iPadの「学び」を助けるデジタルペン活用|MacFan

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iPadの「学び」を助けるデジタルペン活用

文●栗原亮

Apple Distinguished Educatorに聞く!

iPadとデジタルペンを新しい時代の「文房具」として位置づけ、 すべての授業において利活用している聖徳学園中学・高等学校。同校のICT戦略を主導するApple Distinguished Educatorの品田健教諭に、デジタルペンがもたらす新しい「学び」の実像について伺いました。

 

聖徳学園中学・高等学校

東京都武蔵野市にある私立の中高一貫校。最新のICT環境を基礎に、STEAM教育とグローバル教育、アクティブラーニングなど生徒一人ひとりの志望に沿った「新しい学び」を実践していることで知られています。

 

 

品田健教諭

聖徳学園中学・高等学校の学校改革本部長・エグゼクティブICTディレクターに就任。2015年にADEの認定を受ける。

 

 

── 聖徳学園中学・高等学校でのiPadの導入状況について教えてください。

本校では中・高の全生徒800人以上および教職員にセミオーダー方式のBYOD(Bring Your Own Device:私有端末)でiPadを導入済みです。デジタルペンについても、タブレットならではの可能性を大きく広げるものとして、全員が持つようにしています。

── デジタルペンを活用する意義をどのようにお考えでしょうか。

教員にとっては授業スタイルが自由になることが大きいです。たとえば、iPadでデジタル教科書や資料などに直接書き込める、板書の際にホワイトボードの前にいなくても机間巡視しながら書き込めるといった手軽さがあります。生徒たちは「鉛筆とノート」と同じ感覚で使っていて、高校生にもなると「MetaMoJi ClassRoom」で紙に書くより速くノートを取る子もいます。何より、生徒たちが授業を理解するのに適した方法を自分自身で選べるようになったことがポイントで、「学びの個別最適化」はこのように進むのだなと実感しています。

── 実際の授業で、生徒たちはデジタルペンをどのように活用されているのでしょうか。

たとえば高校の情報の授業では、「Keynote」でデジタルペンによる描画とアニメーション機能を組み合わせた動画作成をしてもらいました。具体的には、生徒たちにデジタルペンでイラストなどを描いてもらい、アニメーションや「マジックムーブ」などのトランジションで動きをつけるというものです。これまで絵に苦手意識を持っていた生徒たちも、自分の書いたイラストなどが動き出すのを見て、とても喜んでいました。イラストの専門家になるわけでなくても、自分が表現したいものは自分自身の手で作れるという、クリエイティビティの教育効果は大きいのではないかと思います。ほかには、美術部の生徒たちは高機能なペイントツールとして「Adobe Fresco」や「ibisPaint」なども使っています。授業のほかに部活などでもデジタルペンの活用が進んでいますね。

── 中学・高校でのデジタルペン活用に違いはありますか。また、導入におけるコツなどはあるのでしょうか。

ペン自体の利用率は大きく変わりませんが、高校になるとテキストを入力する場面が増えてくるので、相対的には中学のほうがよく使っています。デジタルペンを導入するのであれば、「希望者のみ」など、誰かが使えないという状況は望ましくありません。最初は全員に持たせて、さまざまな使い方を教えてあげたあとに生徒本人に選ばせるようにしないと、活用は難しいと感じています。

── ロジクールのデジタルペン「Crayon」とキーボードケース「Rugged Combo 3」の使用感を教えてください。

これは贅沢な使い方になってしまいますが、私自身は職員室ではApple Pencilを、授業のときはCrayonを使っています。それというのも、Crayonはペアリング不要なので、自分のiPadだけでなく、生徒のiPadの画面にも書き込めるからです。また、充電の利便性やキャップがなくならないといった細かいところも学習向けと感じました。一方Rugged Combo 3は、画面の角度が自由に調節できるところが利点です。iPadの画面の角度が立っていると、授業中などに書き込みがしにくいですし、平らに置いてしまうと生徒も教員も覗き込む感じになってしまい不便です。その点で、デジタルペンとの相性がよいキーボード付きケースだと感じました。

 

アナログペンもデジタルペンも活用

聖徳学園中学・高等学校では1人1台環境のiPadをセミBYODで実現。デジタルペンも全生徒・教職員が利用できる環境を整えました。授業において、シャープペンシルと紙のノートを選ぶか、iPadとデジタルペンにするかは生徒の自主性に委ねています。

 

授業支援ツールの能力を最大化する

「デジタルペンはかなり進化している」と品田教諭。「書き込みや消去、拡大縮小が自由にできるのがデジタルペンの利点です。これがないと、せっかくのロイロ・ノートやMetaMoJi ClassRoomといったアプリが活かしきれないと感じています」。

 

教育現場で活躍する!おすすめロジクール製品

 

Crayon

【発売】ロジクール
【価格】8800円(型番:iP10) 
【URL】https://www.logicool.co.jp/ja-jp/product/grab-a-crayon

2018年以降のiPadに対応したデジタルペン。Apple Pencil対応アプリで動作し、iPad上での学習に役立ちます。

 

Rugged Combo 3

【発売】ロジクール
【価格】一般向け(型番:iK1054RE/EC)オープン価格、教育向け(型番:iK1054BB)問い合わせ
【URL】https://www.logitech.com/en-us/product/rugged-combo-3

Smart Connectorを搭載し、耐水・衝撃性にも優れたiPad用キーボードケース。キー配列はJIS規格を採用しています。

 

「Crayonはペアリングがいらないので、教員が生徒のiPad上にもシームレスに書き込めます」と語る品田教諭。Apple Pencilと比べて、キャップを紛失する心配がないことなどもメリットだと言います。

 

「Rugged Combo 3はタイピングやコンテンツ視聴など、用途に合わせて4つのモードに切り替えられるのが利点です」と品田教諭。デジタルペンに適したスケッチモードでは、机を省スペースに使えます。

 

企画協力●株式会社ロジクール