2016.08.11
知っ得 ! 先取り技術レポ
次世代ディスプレイ「OLED」と「液晶」の違い
現在iPhoneやiPadなどのiOSデバイスや、MacBookシリーズ、iMacに採用されているディスプレイはいずれもLCD(Liquid Crystal Display=液晶ディスプレイ)と呼ばれる。LCDは電界によってその配列方向を変えることができる液晶体をガラスでサンドイッチした構造になっており、液晶体をピクセルごとに個別に制御することで光源(バックライト)からの光の透過率をブラインドのように変化させて表示を行う仕組みだ。色の表現は各ピクセルごとに設置された三原色のカラーフィルタと、これに対応する液晶の傾きを個別に制御し、各色の透過量を調整することで実現されている。つまりLCDは、①均一な白色光源を供給するLEDバックライト、②各ピクセルごとに設置されたカラーフィルタ、③各ピクセルのカラーフィルタごとに調整可能な液晶体による光シャッター、の3つで構成されており、光源からの光を液晶というシャッターで調整することで表示を実現するディスプレイデバイスだといえる。
LCDの製造技術は2000年頃のデジタルテレビ放送の普及とともに急速に発達し、高精細化、大型化、高輝度化、高コントラスト、高色域など、さまざまな高画質化が実現された。また、普及とともに低価格化が実現され、現在では携帯ゲーム機から大型テレビまであらゆる表示デバイスの中心的な存在となっている。
一方でLCDの弱点としては、特に「暗所コントラスト」と「視野角」がある。LCDはバックライトを液晶のシャッターで調整することで表示を行うという動作原理から、完全にバックライトの光をさえぎることが難しい。特に暗所での黒色の表示時にバックライト光の漏れが目立ちやすく、漆黒の表現が難しい要因となっている。また、液晶体の傾きが見る角度によって変わるため、LCDの視野角は制限される。MacBookエアなどのディスプレイは、その表示を画面下から見た場合と上から見た場合では、そのコントラストや色味に違いがある。この問題はiMacやMacBookプロ・レティナなどに採用されているIPS方式のディスプレイパネルでは低減されているものの、正確な色調を維持できる視野角には限りがあるのが現状だ。