【CHAPTER 1】アップルTV登場の背景にあるテレビが抱える問題点●Apple TVはテレビを変えるのか?❷|MacFan

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【CHAPTER 1】アップルTV登場の背景にあるテレビが抱える問題点●Apple TVはテレビを変えるのか?❷

文●大谷和利写真● Apple.com、LDprodイラスト●鈴木順幸

アップルTVの開発の背景には、既存のテレビへの不満があるに違いない。現在のテレビとテレビ業界が抱える問題点とは?

 


故スティーブ・ジョブズは、アップルTVに関して、「(アップルのビジネスから見れば)ホビーのようなもの」と言い続けていた。しかし、そう言いながらも開発を続行したのは、既存のテレビに対して大いなる不満があったためと考えざるをえない。そして、その理由こそが、現在のテレビとテレビ業界が抱える問題点なのである。ここでは、まず4つの視点から、それらの問題点をあぶりだしてみることにしよう。

 

花形メディアから周回遅れとなったテレビ

テレビは、1941年にアメリカでの商業放送が開始され、日本ではそれに遅れること12年、1953年にNHKの本放送が始まった。それから60年以上の月日が経っている。人にたとえれば、テレビは還暦を過ぎたメディアなのである。

もともとテレビとはテレ・ビジョン(tele-vision)、すなわち「遠い視覚」という意味を持つ、映像技術やシステムの略称だ。日本では、その受像機自体も「テレビ」と呼ぶが、正式な英語の場合には“television set”のように「セット」を付けてはじめてハードウェア製品の意味になる。ブラウン管時代には、その上面がケーブルテレビやネットワークテレビの受信ボックスを置くのに適していたため、「セットトップボックス」という呼称が生まれた経緯があった。