2015.12.18
ウィンドウズPCの需要が低迷し、販売台数が軒並み下落する中、なぜMacは好調を維持し続けられているのでしょうか? PCなんて中身は同じという人がいますが、Macが優れているのはデザインだけではありません。コンピューティングを進化させるテクノロジーを取捨選択し、ユーザの役に立つように実装しているから、私たちはMacに未来を感じ、Macを手にするのです。ここでは、実践的な買い物ガイドに入る前に、今年出たMacに搭載された新テクノロジーをおさらいしてみましょう。
【Technology 1】CPUは世代じゃない省電力とのバランスがキモ
Macは多くのウィンドウズPCと同じインテル製のCPUを搭載しています。ただし、最新世代に移行するスピードは決して速くありません。この年末商戦には第6世代コア・プロセッサ(スカイレーク)を搭載したウィンドウズPCが多数登場していますが、Macは27インチのiMacが搭載するのみで、多くは第5世代コア・プロセッサ(ブロードウェル)にとどまっています。
では、Macが劣っているかというと、そんなことはありません。新世代のCPUによって、コンピュータのパフォーマンスがめざましく向上したのは一昔前の話。CPUの処理性能が十分な域に達してからは、パフォーマンスの伸びは劇的ではなくなり、省電力とのバランスが図られるようになりました。ここ数年の開発では、実使用時、特に高負荷時の消費電力を低減させる効率化や、内蔵するGPUの性能強化などが進められています。
もちろん性能重視のデスクトップPC向けCPUには、パフォーマンスが問われます。ただ、今やそうしたCPUを必要とするのは映像制作のプロやゲーマーなどの一部のみ。現在主流のモバイルPC向けCPUでは性能面で世代にこだわる必要はありません。むしろ問われるのは、消費電力とパフォーマンスのバランスに対するPCメーカーのビジョンです。
インテル第5世代コアの一員である「コアM(Core M)プロセッサ」はTDP(熱設計電力)枠が4.5ワットと低く、第4世代の製品に比べると若干性能は劣るものの、それ以上に大きな省電力性能を実現しています。こうしたCPUの進化はシステム設計の自由度を生み、その可能性にしっかりと取り組むことで、これまでになかったマシンが実現します。その好例が12インチのMacBookです。コアMを搭載したファンレスPCはいくつも登場していましたが、MacBookほどコアMの真価を引き出し、モバイルPCの未来を示した製品はありませんでした。
今年5月に登場した15インチのMacBookプロは第5世代コアを搭載せず、第4世代コアのままでした。第5世代コアの開発の遅れで標準電圧版が短命に終わるのをアップルが嫌った形ですが、見方を変えると性能面だけなら一世代程度で無理に採用するほどの差はないということです。