アラカルト Macintoshビギンズ

ジョブズ追放後のAppleの未来ビジョン

iPad+Siriを予見した? Knowledge Navigator

文●大谷和利

Blast from the past ── あの頃の懐かしい思い出

突然現れた次世代コンセプト

1988年1月のMacworld San Franciscoの基調講演で、当時のCEOであったジョン・スカリーは、驚くべき映像を公開した。それは、スティーブ・ジョブズ追放後のAppleが、依然として未来の情報環境のビジョンを示せることを世界に向けてアピールするために制作された、「Knowledge Navigator」と呼ばれるデバイスのコンセプトビデオだった。そのストーリーは、カルフォルニア州バークレーの大学教授が、Knowledge Navigatorをデジタル秘書として活用し、授業の準備や友人とのコミュニケーションをとっていくというものである。

実は、その前年の1987年暮れに、デザイン雑誌『AXIS』がKnowledge Navigatorのモックアップデザインを紹介しており、自分も含めて熱心なAppleファンたちは騒然となった。それまで、まったく見たことも噂にのぼったこともないその大判の本のようなモデルには確かにAppleマークが付いており、何らかの先行開発プロトタイプであるようにも思われたからだ。しかし、編集部に問い合わせてみても詳細は不明で、真相がわからないまま、新年を迎えた矢先、このビデオの中に、そのブック型マシンが登場したのである。

Knowledge Navigatorは、(1)アプリケーションを意識させない文書中心のアプリ環境、(2)後のインターネットのWEBシステムを思わせるハイパーテキストによる情報リンク、(3)高いビジュアルコミュニケーション能力、(4)ユーザと協調して問題解決にあたるインテリジェントなエージェント機能、(5)タッチパネルと音声認識・音声合成を応用したユーザインターフェイスなどを特徴とする21世紀の情報メディアツールという位置づけだった。そして文字どおり「知識を導く存在」として、人間の良きパートナーとなることが想定されていた。




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