2016.05.19
掌に収まるネットの利便性に端を発し、あっという間に人々の日常生活ではなくてはならない存在となったスマホやモバイルデバイス。クラウドを軸としたシームレス化と相まり、ビジネスシーンでもその利便性はますます重要な存在になりつつある。しかし、モバイルを企業導入するものの、うまく活用されていないケースも散見される。モバイルを仕事で用いることでワークスタイルはどのように変革されるのか。モビリティというこれからの働き方が目指す本質とは何なのか。元グーグル日本法人代表取締役であり、著書『ギャップはチャンスだ!』でも知られるMAKコーポレーション代表取締役の有馬誠氏と、本誌編集長・原清が対談した。
鶏が先か、卵が先か?
原●今回の対談のテーマは、「モビリティ」に関してです。今やiPhoneやiPadといったモバイルデバイス(以下、モバイル)を仕事で活用することは珍しいことではなくなってきました。こうしたモバイルを活用した仕事のやり方やワークスタイルは「モビリティ」と呼ばれますが、こと日本においてはまだ、このモビリティがうまく機能していない、きちんと理解されていないと感じています。そのことに関してお話を伺えればと思っています。
有馬●原さんがそのような問題意識を持つきっかけになったのはなぜですか?
原●『Mac Fan』では特にiPadが発売開始された2010年以降、ビジネスや医療、教育の現場におけるiPhoneやiPadの活用事例を数多く取材してきました。すばらしい活用方法に感動することがある一方で、うまく現場で活用されていない、ワークスタイルの変革を伴った生産性の向上につながっていない、と思われるようなケースに遭遇することが多いからです。とかく昨今では、モバイルの重要性やワークスタイルの変革が企業内で重要視されていますが、単にモバイルを社員に配ることがモビリティなのか?と感じるような、モノやシステムありきの導入が多いように感じます。