野呂エイシロウの「ケチの美学」第66回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第66回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

努力という才能

ボクには「能力」がない。ダンスも踊れないし、大谷翔平選手のようにメジャーリーグで活躍することもできない。松山英樹選手のようにゴルフで成功を収めることもできない。経営の才能だって、投資の才能だってない。だったら、ボクには何ができるのだろうか? ふと考えてみると、やはり努力することしかないのだ。

コツコツと努力していたのでは、人並みの成功しか得られない。だったらケタ違いの努力をするしかない。人の3倍。いや、5倍努力するしかない。

ユーチューブ(YouTube)動画で、プロゴルファーの上田桃子選手が興味深いことを述べていた。ゴルフクラブの中には「アイアン」と呼ばれる、ボールをコントロールしやすいクラブがある。上田選手は9番アイアンを使って懸命に練習するそうなのだが、毎月グリップを交換するという。「毎月!?」とボクは心底驚いた。ボクが持っている9番アイアンは、購入後1年経っても、まだ新品同様だ。

上田選手は、生まれながらにして上手いわけではない。もちろん、ほかの人よりも才能があるのは間違いないが、プロになった今でも、ケタ違いの努力をしているのだ。

そう、努力こそが成長の証である。生まれながらにして天才というのは、本当にひと握りだと思う。数学の天才だって、問題を解き続けているからこそ、そのようになれたのだと思う。

数学を少しも習わずに、生まれた瞬間から微分積分ができたという人をボクは知らない。天才と呼ばれる人だってそれなりに、下手したら人の数倍も努力しているのだろうと思う。世の中、そんなものである。

だから、ボクもコツコツと努力するのだ。努力するという才能は、何歳になってからでも育てることができる。50歳を超えたボクが、今から陸上100メートルで世界新記録を樹立することは不可能だ。50メートル走を7秒台で走るのだって無理だろう。

でも、たとえば仕事で努力することは60歳、70歳からでもできる。常に努力すれば、なんとかなる。「紙一重」という言葉があるが、1枚の薄い紙だって、1000枚、1万枚あれば分厚くなる。最後には、それが書籍や辞書になるかもしれない。そう思って、毎日毎日努力すればよい。しかも、他人から見てもわかるくらいの努力を。自己評価は、自己満足にすぎない。努力は他人から評価されるものだ。さあ、今日も走ろう。

 

ゴルフを始めて、努力ということを久々に感じた。惰性でやっていた事柄をリセットする。

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。