野呂エイシロウの「ケチの美学」第33回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第33回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

モチベーションを上げるのを止める

この2年ほど、ボクは“自然に”仕事ができている。50歳を超えたときからだっただろうか。

それまでは、仕事をするときにモチベーションを上げていた。コカ・コーラを飲んで血糖値をアップして盛り上げたり、大好きな映画「摩天楼はバラ色に」(1987年公開/ マイケル・J・フォックス出演)のテーマソングをイヤフォンで聴きながら会議に向かっていたりした。それこそ、iTunesに「モチベーション」というプレイリストも作っていた。NHKの大河ドラマ「風林火山」のテーマなどもそこに入っていた。

面倒くさい仕事のときは、神社で「うまくいきますように」「怒られませんように」などとお祈りをしてから仕事へ行っていた。

そう、モチベーションややりがいを見出さないと仕事ができなかったのだ。

「早く会議を終えて飲みに行こう」などと思っていた時代もあった。そう、遊ぶほうに楽しみを見出していた。そのほかにも、「成功したらフェラーリを買おう」「ハワイに遊びに行こう」などと思っていた時期もある。

当時、ボクの頭の中では「モチベーションを上げる」「やりがいを見出す」というのが超大切だった。

あなたも、仕事をするときに、モチベーションを上げたり、やりがいを見出したりすることはないだろうか?

だが、今から2年ほど前、50歳のとき、ボクはふと思った。「仲間と楽しいご飯へ行くのにモチベーションを上げる必要があるんだっけ?」「温泉へ行くのにやりがいを必要とする?」「ハワイに行くのにモチベーションは必要?」と思った。もちろん、そんなことはない。

「そっかー。楽しくないから、つまらないからモチベーションを上げる必要があるんだ」。そう気づいて、それからつまらない仕事を止めることにした。

すると残ったのは、楽しいことだけ。原稿を書く仕事も、企画を考える仕事も、会議もすべて、デートや、ハワイへ行くのと同じレベルで楽しめるようになってきた。問題点もルービックキューブを解くようなものだと解釈をしたら楽しめるのだ。そんな感じだ。「早く会議が来ないかな」とさえ思えるようになった。

モチベーションを上げなければならないことはすべてやめる。すると人生は、楽しいことだらけになる。それは僕自身が自営業だからかもしれない。サラリーマン生活をわずかしかしたことがないから、詳細はわからないけど、取捨選択ができるからそんなことができるのかもしれない。

でも、自分の人生なのだから、もっと楽しんだほうが得かなと思う。すべては自分の心に聞くところから始めよう。すると人生も桁違いに楽しくなってくるはずだ。

 

新しいマシンは音も最高。さらに人生が楽しくなる。

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。