第3回 高音質・低遅延へと進化を続けるBluetoothオーディオ|MacFan

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第3回 高音質・低遅延へと進化を続けるBluetoothオーディオ

文●今井 隆

知っ得 ! 先取り技術レポ

読む前に覚えておきたい用語

aptX

aptXは英国の業務用オーディオ機器メーカーであるオーディオ・プロセッシング・テクノロジー社が開発した低遅延・高音質のコーデック。原音を固定ビットレートで圧縮し、小さなパケットで送受信する特徴を持つ。OS Xは非公式に対応しているが、iOSは未対応。同社は英国の半導体メーカーCSR社に買収された後、CSR社ごと米国クアルコム社に買収された。

 

コーデック

本来は「音声や映像などをデジタル化する際の符号化アルゴリズム」を指す言葉だが、現在ではデータ圧縮時のアルゴリズムを指すことも多い。本記事ではブルートゥースで伝送するオーディオ信号の圧縮アルゴリズムを指している。A2DPプロファイルでは、標準のSBCのほか、AAC、ATRAC、aptXなどのコーデックがサポートされている。

 

A2DP

A2DP(アドバンスド・オーディオ・ディストリビューション・プロファイル)は、ブルートゥース対応機器間で高音質データをやりとりするための仕様で、2001年のブルートゥース1.1で追加されたオーディオ・ビデオプロファイル群の1つ。音声関係ではこのほかにヘッドセット通信向けのHSPや、ハンズフリー通信向けで発信・着信機能を持つHFPなどがある。

 

 

急速に普及が進むオーディオの無線化

Mac、iOSデバイスにいずれも搭載されている近距離無線通信規格であるブルートゥースは、さまざまなデバイス間での無線通信を目的として数多くのプロトコルがサポートされており、これを「プロファイル(属性)」としてまとめて管理・実装している。最初のブルートゥース(バ―ジョン1.0)で規定された音声関係のプロファイルには、ヘッドセット向けプロファイル「HSP(ヘッドセット・プロファイル)」とハンズフリー機能を実現する「HFP(ハンズフリー・プロファイル)」が用意されていたが、これらはモノラル音声であり、オーディオと呼べるだけの音質は備わっていなかった。

しかしその後のiPodをはじめとしたポータブルオーディオの普及や、スマートデバイスの音楽プレーヤとしてのニーズ拡大に伴い、ブルートゥース1.1では高音質オーディオ向けに「A2DP」というプロファイルが加えられた。

A2DPプロファイルでは、高音質と限られた帯域を両立するためにオーディオデータを圧縮して伝送する。たとえばiPhoneにブルートゥースイヤフォンを接続して音楽を再生する場合、1度iPhone側で音楽を圧縮し、ブルートゥースを経由してイヤフォンに伝送する。この圧縮フォーマットは「コーデック」と呼ばれる。コーデックにはいくつかの種類があり、イヤフォンとiPhoneがどちらも対応しているコーデックを使って伝送が行われる。




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