野呂エイシロウの「ケチの美学」第65回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第65回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

美しいものがすべて

先日、縁があって茶道の会に参加した。最初は「たかがお茶」と思っていたのだが、実際は会席料理でひたすら米を食べて、最終的に2杯の抹茶を楽しんだ。

焼き物、煮物も頂いたのだが、会席料理のメインはお米だった。無駄をとにかく削ぎ落としたシンプルな世界が、そこにあった。

茶会の最中、ふと気づくと、部屋に飾ってあった掛け軸が、途中で一輪挿しに変わっていた。きれいな花と蕾が、そこにあった。とにかく無駄がない。最小限で、最大の美しさである。

「今日、花屋さんを数軒周り、この一輪を選びました」

そう、すべてが選び抜かれた世界なのである。たった2杯のお茶を飲むために、徹底的に努力をするのだ。究極の美しさがそこにあることを実感した。

そこで興味を持ったのが、茶人・千利休である。今では茶道の本を読み漁っている。

戦国時代に織田信長が如何にして茶道というものを武士の嗜みにしていったのか? そして、豊臣秀吉はそれをどのように解釈し、なぜ千利休は切腹をすることになったのだか? 今はそれを探っている最中である。

こんなに茶碗や棗(なつめ)、茶杓といったものをじっくり見たのは人生初である。今までは「どれでも一緒だ」と思っていたのだが、じっと見ているとそれぞれ異なる雰囲気が漂う。

「じっくり見る」ということが大切だ。そうすることで、良いところも、悪いところも見えてくる。じっくり見るという体験は久々だ。

「これはゴルフや鮨にも似ているな」と思った。ゴルフの道具には、独特の美しさがある。パターやドライバーも、打つ前に結構眺める。100万円を超えるパターも存在する。鮨も、シンプルなのに奥深い美しさがある。僕は食べる前に30秒ほどは眺めるようにしている。

一つ一つを細かく眺める。その行動は、茶道にも通じるものがある。

美しいものは、ボクを魅了する。何時間でも眺めていられる。人間もそうだ。美しいほうがいい。ボク自身もこのもっさりした身体を捨てて、もっと美しくならねばと痛感する。この世は美しいものがすべてである。

 

人生初の茶会で、美に開眼する。人生初の茶会で、美に開眼する。

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。



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