2019.02.18
「バックアップ」の基本、トラブルシューティング、役立つTIPSや、合わせて使いたいソフトなどを丁寧に解説します。
【実践1】タイムマシンを使わずにバックアップする
ブート可能なバックアップ
タイムマシンバックアップの欠点の1つとして、バックアップディスクからMacをブートできないことです。内蔵ストレージがクラッシュした場合は、167ページで解説した方法でシステムの復元をしなければMacを使えません。これには数時間かかってしまいますし、直付けされているSSDストレージですとアップルによる修理も必要です。
そこで、万が一のときでもダウンタイムを最小にするために、起動ディスクのブート可能なクローンを作成しましょう。これさえあれば、外付けストレージからMacを起動して作業を継続できるので、仕事の納期が迫っているときでも安心です。
ただし、クローンをタイムマシンのような頻度で更新することは現実的ではないので、作業中のプロジェクトファイルは日ごろからアイクラウド・ドライブや「ドロップボックス(Dropbox)」などのクラウドストレージか、外付けストレージに保存するといった工夫も併用しましょう。
ブート可能なクローンを作るには、「カーボンコピークローナ(Carbon Copy Cloner)以下CCC」というサードパーティソフトを使います。標準のディスクユーティリティにも復元というクローン機能がありますが、macOSハイ・シエラの時点で起動ディスクの復元に失敗する不具合が直っていないため、現時点で確実なのはCCCしかありません。
もし不具合が解消されたとしても、ディスクユーティリティでの復元は、macOS復元からMacをブートする必要があるのでその間はMacが使えません。手順も完全に手動であり差分の更新もできません。その点CCCなら、自動バックアップ機能やバックグラウンドでの更新機能も備えており、とても便利なのでその価値があります。30日間の試用期間があるため、購入前に試すこともできます。
Carbon Copy Cloner 5
【発売】Bonbich Software, Inc.
【価格】4700円(30日間の試用期間あり)
【URL】https://bombich.com/ja/
ディスクユーティリティはダメ
ディスクユーティリティの[復元]でも起動ディスクのクローンを作成できるはずですが、最終段階で処理に失敗してしまいます。この不具合は、macOSハイ・シエラのリリース以来、1年以上放置されています。
CCCでバックアップ
Carbon Copy Clonerを公式サイトからダウンロードしてソフトを起動します。30日間の試用期間があります。
Carbon Copy Clonerのメインウインドウです。まずは[ソース]をクリックして[Macintosh HD]を登録します。
次に、[コピー先]をクリックしてブート可能なクローンを作成する外付けストレージを登録します。
スケジュールを設定します。万が一に備えての緊急用起動ディスクなら日単位や週単位、タイムマシンを置き換えるバックアップでしたら時間単位などにします。
スケジュールを有効にするためにはヘルパーツールのインストールが必要なのでログインパスワードで認証します。
セキュリティとプライバシーの設定でフルディスクアクセスを許可します。Carbon Copy Clonerのアイコンをシステム環境設定にドラッグします。
設定が済んだら初回コピーは手動で実行しましょう。タイムマシンの初回バックアップよりも高速なのもメリットの1つです。
[タスク履歴]を開くとバックアップの履歴やエラーを確認することができます。これもTime Machineにはない機能です。
バックグラウンドでバックアップタスクが完了すると、このように通知されます。
Carbon Copy Clonerでクローンしたディスクは、このようにシステム環境設定の[起動ディスク]パネルで確認すると、起動ディスクとして選べます。
実際にクローンの起動ディスクでMacをブートできました。ただし、外付けハードディスクからブートするとSSDに慣れたユーザはものすごく遅く感じます。