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CDドライブ「IBM CD-20XS」

文●岩屋民穂

時代に埋もれた個性派廃盤プロダクト

軍の弾道計算や暗号解読を目的として発明されたコンピュータが、単なる工業計算機から「パーソナルコンピュータ」として人々の生活に溶け込み欠かせない物へと変化していったのは、70年代パロアルト研究所のアラン・ケイや、それに影響を受けたAppleのジョブズとウォズ等が、無機質なブラックボックスに思想、哲学を付加させていった功績だと言えるだろう。特にジョブズは、早くからマニアではない一般人との接点を強く意識し、それがハードからUIの設計思想、販売店、パッケージングにまですべてにおいて一貫したテーゼに溢れていた結果、デザイン性の高いパソコン=Appleという強い認識を得ることになった。

しかし見落とされがちだが、Appleより古くタイプライターの時代から存在するIBMも、Appleとはまた違ったカタチでデザインと向き合ってきたと言えるのではないだろうか。92年から販売されているThinkPadシリーズはソリッドな形状の黒いケースとアクセント的な赤いポインティングデバイスが特徴的なノートPCだが、そのデザイントーンが約30年間に渡って変わらず、時代性に影響されない強いデザイン強度で今でも新製品がリリースされている普遍的なプロダクトとして確立している。流行り廃りの激しいデジタルガジェットでこんなにもデザイン設計が持続され続け、どの時代でも一貫したデザインを作り続けているプロダクトはほかに例をみない。またIBMのロゴデザインにアメリカの名デザイナー、ポール・ランドを起用していることや、プロダクトデザイナーであり映像作家であったイームズをディレクターに迎え、数々のインスタレーションやプレゼンテーションフィルムを制作していたりと、デザインに対して常に意識的だった企業と言える。




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