教育・医療・Biz iOS導入事例

Appleが認めた要注目MDMツール「Mosyle Manager」

文●氷川りそな

Apple的目線で読み解く。教育の現場におけるアップル製品の導入事例をレポート。

授業のオンライン化などによりITニーズが高まり、教育機関におけるデバイスの運用・管理に対する悩みが増えている。それを解決するのが「MDMツール」だが、導入・選定を進める現場にとって新しい選択肢が出てきた。料金体系のわかりやすさが特徴的な注目ツール「Mosyle Manager」だ。

 

MDMの新たな選択肢

教育機関において、MacやiPadといった端末の配付、管理、そして運用を行う場合、避けて通れないのがMDM(Mobile Device Management=モバイルデバイス管理)ツールの活用だ。MDMは、アップルが提供する端末管理のためのフレームワークで、これを利用したMDMツールを用いることで、管理者は導入端末すべてを管理下におき、ネットワーク経由で一元的にコントロールすることができる。

アップルデバイス向けのMDMツールは数多く存在するが、代表的なものはアップル公式WEBサイトにある「小中高等学校の教育」の「ITと導入」というトピックの中で紹介されている。中でも、現状の国内教育市場におけるMDMツールといえば「ジャムフ(Jamf)」(Jamf Japan株式会社)と「モビコネクト(MobiConnect)」(インヴェンティット株式会社)の2強状態といっていいだろう。しかし、この状況を変化させる可能性がある注目株が登場した。それが「モザイル・マネージャー(Mosyle Manager)」(Mosyle社)だ。

前述のアップルのWEBサイト内にMDMツールとして追加されたのはごく最近のことだが、2012年からサービスを始めており、70カ国・1万4千以上の学校や企業などで採用されているなど、その実績には確かなものがある。

 

シンプルさを武器に

アップルデバイス向けのMDMツールに搭載されている基本機能は、細かい違いはあれど、各社ともほとんど横並びだと言っていい。アップルが提供する教育機関向け管理者ポータル「アップル・スクール・マネージャー(Apple School Manager」や授業支援ツール「クラスルーム」などが利用できることはもはや当たり前であり、そのほかアプリやブックといったコンテンツの配付、プロファイルによる各種ユーザやシステムの管理と設定が行える必要がある。さらにアップルが提供する端末自動登録プログラム「Device Enrollment」が利用できることで、「キッティング(初期設定作業)」を自動化させて、導入コストを削減させることができる。

MDMツールを選定する場合、利用者としては、どのMDMツールを採用しても大きな問題がなくなった一方、機能面以外でも差別化要素を探さねばならない。

ここでモザイルの話に戻そう。モザイルは、当然ながら、アップルデバイスのMDMツールとして必要な機能をすべて搭載しながら、日数や台数の制限のある評価版というわけではなく、永続的に無料な「ベーシックプラン」を利用することができる。そのため、他サービスと比べて、導入ハードルが圧倒的に低い。

機能制限がない「プレミアムプラン」であっても、提供価格は年にわずかに5.5ドル(約600円)。教育機関向けという限定的な条件ではあるものの、その安さでは圧倒的だ。ライセンスもデバイス単位もしくはユーザ単位(この場合は1つのアカウントにつきデバイス3台まで)のどちらかの形態を選ぶシンブルなもの。利用デバイスの種類によって価格が変動することがなく、同一の金額で使うことができる。

これにより導入(もしくは管理対象)の規模を拡大する際、契約シチュエーションごとに複数の見積もりを作る必要がなくなり、今後の予算の見通しが立てやすくなる。

MDMツールは価格競争も激しいため、サービス内容によって細かく金額を設定しているベンダーも多い。しかし、モザイルは導入前・後に関わらず利用者目線でわかりやすく、かつ導入しやすいスタイルで価格を提示している。

 

その課題と希望

繰り返しになるが、MDMツールは各ベンダーが凌ぎを削っており、提供される機能面での優劣差は少なくなりつつある。加えて、プラットフォームを提供するアップル自身もOSのフレームワークに設定・利用可能な項目をこの秋から充実させていくロードマップを描いている。

このことから考えても、独自サービスの提供などで差別化できる部分はより少なくなり、今後は機能の均一化が図られていくだろう。その点で考えると、モザイルは価格体系で他社から一歩抜け出した印象を与えてくれる。

とはいえ、不安要素もある。モザイルは本稿執筆時点では日本法人がなく、日本語によるサポートが得られないことだ。MDMツールの場合、リアルタイムで死活監視をするようなシチュエーションは少なく、年中無休でサービス稼働を求める類のものではない。だが、予期せぬ不具合やダウンタイムに対してサポートを求めようとしたときに、言語の問題や時差によるリードタイムの長期化といったリスクが浮かび上がってくる。それらを受け入れられるかどうかは導入前に考慮するべきだろう。

もちろん、そうしたリスクを超えるメリットを見出して、実際にモザイルの導入を始めた教育機関も国内に出てきている。もとよりMDMは、アップルデバイス管理を行うプロファイルマネージャーの概要をある程度把握し、運用するOSに対するリテラシーがあるIT管理者であれば、運用自体はさほど難しくない。

モザイルは、学年・学科単位といった大きな規模に対して一度に配付するようなケースなどで現状実績が少なく、まだ万人に薦められるものではないのかもしれない。しかし、クラスもしくはグループといった小さな単位からMDMを導入したいが、予算を捻出するのは現時点では難しい、といったケースであれば、十分検討に値するソリューションになるだろう。

 

 

  • af_edu_01.jpg

Mosyle Manager
【開発】Mosyle Corporation
【URL】https://manager.mosyle.com

「Apple Developer」で公開されているMDMを中心に新機能全般を解説するセッション「Appleデバイスの管理に関する新機能(What's new in managing Apple devices)」は必見だ。 【URL】https://developer.apple.com/videos/play/wwdc2020/10639/

 

 

  • af_edu_02.jpg

Mosyle Managerが提供するサービス一覧。無料のベーシックプランであってもApple School Manager、クラスルームとの連係などを筆頭に、MDMにおいて最低限必要とされる機能が提供されている。有料のプレミアムプランでは、Active Directoryや稼動中のMacに対するデプロイなどを中心に、より規模の大きな組織の管理に必要とされる機能をサポート。スケールに見合った機能提供の切り分けがされた、よく考えられたプランに仕上がっている。

 

 

  • af_edu_03.jpg

Mosyle Managerの価格体系はデバイスごと、もしくはユーザごと(1つの管理対象Apple IDにつきデバイス3台まで)の2種類から選択でき、どちらを選んでも価格が変わらない。このユーザ目線に立った設定には好感が持てる。

 

 

  • af_edu_04.jpg

サービス利用の申し込みには、教育機関名や公式WEBサイト、独自ドメインを持ったメールアドレスなど、いくつかの条件がある。Mosyle社のスタッフがすべて正しいことを確認するとアカウントが付与されるようになっている。

 

 

  • af_edu_05.jpg

Mosyle社のWEBサイトには、導入事例紹介が豊富に用意されている。ビデオと文字起こしされたテキストが用意されており、ビデオはYouTubeに公開されているため、字幕を日本語翻訳して閲覧できる。まずは実際に見てみることをおすすめしたい。

 

☞Mosyle Managerのココがすごい!

□ 無料のベーシックプランであっても利用できる機能が多い
□ 年間利用料が他のMDMツールと比べて圧倒的に安い
□ 料金体系がシンプルで予算が組みやすい



同カテゴリ記事一覧