう。デスクトップが1つしかなければメッセージが流れているのを目の端で見ながら企画書を作ることになるが、これはあまりいいやり方ではない。どうしても、プライベート情報に目がいって気が散り、業務の効率を落としてしまうからだ。