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10年前から始まっていたAppleのプライバシーデザイン

GAFAと一括りにできないAppleの「プライバシー保護方針」

文●松村太郎

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世界中にサービスを展開する巨大テクノロジー企業を米国では「FAANG(ファング)」、日本では「GAFA(ガーファ)」などと束ねて呼称することがある。しかし、これを嫌っているのが「A」のひとつを構成するAppleだ。特に「プライバシー保護」に関する取り組みは、ほかの企業と一線を画している。

 

アップルは「違う」

「GAFA」とは、テクノロジーの巨人であるグーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルの頭文字をまとめた言葉だ。昨今、一括りに語られることの多い4社であるが、こと「プライバシー保護」の取り組みを比較すると、アップルが異なることに気づく。ほかの3社はクラウド上に個人情報をアップし、それをさまざまな情報と結びつけることで利便性を出している会社だ。しかし、アップルは「個人の情報をできるだけiPhoneから出さずに処理する」という方針をとっている。

実は、その方針は、スティーブ・ジョブズCEO時代に発売されたiPhone 3GS(2009年発売)から始まっていた。ハードウェアで情報を暗号化するためにはどうすれば良いかというアプローチからスタートしており、2010年発売のiPhone 4にて搭載するチップを自社設計のものに変更してから、その取り組みは加速していく。

たとえば、iPhone 8に搭載されている「A11バイオニック」プロセッサに独自チップ「ニューラルエンジン」を組み込み、iPhone内での機械学習処理を大幅に効率化した。これにより、現在のiPhoneでは個人データをサーバに送らなくても、音声アシスタントSiriが成立する設計になっている。デバイス内の情報とユーザの行動や状態の検出を組み合わせて、中央集権的な人工知能に頼らなくても、便利さを提供できるように取り組んでいるのだ。こうした取り組みを実現するひとつに、アップルが敷いている体制がある。

アップルでは、プライバシーは基本的人権としたうえで、「最小限の個人データ収集」「デバイス上での処理」「透明性とコントロール」「セキュリティ」の4つの指針がある。

それを踏まえて、現在のアップルには、プライバシーを専門とする法務チームと、同じくプライバシーに特化したエンジニアチームがあり、それらが協業している。そう聞くと、プライバシーチームがエンジニアリングチームの行き過ぎた情報活用を止めるようなイメージを持つかと思うが、実際はそうではない。

法務チームが情報収集が合法的だと判断した案件でも、エンジニアリングチームがその情報を使わずに実装すべきと、情報の活用を断るケースも少なくない。彼らがハードウェアチーム、ソフトウェアチームなどと連係して、現在のアップルのプライバシーを重視した製品やサービスを作り出している。




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