2019.02.07
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2018年12月10日、インターネット商用化25周年&「ビッグ・デモ」50周年を記念したシンポジウム「IT25・50」が日本全国で同時開催された。伝説のコンピュータ科学者、アラン・ケイが基調講演を行うことで注目された本イベント。彼が語ったのは、テクノロジーの本来あるべき姿についてだった。
アラン・ケイという重要人物
2018年はインターネットが商用化してから25周年、また「ビッグ・デモ」と呼ばれるダグラス・エンゲルバートのNLS(oN Line System)デモが行われてから50周年にあたる。1968年、スタンフォード研究所で行われたこのビッグ・デモをきっかけに、今私たちが使っているデバイスにつながるIT革命が始まったのだ。
そんな節目の年を記念したシンポジウム「IT25・50」が、慶應義塾大学三田キャンパスを主会場に、日本全国で同時開催された。同シンポジウムは、あのアラン・ケイがライブ講演を行うということで注目を集めていた。
アラン・ケイは“パーソナルコンピュータの父”と呼ばれる、Macの曽祖父のような存在だ。ケイは、50年前のビッグ・デモを見て衝撃を受け、未来のデバイス「ダイナブック」を構想した。詳しくはケイ自身の論文「A Personal Computer for Children of All Ages」(あらゆる世代の子どものたちのためのパーソナルコンピュータ)を読んでもらうのが一番だが、ダイナブックとは、簡単に言えば今日のiPadのようなタブレット型コンピュータである。論文を発表した1972年にこれを構想していたのは驚くべきことだ。
ケイのダイナブックが画期的だったのは、単なる「未来科学者の妄想」に留まっていない点だった。ケイはこのダイナブックをまず学校に導入するべきだとして、米国の標準的な家庭で支出される文房具代や教科書代を調査。そこから、ダイナブックの価格を500ドル程度に設定し、その範囲内で利用可能な部品を用いて設計を行った。
さらに、ケイはダイナブックのOS開発も進めた。この研究は、ケイが当時所属していたゼロックス社・パロアルト研究所で行われ、自作のコンピュータ上で開発。試作マシンは「アルト(Alto)」または「暫定ダイナブック」と呼ばれ、画面上のアイコンをマウスを使って操作するグラフィカルインターフェイスを持つ、画期的なマシンだった。
その後、1979年11月から12月にかけて、アップルのスティーブ・ジョブズはエンジニアたちを引き連れてパロアルト研究所を訪問し、このアルトを見学。開発中のLisa(後のMacintosh)に大きな影響を与えたことは、シリコンバレーの神話の1つにもなっている。