アップル・ペイで現金はいらなくなるのか?|MacFan

アラカルト Macの知恵の実

アップル・ペイで現金はいらなくなるのか?

文●牧野武文

2014年10月に米国で始まったアップル・ペイ(Apple Pay)は、2015年7月に英国でもサービスインした。日本でのサービスインも遠くないと期待している向きも多いだろう。さらに米国でアンドロイドペイ、サムスンペイなども始まり、いよいよ〝スマホペイ”の時代が到来した。アップル・ペイは日本でも定着することになるのだろうか。これが今回の疑問だ。

日本で実用化したキャッシュレス文化

アップルのDNAである「世界を変革する」という視点からアップル・ペイの究極の狙いを見れば、それは「現金不要のキャッシュレス社会の実現」ということになるだろう。消費者はiPhoneさえあれば財布を持ち歩く必要がなくなり、小売店ではレジと現金の照合や釣り銭の用意、閉店後の現金保管といったきわめて面倒でコストのかかる作業が不要となり、現金を狙ったコンビニ強盗もゼロになる。電子決済市場がいくら成長しても造幣局の仕事が減るくらいのもので、電子決済関連企業には最後に残された広大なフロンティアかもしれない

現在、民間最終消費支出の80%が現金支払い、20%が電子決済とされているが、これが今後成長することは可能だろうか。

日本には、この「キャッシュレス」システムを見事に実現した事例がある。スイカ(Suica)などに代表される交通カードだ。スイカは当初目標500万枚だったが、2001年にサービスが開始されると1年足らずで目標を達成。2007年にほかの交通カードとの相互利用が始まると相乗効果で利用者が伸び、現在では交通系カードすべての発行枚数は8000万枚を超えた。主要な駅では現金で切符を購入している人は少数派になり、電子決済で鉄道を利用するのが常識となった。




続きを読むためにはログインが必要です。
月額720円ですべてのコンテンツの閲覧が可能になります。
下のボタンより、お申込手続きを行ってください。

  • ログイン
  • 会員登録

同カテゴリ記事一覧