教育・医療・Biz iOS導入事例

「ClassKit」が生み出す新しい学習体験

文●氷川りそな

Apple的目線で読み解く。教育の現場におけるアップル製品の導入事例をレポート。

教育シーンにおけるデジタルデバイスの利用が急増する中、iPadの存在感が揺るぎないものになりつつある。その下支えとなっているのが、iPad上で動く豊富な教育アプリなのは間違いない。Appleが提供する授業向けアプリと、サードパーティ製のアプリを連係させるフレームワークに注目してみよう。

 

教えるためのツール

文部科学省が示す「GIGAスクール構想」を受け、またコロナ禍においてオンライン授業の普及が進んだことなどにより、教育機関によるICTデバイスの導入が加速している。その中でも、学習者用コンピュータとしてのiPadへの支持は以前として根強い。その魅力としては、本体性能の高さだけではなく、授業を支援する教育アプリの種類が豊富で、無料・有料問わず高機能なものが多いことなどが主に挙げられる。教育アプリというと「学ぶためのツール」を思い浮かべると思うが、「教えるためのツール」も忘れてはならない。アップルは教員を支えるための環境作りにも力を入れているのである。

たとえば、2016年に提供が開始された「クラスルーム」は、教員がiPadを最大限活用して授業を行うためのアプリケーションだ。これによって授業に参加する児童生徒全員の画面を同時に見たり、個人もしくはクラス全員を任意のアプリやWEBサイトなどに誘導することができるようになる。

また、学習に集中してもらいたいときには特定のアプリのみが動くようにiPadをロック状態にしたり、音声をミュートすることも可能だ。さらにWEBページやePub、PDFなどを共有できるなど、効率的に授業を進めるための機能が多数搭載されている。

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「スクールワーク」アプリと、App Store内の教育アプリを連係させるためのフレームワークが「ClassKit」だ。ClassKit対応アプリは、スクールワーク内の各種機能と連係でき、さまざまなコンテンツやアクティビティなどを一元的に提供できるようになる。

 

 

教育の本質に向き合う

2018年、学習管理をさらにサポートするべく登場したのが「スクールワーク」アプリだ。クラスルームが「授業中」にフォーカスしたツールなのに対して、スクールワークは「授業後」の児童生徒と教員を結びつきをより深くするためのツールである。

スクールワークを活用することで、授業で使う教材の共有や児童生徒の進捗状況の確認ができる。また、教科を問わず、それぞれのニーズに応じて幅広く指導方法を調整することも可能だ。搭載された配付物機能を用いれば、教材だけでなく、行事のお知らせやリマインダ、課題などを電子メール感覚で個々の児童生徒やクラス全体に送信できる。同様に、児童生徒たちは課題の確認や提出、自分の進捗状況の確認などをすべて、1つのアプリ内で行える設計だ。

スクールワークの特徴のひとつとして、「ページズ(Pages)」や「スウィフト・プレイグラウンズ(Swift Playgrounds)」といった純正アプリはもちろん、サードパーティアプリとも連係ができる点が挙げられる。そのためにアップルが用意したのが「クラスキット(ClassKit)」と呼ばれるフレームワークだ。クラスキット環境は教員のデバイスと、(管理対象アップルIDによって管理されている)アイクラウド(iCloud)を介して通信する児童生徒のデバイスで構成されている。クラスキット対応アプリは、スクールワークとともに実行し、クラスキットはデバイス上のハブとして機能する。

教員がスクールワーク上で課題などのアクティビティを割り当てると、クラスキット対応アプリならば、そのアクティビティにおける児童生徒の進捗についてのレポートを作成できる。具体的にはアプリ内での進捗または作成したプロジェクトの進度をアクティビティ全般にわたって、スクールワークからグラフィカルなユーザインターフェイス(UI)で確認できるようになる。そうした進捗データを教員間で安全に共有したり、児童生徒ごとに教え方を調整したりできるようになるのだ。

 

 

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ClassKit対応アプリをスクールワーク上で選択すると、定義されたコンテンツ(書類やビデオなど)やアクティビティが表示される。教員はこれらを課題として送信することが可能だ。

 

 

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ClassKit対応アプリから送信された課題や授業の進捗度は、スクールワーク上で確認することが可能。柔軟性を高めるための工夫が随所に見られる。

 

 

充実した新機能の追加

今年5月にリリースされたスクールワークのバージョン2.0では、インターフェイスのデザインが刷新されただけでなく、クラスキットのアップデートによって、いくつかの機能追加を果たしている。中でも特に注目されているのが、「カタログAPI(Catalog API)」と呼ばれるWEBサービスだ。

教育ICTの中でもっとも重要なもののひとつとして、「教材(コンテンツ)」が挙げられる。その内容は必要に応じて柔軟に更新されるべきであるが、そのたびにアプリのアップデートを行うのは非効率だ。カタログAPIを利用すると、コンテンツはアプリから分離され、独立してネットワーク上でも更新が行えるようになる。データもローカルに限らず、クラウド上など、さまざまな場所を選択可能になる。

そのほか、今回のアップデートによって、利用する学習アプリのメタデータの拡充やコンテンツのカタログ検索などが追加されており、授業をより円滑に行うための工夫が随所に見ることができる。

クラスルーム、スクールワーク、そしてアップルの教育向けフレームワークが組み込まれたアプリ。iPadを活用したより良い学習環境を構築するためのコアとなる技術として、「クラスキット」をぜひとも覚えておいていただきたい。

 

今すぐ使える! ClassKit対応アプリ

 

天体観測・学習の定番アプリ

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Night Sky

【開発】iCandi Apps
【価格】無料(App内課金あり)
【URL】App Store>辞書/辞典/その他

 

天体観測を楽しむことができるベストセラーアプリのひとつ。iPadを空に向けることで、ARを使って上空に浮かぶ惑星や恒星、星座を3Dで眺めることができる。また、国際ステーションの位置などをSiriに調べてもらうことができる「Siriショートカット」など、OSの機能対応にも積極的。ClassKit対応機能としては、星空に関する知識を問うクイズが豊富に用意されている。

 

幾何学への理解をサポート

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Shapes

【開発】Learn Teach Explore Sp. z o.o.
【価格】610円
【URL】App Store>教育

 

さまざまな図形の展開図を使用して立体を作ることができる教育アプリ。頂点や縁をハイライト表示したり、色を変更したり、さらに多彩な角度変更やズームなどを組み合わせることによって、現実では理解が難しい立体図形の展開にも対応できるのがポイント。アプリ内で出来上がった展開図は、印刷して実際に組み立てることもできる。

 

ゲーム感覚でプログラミングを学ぼう

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Swift Playgrounds

【開発】Apple
【価格】無料
【URL】App Store>辞書/辞典/その他

 

子どもから大人まで楽しくプログラミングを学べる人気アプリ。Apple純正であり、なおかつ言語もSwiftに特化されているが、ゲーム感覚でプログラミング的思考を養う「コードを学ぼう」や、サードパーティ製のハードウェアをプログラミングで操作することができるシリーズなど、そのコースとクオリティの充実ぶりは他を圧倒している。

 

クイズ形式で授業が盛り上がる

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Kahoot

【開発】Kahoot! AS
【価格】無料(App内課金あり)
【URL】App Store>教育

 

このアプリを使えば、複数の選択肢の中から正しい答えを誰が一番先に選ぶことができるか、クイズゲーム形式で学習を進めることができる。2013年から教育の現場などでも広く使われてきた人気のサービスのひとつで、ビジネスの現場でも使われることが多い。出題はオリジナルのものを作成するだけでなく、数百ある既存のトピックから選んで児童生徒に問題を配布することも可能だ。

 

より良い音楽のための基礎教育を

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Earpeggio

【開発】Blazing Apps Ltd
【価格】無料
【URL】App Store>ミュージック

 

間奏、和音、音階、リズムの識別を耳で聴きながらトレーニングしていくアプリ。クイズ形式で基礎を学んでいくだけでなく、メロディやリズムのディクテーション(書き取り)にも対応するなど、学習思考が強いのも特徴。GarageBandなど、ほかの音楽制作系アプリと組み合わせることで、センスだけでなく理論に基づいた作曲もできるようになる。

 

レポートの提出と依頼を双方向に

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Pages

【開発】Apple
【価格】無料
【URL】App Store>仕事効率化

 

Apple純正のワープロツールであると同時に、ClassKitに対応する見本ともなるアプリ。文章の作成に必要となる基本的なレイアウト機能はもちろんのこと、読みやすさも十分に考慮されたテンプレートやコメント、脚注、巻末注、LaTeXまたはMathML表記の数式や方程式が記述可能など、レポートツールとしても極めて強力な機能を備えている。

 

ClassKitのココがすごい!

□ 対応アプリ内のアクティビティを課題として設定できる
□ 提出期限の管理だけでなく進捗状況も確認できる
□ カタログ機能でコンテンツ管理がより簡単に行える



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