教育・医療・Biz iOS導入事例

“Video First!”でZoomミーティング

文●牧野武文

Apple的目線で読み解く。ビジネスの現場におけるアップル製品の導入事例をレポート。

企業向けビデオ会議ソリューションの「Zoom」が国内でも急速に広がっている。場所や時間、端末などに制限されない、Zoomミーティングが支持される理由とはいったい何なのか。従来のビデオ会議の延長線上にはない、ビジネスコミュニケーションの再定義がそこにはある。

 

 

広がる理由はその世界観

企業向けクラウドビデオ会議ソリューションとして知られる「Zoom」(ズーム)が急速に広がっている。米国では個人およびあらゆるサイズの事業において標準ツールの地位を確立するほどまでに成長し、国内においてもJALやウーバー(Uber)、楽天、リクシル、クックパッドといった大手企業やスタートアップをはじめとするさまざまな業種業態への導入が進んでいる。企業向けビデオ会議ソリューションはさまざま存在しているが、2011年に設立された後発のZoomが、なぜ勢いを持って拡大しているのだろうか。

  「Zoomは、従来のビデオ会議ソリューションとは世界観がまったく違うからです」(Zoom Japan株式会社 カントリーゼネラルマネージャー 佐賀文宣氏)

その“異なる世界観”とは3つに要約することができる。

①途切れない、遅延しない高い通信品質

②時間や場所、端末などに制限されず、会議や通話、チャットなどを即座に始められるストレスフリーの体験

③モバイル時代に即した映像ベースの効率的なコミュニケーションの実現

 

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Zoom Japan株式会社 カントリーゼネラルマネージャー 佐賀文宣氏(右)と、シニアセールスエンジニア 安田真人氏(左)。

 

 

クラウドネイティブの設計

Zoomを使ってみて、まず誰もが驚くのが通信の安定感だ。通信品質は端末や4G回線、Wi−Fi回線の状況にも左右されるため安易に断言をすることはできないが、使ってみてもらえれば従来とは別次元の安定感を感じていただけると思う(40分までの利用は無料だ)。

確かに、既存のビデオ会議ソリューションも、今では途切れる、遅延することはほとんどないかもしれない。しかし、会話の障害にならない程度の微細な途切れ、遅延は起きている。ところがZoomでは一切そのようなことがなく、会話に集中することができる。これは「会議」「ミーティング」の質を上げるうえで、きわめて重要なことだ。

では、なぜZoomはここまで高い品質を実現しているのか。「Zoomの開発が始まったのはわずか8年前です。ですから、システム自体が新しいテクノロジーをベースに作られているのです」

ビデオ会議ソリューションの歴史は長い。米国では1960年代から開発が始まっている。そのため、多くのソリューションが当時のグランドデザインに基づいた設計のまま、改善や機能追加を行っている。ところが、Zoomはスマートフォンやタブレットが急速に普及したモバイル時代にゼロから開発された。

「Zoomは、従来のビデオ会議ソリューションと異なり、100%クラウドベースで作られています。独自の圧縮技術や世界中にあるデータセンターの効率的な利用、さらには現在のモバイルデバイスの有り余るパワーを利用した分散処理など、クラウドネイティブでいちから設計されているため、高品質で安定した通信を実現しているのです」

たとえばZoomでは最大1000人がビデオ会議に参加することができ、画面には49人までのビデオを分割表示することが可能だが、驚くことに、この49人のビデオ映像が実にスムースに動く。

「ビデオ品質はHDが基本ですが、49人を分割表示するときは、解像度を49分の1にダイナミックに落としてしまいます。HD品質のビデオを送っても、表示スペースが小さいので意味がないからです。ですので、1人のビデオを表示するときも、49人のビデオを同時表示するときも、通信量としてはほぼ同じなのです」

 

 

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ユーザインターフェイスは実にシンプルで、誰でもすぐに使い始めることができる。

 

 

ストレスフリーの体験

Zoomのもう1つの利点が、ビデオ会議を始めるまでの手際のよさだ。従来のソリューションでは、専用端末が用意された会議室へ移動したり、ノートPCを会議室に設置したうえでまず誰かとつないで回線テストを行い、それから参加者のアカウントを選択、呼び出しをかけるというようなやり方になることが多い。事前に使用するツールのアカウントを相手側が持っているか確認しなければならないこともある。

一方で、Zoomでコミュニケーションを開始するのは実に簡単だ。“Zoomミーティング”を始める主催者は、会議を予定したらミーティングIDまたはURLを発行し、参加者にこのIDかURLを送る。送信方法は、メールでもメッセンジャーでもWEBでも、Zoomアプリ経由でもかまわない。そして参加者は、このIDやURLをクリック/タップするだけで、Zoomのアカウントを持っていなくても会議に参加することが可能だ。

また、開始時刻が決まっているのであれば、iOS「カレンダー」アプリやGmail、アウトルック(Outlook)などにミーティングIDを埋め込んでおくといい。会議時間になるとプッシュ通知が届くので、通知をタップすることで会議に参加できる。もし少人数で即座にビデオ通話をしたいなら、Zoomアプリの中から相手のアカウントを選ぶだけ。テキストチャット機能もあるので、事前にチャットで相手の都合を確かめることも可能だ。

つまり、事前準備というものがほとんど不要で、必要なときにすぐにワンクリック/ワンタップで開始できる。この手軽でストレスフリーな体験が多くの人々に支持されている理由でもある。

便宜上、Zoomは「ビデオ会議ソリューション」と呼ばれることもあるが、その本質はまったく異なる。

「Zoomは、“ビデオファースト”なコミュニケーションツールだと考えています」(Zoom Japan株式会社 シニアセールスエンジニア 安田真人氏)

ビジネスにおけるこれまでの会議の在り方、または電話と電子メールが主流だったコミュニケーションの形を「映像」を起点に大きく変えるものだ。場所や時間に制約されずに必要なときに始められる、テキストや音声よりも相手の表情や身振り手振りもわかる、まるでちょっと立ち話をするかのようにオンライン上でつながれる。従来のビデオ会議ソリューションが会議室と会議室を結ぶものだとしたら、Zoomは人と人を結ぶものだ。スラック(Slack)がテキストファーストのコミュニケーションを変えたのなら、Zoomは現代の多くの人が望む形で、映像によるビジネスコミュニケーションを今まさに変えているのだ。

 

 

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Zoomミーティング主催者が開始時刻の決まった会議を設定すると、iPhoneの「カレンダー」アプリやGoogleカレンダーに自動登録される。このカレンダー項目を参加者と共有しておくと便利。参加者側では、会議開催時刻になるとプッシュ通知が表示され、タップすることでZoomアプリから会議に参加できる。また、ビデオが使えない状況では、電話を使って音声のみの参加も可能だ。

 

 

充実した便利機能

こうした特徴に加え、Zoomにはモバイル/クラウド時代にふさわしいさまざまな便利機能が搭載されていることも特筆すべきだ。まず管理者向けには「Zoomダッシュボード」と呼ばれる管理機能が用意されており(利用にはビジネスプランが必要)、利用者の使用状況や使用量、デバイス&バージョン情報などを瞬時に確認できるため、何か不具合が生じたときに原因の特定を行いやすくなっている。

「多くの企業が導入前には、ビデオ会議ソリューションの費用対効果を厳しく検討します。もちろんそれも大事ですが、さらに重要なのは導入後に、費用対効果を測定して改善に結びつけることだと考えています」

そのほか、テキストやイメージ、音声、ホワイトボードなど、多くのファイルの共有機能、会議内容をクラウド上またはローカルに自動保存する機能、セミナーやイベントなどをオンライン上で行う「Zoomビデオウェビナー」、さらには参加者の外見補正や背景を自由に選べるバーチャルバックグラウンド機能なども評判が高い。米国版では、会話の内容を自動でテキスト化して、議事録を作る機能などもある。

新しい時代の、新しい働き方にふさわしい、新しいコミュニケーションの実現。Zoomが実現しようとしているのは、ビジネスにおける“つながり”の再定義だ。ここまで読んで、「会議は会議室でするもの」と思えない人はすぐにでも新しい世界へ足を一歩踏み出してほしい。

 

 

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表示する参加者のビデオの数は途中でいつでも切り替えることができる。最大で49人まで表示可能。この49人のビデオが滑らかに動く。

 

 

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ユニークなのがバーチャルバックグラウンド機能。背景を風景写真などに切り替えることができるというもの。テレワークで自宅の様子を写したくない、研究オフィスなどで写ると問題のある要素がある場合などに役立つ。一見、お楽しみ機能に見えて、実はかなり実用的な機能だ。

 

 

Zoomのココがすごい!

□クラウドネイティブのシステムにより圧倒的な高品質を実現
□ワンタップ/ワンクリックで始められる
□ビジネスコミュニケーションを映像を起点に再定義



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