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仕事のゲンバこそが何より大事! MetaMoJiの新ノートアプリ「GEMBA Note」が叶える最前線からのICT革命

文●栗原亮

なぜ、アップルのミカタをするのか? アップル製品を手厚くサポートするハード&ソフトウェアメーカーの担当さんに、その理由を聞いてみた!

MetaMoJi
【URL】http://metamoji.com/jp/

 

 

現場という単語を聞いて、あなたはどのような光景をイメージするだろうか。建設中のビルやマンションなどの建築現場を思い浮かべる人もいれば、工場のような製造現場、顧客と直接向き合う営業の現場をイメージする人もいるだろう。さらに医療ならば臨床現場、教育であれば教育現場と、さまざまな「現場」が存在する。そのすべてに共通していることがある。それは、現場こそが企業や組織にとっての“価値”を生み出す場所であるということだ。

しかし、インターネットとモバイルデバイスが牽引するICT革命は、これまで企業の管理部門などオフィスを中心に進められてきた。オフィスの主な機能は現場からの情報集約や管理、文書化といったデスクワークであり、PCのソフトはその定型的な処理の効率化を果たしてきた。

だが、「デスクワークに最適化されたデバイスやソフトでは現場には通用しない。まったく新しい発想のアプリが必要だ」とメタモジ(MetaMoJi)の代表取締役社長・浮川和宣氏は熱く語る。

浮川和宣氏・浮川初子氏といえば「一太郎」の生みの親としても知られ、PCの日本語操作環境の普及における立役者だ。その浮川夫妻が率いるメタモジが新たに創出したアプリが「ゲンバノート(GEMBA Note)」である。

ゲンバノートは、その名の示すとおり徹底的に現場で働く人の目線で作られた超・高機能ノートアプリだ。簡単にいえば、さまざまな現場で必要な「あらゆる種類の情報をメモできる」アプリと表現することもできるだろう。それを実現するために、これまでにメタモジが開発した手書き入力の「マゼック(mazec)」や手書きノート「メタモジノート(MetaMoJi Note)」、建築現場向けデジタル野帳「eYACHO」などで培ったノウハウがふんだんに盛り込まれている。

 

PRODUCER PROFILE

代表取締役社長
浮川和宣氏

 

代表取締役専務
浮川初子氏

 

経営企画室室長
津田恭輔氏

 

ゲンバノートのほかにはない大きな特徴は、その「多機能さ」にある。近年のモバイルアプリ開発の潮流はシンプルな目的を果たすための単機能アプリが主流だが、前述のように現場の姿は職業や業種によって千差万別だ。必要な機能を呼び出すために、アプリをスイッチしていたのでは間に合わない。かといって無数に存在する業務に合わせて専用アプリを開発するのはコストも時間もかかってしまう。そうしたジレンマを根本的に解決するにはどうすればよいか、というのがゲンバノート開発の基本コンセプトだ。

「現場がもっとも必要としているのは、“今”、“ここで”間に合うかどうかなのです。店舗や作業現場で、事務所にあるPCにデータを確認しにいくから『ちょっと待って』なんてことは言えません。手元にあるiPadやiPhoneで知りたい情報を確認したり、その場で素早く情報を記録する必要があるのです。場合によってはメモすら取れない場合もあるでしょうし、そこですぐ録音でメモが取れなければ現場の役には立ちません」

しかし、機能が豊富で汎用性の高いアプリは、時としてユーザが何をすればよいかわからくなってしまう危険性がある。さらに現場のユーザは必ずしもIT操作に習熟しているとは限らず、習得するための手間やコストが高くては使ってもらえない。

そのため、ゲンバノートではあらかじめ現場の用途に合わせたテンプレートが多数用意されており、そこから選ぶだけですぐに必要な機能に絞った使い方ができる。さらに、メニューの階層を辿らなくても、業務の内容に合わせて絞り込んだ「ツールセット」を選ぶだけで必要な操作を果たせるという使い勝手のよさも実現している。テンプレートのカスタマイズも可能で、法人版では現場チームの業務内容に合わせてカスタマイズしたテンプレートを配信したり、共有ドライブでデータを現場ごとに管理できるという。また、すべてのページには日付情報が結びついているので、それぞれのメモや打ち合わせ内容などを自動的に整理して情報を利活用できるのも特徴だ。

基本的に現場の作業内容を熟知していて、iPadの操作などが行えるユーザであれば、1人でも現場に合わせたノートを作成してチーム内で共有できるはずだ。さらに専門性が高い職種で開発が1人で手に負えないという場合には、ゲンバノートをベースにした共同開発も個別に請け負っているという。

誰でもどこでも片手で操作できて、操作もわかりやすく、その機能自体もユーザ自らが柔軟に組み替えられるゲンバノートは、現代のパーソナルコンピュータが目指す理想にもっとも近づくことができるアプリと言えそうだ。

 

 

GEMBA Noteのコダワリ

多機能&高機能

ノートには手書き文字、音声、写真などさまざまなコンポーネントを組み合わせて、その現場で作業が完結できるのが特徴。いずれの処理も高速で、現場の「今」を逃さないための工夫が施されている。「すべてが80点の多機能ツールはいらない。それぞれの機能が120点のものを目指した」と浮川和宣氏は太鼓判を押す。

多彩な業務テンプレート

表計算やビジネスフォーム、PDFなどデジタルが得意とするデータもノート内に集約できる。多様な業務に合わせた豊富なテンプレートが用意されていて、現場のワークフローをよく知る人は、そのノートをさらに自分でカスタマイズできる。まさに究極のシステムノートアプリだ。

最適化

多機能であっても、操作をするためにメニューを探し回ってしまうようでは意味がない。この機能と操作性を両立するために設けられたのが「ツールボックス」だ。あらかじめ作業に必要なツール群だけをサイド画面に表示することで、スピーディに作業に取りかかれる。

 

 

PRODUCT FOCUS

チームの現場力をアップする

ゲンバノート正式版は多くのニーズが見込まれる法人向けからリリースを開始する。法人版はチームでのデータ共有機能が重視されていて、現場ごとの共有ドライブを作成できるほか、チームで利用するテンプレートの配信や共有が行える。使い込むほどに現場の知恵が蓄積され、ノウハウを共有できる。

 

Salesforce上の連携も進行中

オフラインの環境でも強みを発揮するゲンバノートだが、アイクラウドやエバーノート、WebDAVサーバなど各種のクラウドサービスともノートを連携できる。すでに顧客管理(CRM)のセールスフォース・ドットコム上で展開する製造業向けソリューションの開発も発表されており、今後さまざまな業種での応用展開が期待される。

 

現場の声を積極的に取り入れる

β(ベータ)テストには2000名近くが参加し、さまざまな現場からのフィードバックを受け取った。また、月に2~3回程度ユーザ説明会を実施し、実践的なタッチ&トライを通じて基本操作のレクチャーなどを行っている。さまざまな現場の最前線にいるITリテラシーの高いプロフェッショナルが主体的に「世話役」として広めていってほしいという。

 

【ペン】
メタモジの創業は2009年。翌年に登場した初代iPadを見て、今までのPCでは叶わなかった「誰でも使えるコンピューティングの入り口が大きく開いた」と確信したという。当初より確実な操作インターフェイスにはペン型デバイスが適しているとして、アップルペンシルの登場は「歓迎している」という。

 

【個人版】
個人の用途は法人よりもさらに多様で想像ができない面もあるので、個人向けのゲンバノートは5~6月以降の提供になるという。デジタルとアナログの利点をハイブリッドした、さまざまな使い方のアイデアが広がっていくだろう。