2016.10.06
アップルがブランド戦略の変更を静かに推し進めている。社名の表記を「Apple」で統一するためにオンラインストアやアップルストア直営店の名称から「Store」という文字を取り去り、また顧客体験によりフォーカスして直営店の機能やデザインを新基準へと変更、ブランドというアイディンティを確固たるものにしようとしている。
優先順位の逆転
今年の初夏頃から、アップルは自社名の表記をワールドワイドで「Apple」の英語表記に変更、統一を開始した。自社のWEBサイトのみならず他メディアがリンクする際の表記や、アフィリエイトを利用する際にも同様のルールが適用されることが情報サイト「MACお宝鑑定団」にも掲載されたため、ご存知の読者も多いだろう。
この試みからは、ブランドをローカライズ(翻訳)せずに「?」マークもしくは「Apple」という文字で統一することで、よりブランドイメージを高めていこうとする意図がくみ取れる。近年のアップルは、こういった「統合」もしくは「シンプル化」と表現するべきブランディング施策を静かに進めてきた。
始動は昨年の7月頃。WEBサイトで展開されているオンラインストアのURL表記が「store.apple.com」から「www.apple.com/shop」へと切り替わり、翌月には上部のナビゲーションタブから「ストア」の表記がなくなり、それぞれの製品情報に統合された。これによってサイトを訪れたユーザはオンラインストアのページで再度製品を選ぶことなく、欲しいと思ったときには購入ボタンを押せば良いだけとなった。
近年大多数の人はすでにオンラインショッピングに慣れ親しんでおり、製品の情報を最初に知る「ファーストタッチポイント」がインターネットになっている。公式サイトにおける情報へのアクセスのしやすさ、そして購入までの導線を失わさせない「ユーザビリティ」の改善に積極的に手を入れていく姿勢は、実に理に適っている。