セットトップボックス界の黒船 第4世代Apple TVの実力を見る|MacFan

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アップルのコンテンツ戦略デバイスの○と×

セットトップボックス界の黒船 第4世代Apple TVの実力を見る

文●大谷和利

10月末に出荷開始された第4世代のアップルTVは、他のアップル製品と同じく、思わず触れてみたくなるインターフェイスの工夫と、使ってみなければわからない深い魅力に満ちている反面、コンテンツビジネスが乗り越えるべき問題も抱えている。

 

 

アップル流フルモデルチェンジ

秋のアップルスペシャルイベントの招待状やプレゼンテーションでも中心的な存在としてフィーチャーされていたように、第4世代のアップルTVは、音声認識と人工知能技術のフロントエンドとなるSiriリモートによって新たなユーザ体験をもたらす、次世代のセットトップボックスだ。

同時に、非公開だったシステムソフトウェアをtvOSとしてデベロッパに公開。アプリ開発をサードパーティに開放することでiOSデバイス成功の方程式をリビングにも適用した、アップルならではのコンテンツ戦略デバイスでもある。

振り返れば、2007年に発売された初代モデルは、40GBもしくは160GBのハードディスクを搭載していたこともあり、197×197×28ミリで重量1・09キロと大きく重いシルバーの本体が存在感を示していた。それが、2010年に発売された第2世代モデルではストレージをすべて8GBのフラッシュメモリに切り替えることにより、電源内蔵(ACアダプタ不要)にもかかわらずサイズと重量を98×98×23ミリで272グラムと大幅ダウン。大容量ストレージの廃止は、ムービー視聴をストリーミングのみに限定して実現し、価格も8800円に抑えることに成功した。

このときに本体デザインはシンプルなブラックボックスとなり、アップルリモートもアルミ製のスタイリッシュなものに変更されたことで、ユーザから見た製品の主役はリモコンにシフトしていく。また、Mac、iOSデバイスで音声と映像をワイヤレス転送するエアプレイ技術のレシーバとしても機能するようになり、iOSデバイスとの連携でプレゼンツールとしての利用も進んだ。

それを性能アップして2013年に登場した第3世代モデルは、本体とアップルリモートのサイズやデザインはそのままに1080pのフルHD映像出力に対応し、約3年半に渡ってマイナーアップデートのみで、ひっそりと販売されていた。

その意味で満を持してデビューした第4世代モデルは、本体こそ第2、第3世代モデルのイメージを踏襲して厚みのみ35ミリに増えたブラックボックスだが、内容的にはリモコンも含めてまったくの別物に生まれ変わっている。

第3世代モデルのシングルコアA5からデュアルコアA8へと変更されたプロセッサはiPhone 6/6プラスやiPadミニ4と同等の性能でアクションゲーム系のアプリ実行も余裕でこなせるようになり、大量のアプリダウンロードに備えて32GBもしくは64GBのストレージの違いによる2ラインアップ構成となった(ムービーや音楽再生はストリーミングのみでサポート)。

それに伴い、価格も32GBモデルが1万8400円、64GBモデルが2万4800円と高くなり、併売される第3世代モデルとの差別化が図られている。ポート類も、第3世代までは存在した光デジタル音声端子を廃して音声出力がHDMIに集約され、メンテナンス用のマイクロUSB端子もUSB−C端子に変更された。さらに、Siriリモートに加えてサードパーティ製のゲームコントローラ(MFi認定を受けたもの)にも対応し、家庭用ゲーム機並みの操作性を実現する。




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