2016.09.04
今秋公開予定の「iOS 10」と「macOS Sierra」。WWDC2016にて発表された新機能を心待ちにしている人も多いだろう。しかし、その影では廃止される機能もある。時代の流れに伴って消えていく必要もあるのだろうが、長い間実質標準として使われてきた技術は「古いから」といってなかなか切り捨てられるものでもない。
異例の先行情報公開
7月上旬にアップルのサポート記事に上がった内容が、ベテランのユーザたちを中心としてにわかに話題になっている。そのタイトルは「iOS 10およびmacOS Sierraにアップグレードする前にPPTP VPNの削除に備える(https://support.apple.com/ja-jp/HT206844)」。
外部インターネットから社内にあるローカルネットワークなどに接続するVPN(バーチャルプライベートネットワーク)を実現する技術としてPPTP(Point-to-Point Tunneling Protocol)が利用され始めたのは実にウィンドウズ95の頃であり、日常的に使われているネットワーク系技術としては古参のものにあたる。その仕様は古さもあるが、なによりPPTPで使用される認証プロトコル「MS-CHAPv2」(マイクロソフトチャレンジハンドシェイク認証プロトコル バージョン2)の設計に問題があり、パスワードが漏洩する脆弱性が指摘されている。このため後継であるL2TPやIPSec、IKEv2、SSL VPNなど、より強固なセキュリティを実装した接続方法に切り替えるように各ベンダーもユーザに向けてアナウンスを続けている。