総支払額をセーブできる新しい残価設定型リースの「安さ」に勝るメリット|MacFan

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総支払額をセーブできる新しい残価設定型リースの「安さ」に勝るメリット

文●栗原亮(Arkhē)

Apple的目線で読み解く。ビジネスの現場におけるアップル製品の導入事例をレポート。

MacやiPadを導入している/しようとしている企業にとって、最近のApple製品の値上げはデバイス導入の足かせになるだろう。このコスト削減に一役買うのが、Appleの法人・教育向け残価設定型リースプログラム「Apple Financial Services」だ。同サービスを取り扱う株式会社Tooに利用方法やサービスの詳細、導入にあたってのメリットを詳しく聞いた。

 

 

値上がりが続くアップル製品

2022年6月、M1チップを搭載するMacBookエアの価格が改定された。たとえば、256GBモデルは11万5280円から13万4800円となり、従来の価格に比べて約16.9%値上がりした。同様に、7月にはiPadシリーズで最大約41・7%、iPhoneシリーズで最大約25・8%値上がりしている。さらに、M2チップ搭載MacBookエアに関しても8コアGPUモデルの最小構成が16万4800円で販売されており、これまでのベーシックモデルと比べると割高感が否めない。相次ぐ値上げには、世界的な半導体不足による原材料価格の高騰をはじめ、国際情勢の不安定化や20年以上ぶりの円安水準、米国での記録的な消費者物価指数の向上などの複合的な要因が影響している。そのため、この傾向が短期的に収束するとはなかなか考えにくい。

近年は国内企業でのアップル製品導入が広まりつつあるが、この価格上昇トレンドが続くと調達計画に支障が生じかねない。そのような場合に検討したいのが、法人と教育業界向けにアップルが提供しているリース「アップル・ファイナンシャル・サービス(Apple Financial Services:以下、AFS)」だ。AFSは「残価設定型」という点が大きな特徴で、リース終了時の残存価値を保証する仕組みが採用されている。つまり、月々に支払うリース価格は、本体価格から残存価値を差し引いた価格を基に算出され、残存価値はアップルデバイスのモデルやスペック、発売開始からの経過時期やリース期間によって個別に決定される。この仕組みにより、リース期間における総支払額は通常購入額の約65~95%程度に抑えることが可能だ。契約期間は1~4年の間で選択でき、その期間が短いほど残存価値も高いため月額のリース料金を抑えることができる。

国内では、アップルの正規販売店(Apple VAR)がAFSを取り扱っており、2022年5月に国内で唯一AAER(Apple Authorized Enterprise Reseller)の認定を受けた株式会社Tooもそのひとつ。同社のアップル事業開発部に所属する山田未来氏に、最近のアップルデバイスの残存価値について詳しく話を聞いたところ、「アップル製品は発売から数年後も十分に利用に耐えうるので、中古価格が値崩れしにくいです。特にM1チップ搭載Macが登場してからは、その傾向が顕著です」とのこと。値上がり傾向が今後も長期化する可能性を考えれば、MacやiPadの導入時のコストを抑えられるAFSは多くの企業にとって魅力的な選択肢だろう。

やや専門的な話になるが、デバイスを一括購入で資産化する場合に比べて、AFSは会計面でのメリットも存在する。会計処理は賃貸借としてオフバランスで処理できるため、ROA(総資産利益率)改善やバランスシート(賃借対照表)のスリム化にもつなげることができるからだ(※企業ごとの会計基準による)。

 

1台からでも契約できる?

AFSを利用してアップル製品をリース導入する場合、選べるモデルや納期は一括購入時と大きく変わらない。基本的な手続きに関しての一番の違いは、リース会社による与信審査がある点だ。審査にかかる期間は企業規模や事業実態などによって異なるが、公開情報だけで業績を判断できる上場企業などの場合は1週間程度で審査を通過することもあるという。一方、非上場企業やスタートアップ企業では、追加の資料が求められたり、与信通過時の予算に制限を設けられたりする場合もあるそうだ。

「Tooでは、主にAFS提携リース会社のNECキャピタルソリューションの与信審査を通過することでAFSを利用できます。審査基準はリース会社ごとに定められていて非公開ですが、もしも審査に通らなかった場合でも業績の改善などが見られれば再度の申請で通過することもあります。AFSが気になるようであれば、まずは販売店に利用可否を問い合わせてみることをおすすめします」(山田氏)。

与信を通過すると、MacやiPadを1台からでもリース契約できる。しかし、事務手続きや会計処理の手間などを考えれば、現実的には複数台もしくは定期的に10~20台以上のデバイスを導入するパターンが一般的ということだ。

なお、AFSのリース契約期間中でも、リース残額を支払えば中途解約が可能。一般的なリースでは中途解約が認めらず、解約時に違約金が発生する場合も多いため、AFSを選ぶことで経営環境の急な変化にも対応しやすい点もメリットだ。

 

安心して使える仕組みも用意

AFSの利用時には、リース会社による「新価特約付動産総合保険」が自動で付帯する。これにより、1回の修理が補償限度額以下の場合は何度でも修理が可能になるなど、デバイス導入企業はリース期間中に安心して使い続けられるメリットがある。また、リース会社としては故障した状態でデバイスが返却される事態を防ぎやすい仕組みになっている。

Tooでは、AFS利用者向けの修理保証サービス「TooあんしんパックAFS」を独自に提供しており、契約時に加入可能。「新価特約付動産総合保険」では補償しきれない自然故障に対応するほか、各種手続きや修理時の製品ピックアップ/デリバリーなどをひとつの窓口だけで完結できるのが特徴だ。

また、AFSでは残存価値が設定されていることから、リース期間終了時は30日以内に製品を返却することが基本となる。事情があれば1カ月単位での延長を行えるが、この場合は付帯する保険が切れてしまうため取り扱いに注意が必要なことは覚えておきたい。

 

ITライフサイクルの安定化

ここまで挙げたように、トータルコストの抑制は間違いなくAFSの大きい魅力のひとつである。しかし、AFSを単なる法人向けのディスカウント施策として捉えてしまうと本質を大きく見誤るだろう。企業の成長や多種多様なニーズに合わせて最新のアップルデバイスを柔軟に導入できることこそがAFSの真のメリットであり、このメリットに魅力を感じる企業こそがAFSを最大限に活かすことができると言ってよい。

「最新の環境が必要なのはエンジニアというイメージがありますが、近年のビジネス環境の変化は速く、ITツールの導入による業務の高度化も進んでいます。たとえば、今後は広報やマーケティングといった職種でも動画編集などのクリエイティブ作業が求められることが増えるかもしれません。その際、iPhoneに慣れ親しんだユーザが操作しやすいMacやiPadが利用できるIT基盤を持つことで業務改善/効率化につながるケースもあるでしょう。AFSであれば、適切なタイミングで必要な数のアップルデバイスや周辺機器を調達できるので、企業のIT周辺環境とそのライフサイクルを保つのに役立てられるはずです」(山田氏)。

昨今の働き方の多様化やリモートワークの普及に伴い、業務ニーズに最適化したデバイス環境を維持することは今までよりも難しくなっている。従来のデバイス管理/運用方法では多大なコストと困難が伴うほか、先行きが見通しにくいデバイスの値上げリスクも存在している。だからこそAFSを導入することで、これらの負担やリスクを大いに軽減する効果が期待できる。さらには、最新のアップルデバイスの活用による業務効率化や社員満足度の向上など、これまでのIT環境よりも優れた環境構築を期待できる。

AFSの仕組み

契約終了時の残存価格を差し引いてリース価格が決定されるため、Appleデバイスを割安に導入できるのが一般的なリース契約との違い。リース契約には周辺デバイスを含むことができるが、残存価値の設定はMacやiPadシリーズの本体に限られる。

 

コストセーブ率

M2チップを搭載するMacBook Air/Pro(2022)のコストセーブ率。コストセーブ率は、導入するモデルやリース期間などの条件によって異なってくる。新デバイスの発売タイミングを見計らえば、値上がり分のコストを吸収することも可能だろう。

 

AFSと購入/通常リース/レンタルの比較

製品購入や一般的なリース、短期レンタルとAFSを比較した表。長期間同じデバイスを使い続けるのではなく、IT基盤をフレッシュに保ち続けたいと感じる企業など、導入目的や規模によってはAFSのメリットが活きてくる。

 

 

Apple公認のリース契約「Apple Financial Services」を利用すると、一括購入よりも安価にMacやiPadを導入しやすい。[URL]https://www.apple.com/jp/financing/

 

 

販売店独自の修理保証サービスを追加しておくと、AFSに標準付帯する「新価特約付動産総合保険」ではカバーしにくい故障に対応できる場合が多い。[URL]https://www.too.com/support/toocare/anshin/afs.html

 

AFSのココがすごい!

□通常購入額の約65~95%でApple製品を利用できる
□リースの途中でも解約できるため、経営環境の急な変化にも対応可能
□オプションサービスを展開し、デバイス故障を補償している